仮想通貨投資とは
仮想通貨投資とは、価格変動のあるインターネット上の仮想通貨に投資をすることです。仮想通貨は暗号通貨とも呼ばれ、その画期的なシステムで世界的に注目を集めています。
なぜ仮想通貨が注目を集めるのか
投資先といえば、株式やFX、近年ではクラウドファウンディングも魅力的です。しかし2018年現在、もっとも注目を集めているのは、やはり仮想通貨投資ではないでしょうか。
その最たる魅力は、価格変動の大きさにあります。たとえば、2015年当時ビットコインの価格は4万円程度でした。しかし2017年には約240万円の高値を記録しています。
つまり、1ビットコインを4万円で購入していれば、2年間保有し続けるだけで240万円になったということです。240万円で売れなかったとしても、2018年1~3月は120万円前後をキープしており、相当な利益が出ているはずです。
投資のやり方は売買の差額で儲ける
仮想通貨投資はとても簡単で、誰でも始めることができます。やり方は株式投資に似ており、仮想通貨を売買することで、その価格差を利用して儲けることができます。
つまり、安く買った仮想通貨を、価格が高くなったときに売るだけというとてもシンプルなものです。
仮想通貨の価値は常時変化しており、多くの投資者が欲しいと思えば価値は上がり、欲しくない(売りたい)と思えば価値は下がっていきます。
株式投資との違いは?
株式投資と似ている側面もありますが、その本質はまったく違います。そもそも株式は通貨ではなく、投資物として存在しているものです。通貨ではないので、株式を使って商品を購入することはできません。
仮想通貨は円やドルなどの法定通貨ではないものの、一部で通貨として認められているため、仮想通貨を使って商品を購入することができます。
ほかにも、以下のような違いがあります。
- 発行媒体の違い
- 現物の有無
- 取引時間の違い
- 配当の有無
株式は東証(東京証券取引所)などで取引が行われているため、取引時間が限られています。東証の取引が終了すれば、次の日まで株式を売買することはできません。
仮想通貨はインターネット上にある取引所で売買するため、24時間いつでも取引することができます。
仮想通貨の投資方法
仮想通貨投資には、長期保有で利益を期待する方法と、短期トレードで細かく売買差益を狙う方法があります。
億万長者を目指す長期保有
長期保有は、初心者におすすめの投資法です。これから価値が高くなりそうな仮想通貨を買っておき、価値が上がるまでじっと待つだけの簡単な方法です。
仮想通貨は価値が10~100倍になることもあり、保有しているだけで億万長者になれる可能性を秘めています。反対に価値が急落してしまうこともありますが、現状価格が低い通貨であれば低リスクで投資することができます。
素早く利益を出す短期トレード
短期トレードは通貨の価値が低いときに買い、数%ほど価格が上がったときに売ることで、その差額で利益を狙う投資法です。大きな利益は見込めませんが、小さな利益を少しずつ繰り返し出していくことを目的としています。
場合によっては1日で何回も売買を繰り返すこともあり、売買手数料が大きな負担となってしまいます。
ただし、価格が下がったときに確実に損切(損失を最小限に抑えるために売却すること)することで、リスクを抑えられます。
仮想通貨の投資にはリスクが潜んでいる
仮想通貨はとても魅力のある投資先ですが、リスクが潜んでいることも知っておきましょう。株式やFXでもリスクはありますが、仮想通貨にはまた別の危険性があります。
取引所の倒産
仮想通貨は株式やFXよりも歴史が浅く、取引所(株式でいえば証券会社)もまだ経営が安定しているとはいえません。利用者もまだ取引所を信用していないので、少しでも問題があれば利用者が離れてしまいます。
中には個人で運営している取引所などもあり、倒産の危険性は常につきまといます。取引所が倒産してしまうと、ほとんどの場合、預けていた資金は返ってきません。
銀行であれば1,000万円までの預貯金は保護されますが、仮想通貨にはそのような法律はありません。
価格の暴落や消滅
仮想通貨の価値は誰も保証できません。人気のある通貨でも、価格の暴落や消滅がいつ起きても不思議ではありません。
株式の場合は、それを発行する会社の存在自体が株式の価値を保証していますが、仮想通貨には、価値を保証するものは一切ありません。よって、仮想通貨に投資には、価格暴落のリスクは常につきまといます。
