仮想通貨取引にかかる手数料とは
取引所で仮想通貨の取引をする場合、いくつか手数料が必要になります。
- アカウント開設手数料
- 取引手数料(売買手数料)
- 入出金手数料(送金手数料)
アカウント開設手数料は、取引所でアカウントや口座を作るための手数料です。国内であれば、ほぼすべて無料で開設することができます。
取引手数料は、仮想通貨の取引をするために必要な手数料で、仮想通貨を売買する際に毎回発生します。
入出金手数料とは、日本円や仮想通貨を移動する際に必要な手数料です。入金手数料は入金方法によって、出金手数料は送金する通貨の種類(日本円含む)によって異なります。
最も重要なのは取引手数料
利用者にとって最も重要なのは取引手数料です。取引の種類ごとに必要な手数料が異なります。たとえば、仮想通貨取引所のZaifでは、以下の取引方法が用意されています。
取引方法 | 手数料の種類 |
現物取引 | 取引手数料(売買手数料) |
信用取引 | 取引手数料 / 借入手数料 |
FX取引 | 取引手数料 / ポジション手数料(スワップ手数料) |
利用者の負担になるのは、借入手数料やポジション(FX取引で通貨を保持した状態のこと)よりも、毎回の取引で必要になる取引手数料のほうが多いです。
ビットコイン・モナコイン信用取引説明 - Zaif(ザイフ)
短期売買では手数料の計算が特に重要
短期的に売買を繰り返すことで利益を狙う人は、取引手数料の計算はとても重要になります。0.01%の差でも、積み重なれば大きな数字となるからです。
たとえば、80万円相当のビットコイン現物取引で、取引手数料が0.1%の場合、一度の取引で必要な手数料は以下の通りです。
- 80万円×0.1%=800円
もし1日で10回取引をすれば、それだけで8,000円の手数料が必要になるということです。手数料が0.01%でも高くなれば、1回の取引で80万円×0.01%=80円の差額になります。
これを多いと見るか少ないと見るかは個人によって異なりますが、0.01%でも手数料が低いところを選んでおいて損はないでしょう。
税金は手数料も含めて計算する
仮想通貨取引で利益が出ている場合、その利益は所得とみなされるので、所得税を納めなければなりません。仮想通貨取引による所得を計算するにあたり、仮想通貨をいくらで取得したかという計算が必要です。
その際、購入にかかった手数料も所得計算に含まれます。たとえば、100万円の仮想通貨購入で手数料が1万円かかったとすると、101万円を取得価格として計算します。
入出金や仮想通貨出し入れの手数料は少額
仮想通貨取引所では、日本円の入出金や仮想通貨の送金にも手数料がかかります。しかし、取引手数料に比べて発生頻度は低いため、あまり気にする必要はありません。
たとえば、日本円で取引をしたい場合、一度取引所に日本円を送金したあとは、そこにあるお金で取引をするため、それ以上手数料はかかりません。
また、短期取引の場合、基本的には所有通貨はすべて取引所に保管をしてもらうので、移動をすることはありません。長期保有する場合、取引所からウォレットに移動させますが、移動の際に一度手数料が発生するだけです。
レバレッジ取引はクローズ時間がポイント
信用取引では、証拠金(担保金)として預けたお金以上の金額を取引することができます。これをレバレッジ取引といい、ハイリスクである代わりに、非常に大きな儲けが期待できる投資法です。
レバレッジ取引をしていると、ポジションを持っているだけでポジション手数料が発生します。この手数料は1日1回24時間ごとに発生するのが基本です。
つまり、ポジション手数料が発生する前にクローズ(ポジションを解消すること)してしまえば、ポジション手数料は発生しないということです。
海外送金をお得にする送金手数料の仕組み
海外に送金したい場合、日本円での送金や外貨に両替してから送金するよりも、仮想通貨を利用したほうがお得です。
現金に比べて格安な理由
日本円などの法定通貨を送金する場合、多くの手間(仲介)を必要とします。銀行にお金を預け、銀行がいろいろな仲介を経て海外に送金し、さらに海外でもいくつかの手続きを経てやっと送金が完了します。
しかし仮想通貨であれば、すべてインターネットのブロックチェーン(分散型台帳)上のシステムで完了してしまうので、現金の送金と比べて手間がかかりません。手間がかからないということは、それだけ費用も安く済むということです。
たとえば、ビットコインのブロックチェーンシステムでは、トランザクション(取引)の承認をするマイナー(採掘者)に、手数料(送金手数料)を支払うことになります。
ブロックチェーンのデータは世界中のコンピュータ(ノード)で共有されており、国内・海外という概念がそもそもありません。
つまり、国内に送金する場合も海外に送金する場合も、手数料に違いはないということです。
手数料の安さ以上に速さが魅力
海外に法定通貨を送金する場合、利用する銀行や送金先にもよりますが、およそ2~6日程度かかります。
仮想通貨であれば、インターネット上のトランザクションを完了させるだけで済むので、場合によっては数秒~数分で送金完了となることもあります。
トランザクションの承認はマイナーに選択権があるので、送金手数料を多めに設定しておけば、一瞬で送金を完了させることも可能です。
ただし、ビットコインの場合、トランザクションの承認には難易度が設定されており、およそ10分間隔でしか承認できないように設定されています。つまり、どれだけ送金手数料を多く設定しても、10分ほどかかってしまう可能性もあるということです。
TransferWiseヘルプ | 入金確認までにかかる時間は?
