Moneroとは?
Monero(モネロ)とは、P2P(ピア・ツー・ピア)型の暗号通貨です。P2Pとは、中央集権組織が存在せず、利用者が直接データのやりとりをするシステムのことです。
仮想通貨と呼ばれる暗号通貨は、基本的にすべてP2Pを採用しており、スピードや安全性に優れているのが特徴です。
Moneroはエスペラント語で、通貨・コインという意味を持ちます。エスペラント語とは、ルドヴィコ・ザメンホフが発案した人工言語です。異なる人種がひとつの言語で意志疎通できるようにと開発されました。
Moneroの基礎情報
Moneroの基礎情報は以下のとおりです。
項目 | 詳細 |
通貨名 | Monero(XMR) |
開始 | 2014年4月 |
開発 | Monero Project |
コンセンサスアルゴリズム | PoW(プルーフ・オブ・ワーク) |
初期発行枚数 | 1840万枚 |
発行枚数上限 | なし |
半減期 | なし |
時価総額 | 約3,300億円(2018年4月現在) |
コンセンサスアルゴリズム(取引の承認をする方法)は、仮想通貨では一般的なPoW(プルーフ・オブ・ワーク) を採用しています。
多くのアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)が、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しているなかで、ビットコインと同じPoWを採用しているのはひとつのポイントです。
また、ビットコインのように発行数の半減期がなく、一定の間隔で順次発行されていきます。
Monero - secure, private, untraceable
Moneroの特徴
Moneroには、匿名性が高いという最大の特徴があります。ほかにも、ビットコイン以上の承認速度や発行枚数の上限など、Moneroがなぜ注目されているのか、その特徴を見ていきましょう。
最大の特徴は匿名性の高さ
Moneroの開発は、匿名性を重視して進められました。匿名性が高いとは、トランザクション(取引履歴)に送受金の履歴は残っても、誰が送金したか、そして誰が受金したかわからないということです。
ビットコインなどの匿名性が低い通貨では、たとえばAさんからBさんに送金した場合、その取引はシステム上に残り続けます。
履歴を確認すれば、Bさんが所有している通貨はAさんから送られた通貨だと知ることができます。また、もともとAさんは誰からもらった通貨なのか、ということも簡単にわかってしまいます。
しかし、Moneroでは匿名性が担保されており、Bさんが所有している通貨を参照しても、誰からもらったのかわかりません。加えて、その通貨のデータを参照したところで、Bさんが所有していることすら知ることができないのです。
流通量は少ない
ビットコインの発行枚数は上限が2100万枚で、2018年4月現在は約1700万枚がすでに発行されています。発行枚数に上限があるので、『デフレ通貨』として分類することができます。
それに対し、Moneroは初期発行枚数が1840万枚で、それが発行されたあとは発行枚数が少なくなりますが、少しずつ発行されていきます(1分で0.3XMR)。発行枚数に上限がないので、『インフレ通貨』と呼ばれることもあります。
1840万枚発行されたあとは、1年間で約16万枚がマイニングによって発行される予定です。現在はビットコインよりも流通量が少ないですが、将来的にはMoneroのほうが多くなります。2018年4月現在では、約1600万枚が発行されています。
取引がビットコインの5倍の速さ
Moneroには、承認速度が速いという特徴があります。そもそも仮想通貨は、ブロックチェーン(分散型台帳)上に、取引データなどが入ったブロックをつなげていくことで成り立っています。
どのブロックをつなげるか、一定の時間を設けて不正がないようにしています。その時間のことを承認速度や承認時間といいますが、ビットコインの場合、約10分という時間に設定されています。
Moneroでは、承認時間が約2分なので、単純計算でビットコインよりも5倍速いということになります。承認時間が早ければ、取引が早く承認されるということなので、決済サービスなどに利用しやすいのがメリットです。
さらに、ひとつのブロックに入る容量が決まっていないというのも大きな特徴です。ビットコインの場合、最大1MBで約3000件の取引しか処理できません。
Moneroはブロックの容量が決まっていないので、送金詰まりなどが起きにくいというメリットがあります。
マイニングも可能
Moneroは、コンセンサスアルゴリズムにPoWを採用しているので、マイニングによる通貨発行が可能です。『CryptoNight』と呼ばれる匿名性の高いシステムで、複数人で署名をするリング署名を採用しています。
