ライトコインとは?
ライトコイン(LTC)は、現在主流の仮想通貨ビットコインの補完通貨として開発された暗号通貨です。即時決済サービスなど、ビットコインのシステムではできなかったことを達成するために開発されました。
元Googleのエンジニアが作成
ライトコインは、世界的に有名な大手企業Googleの、元エンジニアであるCharles Lee(チャールズ・リー)氏が開発した仮想通貨です。ビットコインが開発されたのは2009年ですが、その2年後の2011年にライトコインが発表されています。
Charles Lee氏はこれまでライトコインについて、twitterなどのコミュニティで、多くの有益な情報を発信していました。
しかし、ライトコインの生みの親であるCharles Lee氏が発言することで、ライトコインの価格が大きく変動することから、利益を得るための発言だと非難されることが多々ありました。
そこでCharles Lee氏は、2017年に自身が保有するすべてのライトコインを、ライトコイン財団に売却しています。Charles Lee氏は、ライトコインの開発はこれからも進めていくと発言しており、2018年現在はライトコインの相場は比較的安定しています。
Announcement on LitePay | Litecoin Foundation
基本の仕組みはビットコインと同じ
ライトコインの仕組みは、基本的にはビットコインとほぼ同じです。ビットコインのシステムをもとに開発しているので、ブロックチェーン(台帳通貨)システムや、その暗号化システムは似ています。
新規の発行システムも同じで、ノード(コンピュータ)によるマイニング(採掘)方式を採用しています。一定の計算を経たうえで、計算スピードが1番早かったマイナー(採掘者)に対して、報酬(新規ライトコイン)が与えられます。
ビットコインより実用性あり
不正防止のため、マイニングには一定の難易度が設けられています。難易度が高ければ、マイニングをするための計算が難しくなり時間がかかります。
ライトコインは、ビットコインよりも低めの難易度が設定されており、ビットコインの約4倍のスピードで取引の承認が行われます。このことから、実際の決済などでは、ビットコインよりも実用性があるとされています。
また、新規発行の間隔が短いことで、価格の高騰を防ぐ効果もあります。価格が乱降下しないことで、通貨としての実用性を持ち合わせているといえます。
アメリカで人気
実用性のあるライトコインは、アメリカで人気が高まっています。アメリカのクレジットカード決済サービスの『Aliant Payment Systems』は、新たにライトコインでの決済を受け付けると発表しました。
Credit Card and Debit Card Processing - Merchant Provider at Aliant Payment Systems
ライトコインの特徴
ライトコインには、主に3つの特徴があります。ビットコインと比較をしながら、その特徴を解説します。
承認時間が短い
ブロックチェーンシステムでは、世界中のトランザクション(取引履歴)をチェックして、不正がないと判断された場合、新たなブロックとしてブロックチェーン上につなげられます。
この作業を『承認作業』といい、承認作業に用いられる計算には難易度が設定されています。ビットコインでは承認時間が約10分間隔になるように設定されていますが、ライトコインでは約2.5分という短さで設定されています。
ダブルスペントの防止
ダブルスペントとは、仮想通貨における2重支払いのことです。ブロックチェーン上のシステムで動いている仮想通貨は、必ず承認作業が必要になります。
承認作業が必要ということは、送金した時間と受金する時間に、ズレが生じるということです。
つまり、通貨を送金した人が相手が受金する前に、別の人に同じ通貨を送金すると、実際には通貨がないのに送金ができてしまうことになります。これをダブルスペントといい、なかには悪意を持って行う人もいます。
承認時間が短ければ、ダブルスペントが行われる可能性は低くなります。約2.5分という時間はかかるので、悪意を持って行うダブルスペントを防ぐことは難しいですが、間違いで行われるダブルスペントは大幅に減少します。
総発行枚数が多い
ライトコインは、ビットコインよりも総発行枚数が多いという特徴があります。ビットコインは総発行枚数2100万枚に対して、ライトコインではその4倍の8400万枚が発行される予定です。
ビットコインとライトコインは、1回の承認作業における通貨の発行枚数が同枚数に設定されています。ただし、半減期という時期を経て、それぞれ発行枚数が減ってくるので、同じ時期に同じ枚数が発行されているわけではありません。
