iDeCoの加入資格とは
iDeCoとは、拠出(※)した掛金を自分で運用して60歳以降に受け取る、任意加入の年金制度です。iDeCoの加入資格は、以下のように定められています。
- 20歳以上60歳未満であること
- 日本国内に居住していること
- 国民年金の被保険者であること
そして、以下のような場合は、iDeCoの加入資格を喪失します。
- 60歳以上の場合
- 非居住者(居住地が海外)の場合
- 国民年金保険料が未納、または保険料の免除・猶予を受けている場合
- 会社の企業型年金の規定で、iDeCoに加入できないようになっている場合
(※拠出とは、相互扶助を目的に、互いに金銭などを出し合うことです)
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
非居住者に該当するか?
日本における『非居住者』とは、以下の場合を指します。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
上記の『住所』というのは、住民票に登録している住所、『居所』とは住民票に登録している住所以外に、実際に住んでいる住所を指します。
つまり、住民票の住所や、生活の拠点が日本にない状態が1年以上続く場合は非居住者となり、iDeCoの加入資格を喪失するということです。
非居住者がiDeCoを継続できる条件
以下の条件を満たす場合は、非居住者になっても、iDeCoの加入資格を継続できます。
- 日本国内の企業から海外赴任しており、勤務先の厚生年金の加入を継続できる場合
- 勤務先に企業型年金制度がない、または企業型年金制度の加入対象となっていない場合
上記の条件を満たせない場合は、iDeCoの加入資格を喪失し、『運用指図者』に移行することになります。
加入者と運用指図者の違い
加入者と運用指図者には、以下のような違いがあります。
- 加入者:iDeCoに掛金を拠出して運用をおこなう人
- 運用指図者:掛金を拠出せずに運用のみおこなう人
海外赴任によって運用指図者に移行しても、帰国後に所定の手続きをすれば、加入者に戻って拠出を再開できるようになります。
確定拠出年金の「運用指図者」とは? 加入者と何が違うの? | りそな銀行 確定拠出年金
海外移住で口座はどうなる?
非居住者となった場合、金融機関や証券会社によっては、口座の解約を求められることもあります。では、iDeCoで利用している口座はどうなるのでしょうか。
非居住者が口座を維持できる証券会社もある
非居住者となり、iDeCoの加入資格を喪失した場合でも、口座を維持できる証券会社もあります。
証券会社 | 詳細 |
SBI証券 | 海外赴任などによって、一時的に非居住者になる場合は、帰国するまでの間、口座の維持が可能 |
野村証券 | 一時的に非居住者になる場合は、引き続き口座の維持が可能 |
SMBC日興証券 | 口座の取扱について承諾し、SMBC日興証券が承認した場合に限り、口座の維持が可能 |
SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA
野村證券 | 海外勤務のため、出国することになりました。手続きはどうすればよいですか?
QA:海外へ転居する場合の手続きについて教えてください。|登録内容の確認・変更|SMBC日興証券 よくあるご質問 詳細
出国前に問い合わせや手続きをする
上記の証券会社では、出国前に手続きをおこなえば、海外赴任後も口座を維持できます。ただし、利用に制限がかかるので注意しましょう。
また、海外に永住する場合は、口座を解約しなければならないこともあるため、前もって確認しておきましょう。
楽天証券は非居住者は口座の保有不可
楽天証券は非居住者場合、口座の保有はできないため、出国前に口座を解約しなければなりません。
海外へ転勤することになりました。何か手続きは必要ですか?|よくある質問|楽天証券
楽天証券でiDeCoを運用している場合
楽天証券でiDeCoを運用しており、海外移住により口座を解約することになった場合は、以下のように対処しましょう。
運用商品はどうするべきか?
楽天証券に預けている運用商品は、売却や換金、または他の証券会社に移管することになります。
楽天証券から他証券会社への移管手続き
楽天証券から他証券会社に株式を移管する場合、楽天証券のホームページにログインし、『設定・変更』→『移管・買取請求』→『株式移管依頼』の手順でおこないます。
移管手続きが完了する前に、移管予定の株式の取引をおこなうと、移管手続きが中止されるので注意しましょう。
また、楽天証券では、株式以外にもさまざまな運用商品を取り扱っています。それぞれの移管方法は、楽天証券に問い合わせるとよいでしょう。
まとめ
iDeCo加入後に海外赴任が決まった場合でも、一定の条件を満たせばiDeCoの掛金の拠出が継続できます。もし、条件が満たせない場合は運用指図者となり、運用のみ続けることになります。
その場合、iDeCoの資格喪失手続きが必要となるほか、口座維持の手続きや、保有している運用商品の移管手続きなどが必要となるため、利用中の運営管理機関に問い合わせてみましょう。