PoWにおけるマイニングには、発言権(どのブロックを承認するか)を決めるための難易度が設定されています。2018年4月現在、ビットコインの難易度は非常に高くなっており、一般家庭で使われているパソコンでは到底太刀打ちできません。
しかし、Moneroにおいては、難易度がそれほど高くないので、一般的なスペックのパソコンでもマイニングができます。ビットコインよりマイニング人口も少ないので、大がかりな機材を用意しなくても稼ぎやすいのが特徴です。
Moneroの仕組み
Moneroは、ほかの通貨にはない匿名性を維持するための仕組みが組み込まれています。CryptoNightによるリング署名や、ステルスアドレスによるワンタイムパスワードの発行を実現しています。
なぜ匿名性を維持できるのか
Moneroの匿名性は、コンセンサスアルゴリズムのCryptoNightを採用していることで実現されています。特にCryptoNightでは、閲覧用と送金用の2つの秘密鍵(シークレットキー)を使うことで匿名性を高めています。
CryptoNightによるリング署名
CryptoNightでは、『リング署名』と呼ばれるシステムにより承認作業を行います。
ビットコインなどの場合、ひとつの取引に対し、ひとつの秘密鍵を使って署名を行います。たとえば、AからBにビットコインを送金した場合、この二者間の取引がそのまま取引履歴としてブロックに記録されていくことになります。
リング署名の場合、複数の秘密鍵を使って署名するため、誰が署名したのかわからないようになっています。
送金の都度ワンタイムアドレスを発行
この複数人の秘密鍵から生まれた送金用の秘密鍵は、1回しか使えないようになっています。この手法を、ワンタイムキー、ワンタイムパスワード、ワンタイムアドレスなどと呼んでいます。
一度署名に使ったワンタイムアドレスは二度と使えなくなる、いわゆる使い捨てのパスワードです。このシステムにより、通貨を追跡できなくなり、匿名性がさらに高くなっています。
Moneroのチャート相場・価格推移
Moneroをこれから購入しようか迷っている人は、今後どのような価格推移になるか気になるのではないでしょうか。これからどのような相場を形成するのか予想するために、過去の価格推移を読み解いてみましょう。
2017年8月に高騰
リリース当初より100円前後をキープしていたMoneroですが、2017年に入り価格が高騰しています。
ビットコインの高騰に引っ張られるように、2017年3月には2,339円に到達しました。そして、2017年8月には15,594円まで高騰し、2017年12月には40,202円の年初来高値を更新しています。
その後は下落傾向が継続し、2018年4月現在は20,000円前後の価格推移となっています。
Moneroが購入できる取引所
Moneroは国内でも人気の仮想通貨ですが、購入できる場所が限られています。しかし、海外では多くの取引所で取扱があります
国内唯一の取引所はCoincheck
日本国内の取引所では、唯一Coincheck(コインチェック)が取り扱っています。
ビットコイン(Bitcoin)を最短10分で購入 | Coincheck(コインチェック)
不正アクセスで取引停止中
国内大手のコインチェックは、2018年1月のNEM不正流出事件を受け、現在取引の一部を停止しています。新規登録は完全に停止しており、今後いつ再開されるかはまだ発表がありません。
そして2018年4月6日、マネックスグループ株式会社の完全子会社になるという発表がありました。
コインチェック株式会社、マネックスグループ株式会社の完全子会社化及び新経営体制のご報告
Moneroの海外取引所一覧
以下の海外取引所などで、Moneroの取扱があります。
おすすめはBithumb
韓国の取引所Bithumb(ビッサム)は、日本語対応もしている数少ない海外取引所です。韓国取引所の中では最大手の取引所で、ビットコインの取引量においては、8割以上をBithumbが占めています。
Bithumbの取扱通貨は以下のとおりです。
- Bitcoin
- Ethereum
- Ripple
- Bitcoin Cash
- Litecoin
- EOS
- Monero
- Dash
- TRON
- VeChain
- Ethereum Classic
- Qtum
- ICON
- Bitcoin Gold
- Zcash
- aelf
- Mithril
Bitcoin (BTC) - Live Bitcoin price and market cap
Bithumb
Moneroの始め方・買い方