販売所と取引所の手数料を比較
仮想通貨を購入・売買する場合、取引所か販売所を経由する必要があります。個人間での取引も可能ですが、2018年4月現在、そのようなサービスはまだあまり普及していません。
取引所では、取引所を経由して利用者同士で取引を行います。それに対して販売所は、運営会社と利用者が取引をします。
それぞれ、手数料などのシステムが大きく異なるので、利用の際はどちらで取引するか注意しなければなりません。
販売所の手数料は高い
販売所は基本的に、手数料無料としているところがほとんどです。しかし、隠れ手数料と呼ばれるものが存在し、実際は取引所よりも販売所のほうが手数料が高くなっています。
違いはスプレッドの有無
販売所が仮想通貨を買ったり売ったりする際に、利益を出すために実際の価格に差をつけていることがあります。
この価格差のことをスプレッドといい、隠れ手数料と呼ばれることもあります。取引所は利用者同士の取引なので、スプレッドは0円です。取引所で80万円の価値があれば、買値も売値も80万円になります。
販売所は確実に売買できるメリットも
販売所にはスプレッドがあるので、利用者にとってはデメリットとなります。しかし、その名のとおり、仮想通貨を販売しているところなので、欲しいときにすぐ購入できます。
取引所であれば、希望価格で取引が成立するまで時間がかかり、仮想通貨の価格が希望価格に到達しなければ、買えない可能性もあります。
どうしても欲しい、または今すぐ確実に売りたいというときには、販売所を利用するとよいでしょう。
国内と海外の手数料を比較
ここでは、国内取引所と海外取引所の手数料を比較してみていきましょう。
取引手数料はほとんど変わらない?
国内取引所と海外取引所では、取引手数料にそれほど差はありません。2017年頃までは、海外取引所のほうが手数料が安かったのですが、仮想通貨ブームを受けて国内取引所の手数料が軒並み低くなりました。
今では手数料無料の取引所や、マイナス手数料で運営している取引所もあります。
国内取引所の手数料一覧
取引所 | ビットコイン取引手数料 | アルトコイン取引手数料 |
bitFlyer | 0.01 ~ 0.15% | 0~0.20% |
Zaif | -0.05 -0.01% | 0.01~0.1% |
coincheck | 無料(キャンペーン中) | 無料(キャンペーン中) |
QUOINEX |
0.25%(ベース通貨は無料) | 0.25%(ベース通貨は無料) |
bitbank |
無料(キャンペーン中) | 無料(キャンペーン中) |
(※2018年4月現在)
海外取引所の手数料一覧
取引所 | ビットコイン取引手数料 | アルトコイン取引手数料 |
Binance | 0.1% | 0.1% |
OKEx | 0.02~0.2%(取引量による) | 0.02~0.2%(取引量による) |
BitMEX | -0.025%~0.075% | -0.05%~0.25% |
Kucoin | 0.1% | 0.1% |
Huobi | 0.2% | 0.2% |
Poloniex | 0%~0.25% | 0%~0.25% |
BITTREX | 0.25% | 0.25% |
Kraken | 0%~0.26% | 0%~0.26% |
BITFINEX | 0%~0.20% | 0%~0.20% |
(※2018年4月現在)
手数料を安く抑えるためには
仮想通貨取引において、手数料を安く抑えることが大きな利益につながることもあります。ここでは、手数料を安く抑えるためのポイントを紹介します。
Changellyを使ってみよう
チェコのMinerGate社が運営するChangellyは、仮想通貨を別の仮想通貨に交換してくれるサービスです。たとえば、リップルをネムに変える場合、通常はリップルを売って日本円にし、その日本円でネムを購入する必要があります。
Changellyは高レートを自動的に検索して、リップルとネムを交換してくれます。つまり、本来なら2回分の手数料がかかるところを、Changellyであれば1回で済むということです。
Changelly | Bitcoin BTC to Ethereum ETH instant exchange - Changelly.com
中級者は海外取引所でのトレード
日本国内の取引所は、基本的に取引額によって手数料が設定されています。しかし海外では、取引の量によって設定されていることがあります。
取引量を調節できる中級者であれば、海外取引所で取引をしたほうがお得になることがあります。
たとえば、BITFINEXは過去30日間の取引量の合計が750万ドルを超えると、maker(板に注文を出して取引する方法)取引で手数料が無料になります。
Bitfinex - Bitcoin, Litecoin and Ethereum Exchange and Margin Trading Platform
手数料が安いおすすめの国内取引所
手数料が安いおすすめの国内取引所を紹介します。
Zaif
Zaifは、テックビューロ株式会社が運営する国内の取引所です。
取引手数料がマイナスでお金がもらえる?
