NISAとは
NISAとは英国のISA(個人貯金口座)を参考にし、2014年1月にスタートした個人向けの税制優遇制度です。ここでは、NISAの基本について確認しておきましょう。
年間120万、最長5年間の非課税投資枠
NISAでは、年間120万円の非課税投資枠が設定されており、毎年1月1日〜12月31日のあいだに購入した株や投資信託などの配当金や、売却して得た利益などが非課税の対象となります。非課税期間は、購入した年を含めて最長5年間です。
つまり、5年間で最大600万円(120万円×5年)の非課税投資枠があるということになります。5年間が終了したときに継続して保有する場合は、翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバーする)ことが可能です。
ただし、120万円の非課税枠を1年間で使いきれなくても、翌年以降に繰り越すことはできません。また、途中で売却し非課税枠が空いたとしても、その空いた分の非課税枠を再度利用することはできないので注意しましょう。
どんな投資商品があるのか
NISAでは、非課税の対象になる投資商品と、対象外の投資商品があります。正しく把握して効果的にNISAを活用しましょう。
対象となる投資商品 | 対象とならない投資商品 |
・株式投資信託 ・国内・外国株式 ・国内・海外ETF ・上場投資証券(ETN) ・国内・海外REIT ・新株予約権付社債(ワラント債) |
・非上場株式 ・預貯金 ・債券 ・公社債投資信託 ・MMF・MRF ・金、プラチナなど |
購入できる投資商品は金融機関によって異なります。どのような商品があるかは、事前にホームページなどで確認しましょう。
NISAの始め方
NISAを始めるには、NISA専用の口座が必要になります。ここでは、口座開設の流れを説明します。
専用の口座を開設する
NISA専用の口座は、日本に住む20歳以上の人であれば、誰でも開設することが可能です。しかし、すべての金融機関を対象に、1人につき1口座しか開設できません。
また、金融機関によって商品やコストなどが異なるので、自分がNISA口座でどのような投資をするのか決めてから金融機関を選びましょう。
どこで口座を作るのか
NISA専用口座は、以下の金融機関で作ることができます。
- 証券会社:ネット証券、店舗型証券
- 銀行:銀行、信託銀行(ネット銀行を含む)、郵便局、信用金庫、信用組合、農協、労働金庫など
口座開設までには1カ月程度かかることも
金融機関を決めたら、その金融機関から口座開設に必要な書類を取り寄せます。書類を取り寄せてから、口座開設までには1カ月程度かかります。
その理由は、NISA口座は1人1口座と定められているため、非課税口座に重複がないか税務署でチェックが行われるからです。
基本的に税務署へは金融機関が代行して申請を行いますが、この確認が3週間前後かかってしまい、口座開設に時間がかかる要因となっています。
NISA口座の開設方法|NISA|商品・サービス|株のことならネット証券会社【カブドットコム】
口座開設の流れ
- 口座開設の書類を請求
- 金融機関に書類を返送
- 金融機関が税務署に申請・審査
- 税務署からの結果連絡
- 口座開設完了
上記の流れで口座開設を行います。その際、マイナンバーや本人確認の書類など、自分で用意する書類があるので、事前に準備しておくとよいでしょう。
NISAを運用するにあたって
NISA口座の開設ができたら運用の開始です。ここでは、NISA口座で投資をする際のメリット・デメリットと注意点を確認します。
メリットとデメリットを理解する
NISAの最大のメリットは売却により利益が出たり、配当金を受け取ったりしても非課税になることです。しかし、NISAで購入した投資信託や株が値下がりして損失が出た場合、損益通算や損失繰越ができないデメリットがあります。
たとえば、NISA以外の口座で株式などの売買を行った場合は、同一年内の利益と損失を相殺する損益通算ができます。しかし、NISA口座の場合は損益通算ができず、他口座での利益に対して税金を納める必要がでてきます。
また、NISAで発生した損失は、翌年に損失を繰越して翌年の利益と相殺する繰越控除も利用できません。
注意点
NISAの投資可能期間は、2014年から2023年まで非課税投資枠を設定可能とされているため、ロールオーバーが永遠にできるわけではありません。2024年にはNISAで運用していた商品を、他の口座(特定・一般口座)に移すことになります。
この場合、他口座での購入価格は、口座へ移管したときの価格とみなされます。仮に値下がりした状態で移管し、株価が値上がった際に売却すると、移管後の値上がりに対して税金を支払わなければならなくなります。
まとめ
NISAは少額からの投資を目的とし、年間120万円以下の投資で得た利益を非課税とする制度です。投資商品には投資信託をはじめ、株式、ETF、REITなどがあります。
NISAを始めるにはNISA専用の口座が必要ですが、金融機関によって取扱商品が異なるので注意しましょう。また、NISAで運用を始める前に、メリット・デメリットや注意点をしっかり理解しておくことも大切です。