これからMoneroを購入しようと考えているのであれば、国内ではなく海外取引所で取引する必要があります。今後国内取引所でも取扱が増える可能性はありますが、Moneroの匿名性を考えると現実的ではありません。
海外の取引所で購入する方法
海外の取引所で取引をする場合、まずBTC(ビットコイン)を手に入れる必要があります。Moneroを購入するために必要な以下の3ステップを確認しましょう。
- 国内取引所でBTCを購入
- BTCを海外取引所に送金
- 海外取引所でMoneroを購入
海外取引所では、日本円での取引ができません。まずは国内の取引所でアカウントの登録をして、BTCやETHなどの売買基軸となる通貨を購入する必要があります。対応通貨は取引所ごとに異なりますが、幅広く対応しているBTCがおすすめです。
海外の取引所でアカウントを開設したあと、国内で購入したBTCやETHを海外の取引所アカウントに送金します。本人確認が終われば取引ができますので、Moneroなど欲しい通貨を購入しましょう。
Moneroのメリット・デメリット
Moneroは優れた仮想通貨ですが、メリットばかりではありません。匿名性が高いことによるデメリットもあるので、しっかり確認しておきましょう。
匿名性ゆえ犯罪に利用される恐れ
Moneroは匿名性が高いのが大きな特徴ですが、それゆえに犯罪に利用される可能性があると懸念されています。
たとえば、闇市(ブラックマーケット)での売買に使用されたり、犯罪に使われた資金洗浄(マネーロンダリング)に利用されたりする可能性があります。
匿名性の高さは、プライバシー保護の観点からすると素晴らしいシステムなので、海外では多くの人から支持を得ています。しかし日本では、犯罪防止の観点からMoneroの利用は推奨されておらず、今後政府から規制が入る可能性もあります。
購入したMoneroが、日本政府の規制により暴落するという可能性も0ではないので、長期保有には注意が必要です。
企業の導入が難しい
Moneroは、仮想通貨の中でも非常に優れたシステムを採用しています。従来から用いられてきたPoWの中でも、匿名性の高いCryptonightのアルゴリズムを使い、ワンタイムアドレスを使ったリング署名による承認作業を行います。
このことから、企業が何らかのサービスで利用するには、いくつもの複雑なシステム処理が必要になります。機器の導入も簡単ではないうえ、人材の確保も難しくなってしまいます。
通貨として高い価値があるのは確かですが、その分利便性が失われており、企業サービスへの導入は当分先になりそうです。
Moneroの今後の将来性
今後、Moneroにどのような価値が生まれるのか、その将来性を考えてみましょう。
2018年に大きなイベントを予定
Moneroは2018年、大きな転換期を迎えようとしています。国内では動きの少ないMoneroですが、海外では多くの場面での利用が期待されています。
Darknet採用予定
Moneroの計画ではありませんが、ダークネット(Darknet)・マーケット(いわゆるインターネット上の闇市)において、Moneroの使用が増加しています。
これまではビットコインが主流でしたが、裏社会の商取引では匿名性が高いMoneroが好まれ始めています。
ハードウェアウォレット完成予定
ハードウェアウォレットは、仮想通貨を保管するための端末です。一般的にはUSBメモリ程度の大きさで、パソコンから取り外して保管することができます。
2018年4月現在、Moneroに対応しているハードウェアウォレットは存在しません。しかし、現在Moneroのハードウェアウォレットの開発が進んでおり、2018年中の完成が期待されています。
その他にも様々な計画
その他、Moneroのトランザクションサイズを80%削減する『BulletProofs』と呼ばれるシステムの開発が進められています。トランザクションサイズの削減が実現すれば、送金スピードの上昇や、送金手数料の抑制につながります。
また、マルチシグ(マルチシグネチャ)の実装も、開発が進んでいます。マルチシグとは、通貨を送金する際に必要な秘密鍵(シークレットキー)を、複数設定できるシステムです。
これにより、セキュリティが大幅に上昇し、第三者による不正を防ぐことができます。
5 Exciting Monero Developments to Look Forward to in 2018 The Merkle
まとめ
Moneroはその特徴から、ビットコインにはない利用法が考えられています。国内では規制される懸念もありますが、海外では根強い人気があるため、これからの活用が期待されています。
匿名性の高い通貨に興味がある人は、まずは少額からMoneroへの投資を始めてみてはいかがでしょうか。