そのシステムの中で、ライトコインはビットコインの4倍という承認時間を設定しています。つまり、ライトコインとビットコインは計算上、最終的に同じ時期に、すべての通貨が発行されるように設定されているということです。
暗号化方式はScrypt
仮想通貨は、すべて何かしらの暗号化システムを用いて運用されています。このことから、仮想通貨は暗号通貨と呼ばれることもあります。
仮想通貨の暗号化方式は、そのほとんどがハッシュ関数を用いて暗号化されています。ハッシュ関数とは、一方通行の暗号化ができる関数です。たとえば、AからBに暗号化した場合、BからAを導き出すことができない仕組みになっています。
このハッシュ関数にもいろいろな種類があるのですが、ビットコインは『SHA-256』、ライトコインは『Scrypt』と呼ばれる種類の暗号化方式を採用しています。
ライトコインの仕組み
ライトコインは、いくつかの優れた仕組みのうえで成り立っています。これまでビットコインでは、スケーラビリティ(拡張性)問題など、数多くの問題点を抱えていましたが、それらのいくつかをライトコインで解決することができています。
Segwitを導入
そもそもビットコインなどの仮想通貨は、複数のトランザクションをひとつのブロックに詰め込み、それをブロックチェーン上に数珠つなぎにしていくシステムを採用しています。
ビットコインのブロックのデータ容量は最大1MB(メガバイト)で、約3000もの取引履歴が入っています。しかし、全世界で取引数が増えていくと、ブロックの生成が追い付かないという問題(スケーラビリティ問題)が発生してしまいます。
つまり、ビットコインの承認時間である10分間で、最大3000程度の取引しか承認できないということです。それ以上の取引はどんどん蓄積されてき、送金詰まりが発生します。
そこでライトコインでは、ブロックのデータ容量を圧縮する『Segwit(セグウィット)』というシステムを採用しています。これにより約60%のデータ圧縮が可能となり、送金遅延問題やスケーラビリティ問題が解決しています。
マイニング承認はPoW
ライトコインの承認には、ビットコインと同じPoW(プルーフ・オブ・ワーク)というシステムが採用されています。一定の計算をマイナー(採掘者)に課し、計算が成功したマイナーに、ブロック形成(取引の承認)の発言権を与える仕組みです。
ビットコインも同じくPoWを採用しており、このシステムがあることで、ブロックチェーンデータの改ざんを防ぐことができています。
これに対し、多くのアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)では、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。こちらははじめから誰に発言権があるか(主に通貨の所有数)決まっており、複雑な計算を必要としません。
ライトコインのチャート相場・価格推移
ライトコインがこれからどのような相場を形成していくのか、これまでの価格推移を確認しておきましょう。
2017年の値上がり率は7500%
ライトコインは2011年にリリースされて以降、徐々にその価格を上げてきています。2017年には7500%もの値上がり率を見せていますが、これはビットコインの高騰により、影響を受けたと考える人も多いようです。
具体的には、2011年にリリースされた当初はほぼ価値はなく(これはどの通貨でも同じ)、2012年以降200~500円を前後しながら徐々に価格が上昇しています。
そして、2017年に仮想通貨市場全体で盛り上がりを見せ、ライトコインも年初来高値である28,309円を記録しています。
2018年は仮想通貨市場全体で下落
2018年に入り、仮想通貨市場全体で下落傾向が継続(2018年4月現在)しています。原因はいろいろ考えられますが、仮想通貨バブルが崩壊し始めていると考えている人も多くいます。
実際にバブルが崩壊しているかどうかは別にして、仮想通貨は多くの人が不安を感じることで、市場に直接影響してしまう世界です。
特に国内では、2018年1月に起きたコインチェックのNEM流出事件や、それに伴い金融庁の取引所に対する規制が入ったことで、価格の下落が続いていると考えられます。
ライトコインが購入できる取引所
ライトコインはアルトコインの中でも人気が高く、多くの取引所で取り扱っています。
手数料が安いGMOコイン
GMOコインは、取引手数料無料でサービスを提供している取引所です。実際は販売所形式で取引が行われており、取引所が設定するスプレッド(売買の価格差)が存在するので注意が必要です。