Zaifの特徴は、ビットコインの取引がマイナス手数料であることです。makerは-0.05%、takerは-0.01%の手数料です。
つまり、Zaifでビットコインの取引をすれば、手数料分のお金がもらえるということです。ただし、アルトコインは0.0%~0.3%の手数料がかかるので注意しましょう。
国内で唯一積立投資が可能
Zaifでは、積立投資サービス『Zaifコイン積立』を実施しています。毎月指定した額が登録口座から自動的に引き落とされ、ドル・コスト平均法に基づいて毎日指定通貨を購入してくれるサービスです。
ドル・コスト平均法とは、一定額を買い続ける投資法です。通貨の価格が高くなれば購入量は少なくなり、価格が低くなれば購入量が多くなるため、高掴みをしにくいなどのメリットがあります。
bitbank
bitbankは、ビットバンク株式会社が運営する取引所です。リップル・イーサリアム・ビットコインキャッシュなど、ネム以外の主要通貨の取扱があります。
全ペアで手数料無料キャンペーン中
bitbankでは2018年4月現在、取扱通貨の全ペアで手数料無料のキャンペーンを実施しています。
QUOINEX
QUOINEXは、グローバル展開をしているQUOINE 株式会社が運営しています。LINEによるサポートもしており、国内でじわじわと利用者が増えています。
手数料無料とタイトなスプレッドが魅力
10社以上の海外取引所と常時接続しているため、ほかの取引所よりもタイトなスプレッドを実現しています。取引手数料も無料なので、初心者でも安心して登録できます。
取引に慣れたら海外取引所も始めよう
初心者は国内の取引所がおすすめですが、取引に慣れてきたら海外取引所の利用も考えてみましょう。国内にはない通貨ペアで取引できるので、投資の幅が広がります。
BINANCE
BINANCEは2018年4月現在、取引高世界1位の取引所です。取扱通貨は100種類以上と豊富なのが大きな特徴です。
手数料の安さと取引量の多さが安心
BINANCEの手数料は全通貨ペア0.1%です。さらに、BNBトークン(BINANCEが発行した独自の通貨)を手数料の支払いに設定していれば、すべての手数料が50%割引されます。
つまり、BNBを買って設定さえしておけば、全手数料0.05%になるということです。
BitMEX
BitMEXはビットコインの取引高だけで見れば、BINANCEを抑えて世界1位(2018年4月現在)の取引所です。現物取引は行っておらず、FXのみの取扱となっています。
BitMEX | Bitcoin Mercantile Exchange
レバレッジ取引をする人におすすめ
国内においては、レバレッジ倍率の上限は25倍と定められていますが、海外取引所であるBitMEXは、100倍ものレバレッジで取引をすることが可能です。かなりハイリスクな取引にはなりますが、一獲千金を狙いたい人にはおすすめの取引所です。
まとめ
仮想通貨取引所を利用する際は、手数料がいくらなのか確認しておくようにしましょう。海外取引所では一律料金になっていることが多いですが、国内ではmakerやtakerによって異なることがほとんどです。
少しの違いの手数料でも、つみ重なれば大きな差となってしまいます。自分に合った取引所の中で、0.01%でも手数料が安いところを探して利用するようにしましょう。