GMOコインは、国内大手のGMOインターネットグループが運営しているので、ほかの取引所と比べて、経営破綻などの可能性は少ないといえるでしょう。
初心者ならbitFlyerがおすすめ
bitFlyerは、初心者におすすめの取引所です。取引画面がわかりやすく、初めての人でも迷いにくいサイト構成になっています。
ただし、ビットコイン(BTC)以外は販売所での取引となるので、GMOと同じようにスプレッドには注意が必要です。
仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の購入/販売所/取引所【bitFlyer】
ライトコインの始め方・買い方
ライトコインは国内の取引所で取扱があるので、誰でも簡単に購入することができます。
取引所での購入は3ステップ
取引所でライトコインを購入する場合、以下の3ステップで購入できます。
- 取引所に登録する
- 日本円を入金する
- ライトコインを購入する
取引所のアカウント登録は、ほとんどがメールアドレスの登録だけで完了します。ただし、そのあと実際に取引をするには本人確認が必要なので、指示に従って本人確認書類の送信などを済ませましょう。
ライトコインのメリット・デメリット
ライトコインの取引を始める前に、メリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリットとデメリットの両面あり
ライトコインには、メリット・デメリットの両方が存在します。主なメリットは承認速度が速いこと、デメリットはデータ改ざんのリスクがあることです。
取引スピードの速さは最大の魅力
仮想通貨において承認速度が速いということは、取引スピードが速くなるということです。さまざまなサービスで用いられる決済サービスも、取引スピードが遅ければ使い物になりません。
ライトコインはビットコインの約4倍の速さで承認されるので、即時決済サービスなどでの活用が期待できます。
一方でデータ改ざんのリスクも
承認速度を高めるために、PoWにおける計算の難易度を下げています。難易度が低ければ、それだけデータ改ざんのリスクが高くなってしまうということです。
2018年4月現在では、ライトコインの大きなデータ改ざん事件は起きていませんが、そのリスクがあるということだけで、仮想通貨としての地位が危ぶまれることもあります。
ライトコインの今後の将来性
ライトコインはとても優秀な通貨で、多くの企業がサービスへの利用を考えています。今後ライトコインに将来性はあるのか、詳しく見ていきましょう。
決済手段として浸透する可能性
ライトコインは承認速度が速いことから、決済手段として浸透する可能性があります。
モネロ(XMR)やダッシュ(DASH)など、承認速度が速い通貨はありますが、ビットコインと似たシステムということで、ライトコインが頭ひとつ出ているといえるでしょう。
また、ビットコインと違い、スケーラビリティ問題も解決されています。ビットコインでは、世界中で取引が重なれば承認が追い付かず、承認時間の10分では処理しきれないことも多々あります。
少額の決済をするために1週間ほど待つ可能性もあるため、ビットコインでは決済手段として不完全であるといわれています。
スケーラビリティ問題を解決したライトコインであれば、最大でも2.5分で決済が完了するので、多くのサービスでの利用が期待されています。
即時決済アプリLitePayをリリース
2017年12月、ライトコインの決済サービスとして、ウォレット機能とデビットカード機能を備えた、LitePayがリリースされると発表されました。
2018年2月に実際にリリースされたものの、2018年3月にライトコイン財団は、LitePay社の不透明性を懸念し、サービスを停止させています。
LitePay社のCEOはライトコイン財団に対して、事業継続のための資金提供を求めていましたが、具体的な資金運用案を提示することができず、申入は却下されています。
2018年後半にはLitePalも
2018年後半には、PayPalのようなインターネット上の決済サービスである、『LitePal』のリリースが発表されています。
クレジットカード決済-PayPal(ペイパル)
LitePal - Send, receive and accept cryptocurrency
まとめ
ライトコインは、ビットコインの足りない部分を補う形で開発が進められている仮想通貨です。仮想通貨業界において、ビットコインを金、ライトコインを銀とたとえる人もいます。
ほかの仮想通貨との競合やセキュリティ問題など、まだ数多くの問題があります。その中で、ライトコインがどのような地位を築いていけるのか、多くの人が楽しみにしています。