詐欺や盗難に合う可能性
仮想通貨はすべてインターネット上で取引をします。取引所や自分のウォレット(仮想通貨を保管する媒体)が、ハッキング被害や盗難に遭う可能性もあります。
特に、自分のパソコンをウォレットとして保管している場合、セキュリティ対策はすべて自分で行わなければなりません。
また、仮想通貨市場はまだ成熟しておらず、正しい情報が一般には普及していません。それを利用して、新手の詐欺を行う人も現れています。
リスクを軽減するためにできること
仮想通貨投資におけるリスクを、少しでも軽減するための方法を紹介します。誰でもできる簡単なことなので、必ず押さえておきましょう。
ハードウェアウォレットで保管
仮想通貨を購入して長期保有する場合は、必ずコールドウォレットで保管するようにしましょう。コールドウォレットとは、インターネットから切り離されたウォレットのことで、ハードウェアウォレットやペーパーウォレットなどが該当します。
特におすすめなのは、セキュリティ面で非常に優れているハードウェアウォレットです。USBメモリ程度の大きさで、通貨の管理機能がついた専用の端末です。
通貨を移動させたあとはパソコンから切り離し、厳重に保管しておくことで盗難の可能性が低くなります。
『TREZOR』は、世界的にも有名なハードウェアウォレットです。
取引所は必ず2段階認証
今や当たり前となりましたが、取引所へのアクセスは必ず2段階認証を設定しておきましょう。2段階認証とは、一般的なユーザー名とパスワードの入力のほかに、もう一段階の認証システムが施されていることです。
多くの取引所では、ユーザー名とパスワードでログインしたあと、メールやアプリに送付された認証パスワードを入力することで、ログインができるようになります。
これはセキュリティ対策の中でも最も基本的なことなので、必ず設定しておきましょう。
アクセスはブックマークから
取引所へアクセスする際は、毎回自分で行ったブックマーク(お気に入り)から入るようにしましょう。これは、フィッシングサイトからの詐欺被害を防ぐ目的で行います。
フィッシングサイトとは、本物のサイトと似せて作られた偽サイトのことです。見た目だけではなく、URLも似せているため(1とl、0とoを入れ替えるなど)、他人のサイトや検索からアクセスするのは危険です。
アカウント登録したあとそのままブックマークしておき、毎回そこからアクセスするようにしておくことで、フィッシングサイトに騙されるリスクは低くなります。
複数の銘柄に分散投資
仮想通貨は、いつ価格の暴落が起きるかわかりません。自分が持っている通貨の価格が暴落してしまうと、非常に大きな損失が出てしまいます。
そこで、通貨の暴落リスクに備えて、いくつか複数の銘柄に分散投資しておきましょう。分散投資しておけば、特定の通貨の価値が暴落したとしても、被害を最小限に抑えられます。
ただし、ビットコインは全仮想通貨の基軸となっているため、ビットコインが暴落すると、他の通貨も連動して暴落してしまう可能性があります。
投資額は必ず余裕資金以内で
仮想通貨投資は、必ず余裕資金内で行うようにしましょう。余裕資金とは、生活するために必要な資金ではなく、最悪なくなっても普段通りの生活ができる資金のことです。
余裕資金で取引をしておけば、何かトラブルがあっても冷静に対応できるでしょう。
仮想通貨投資には高額な税金がかかる
仮想通貨で得た利益には、税金(所得税)がかかります。税金が発生するタイミングは、『仮想通貨を使って利益が発生したとき』です。
『仮想通貨を使って』とは、仮想通貨で商品を購入したときはもちろん、取引で通貨を売却したとき(利益を確定したとき)も含まれます。
たとえば、100万円で購入した1ビットコインを110万円で売却した場合、
110万円 - 100万円 = 10万円が所得税の対象となります。
最大45%の税金がかかることも
仮想通貨の所得区分は『雑所得』として扱われます。雑所得は所得区分の中では総合課税の一種なので、累進課税(るいしんかぜい)方式で計算されます。
累進課税とは、課税所得が多くなればなるほど税率が高くなる仕組みのことです。2018年3月現在、所得税の税率と控除額の一覧は以下のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
※2013年から2037年までは、所得税に復興特別所得税2.1%が上乗せされます。
- 課税所得に対応する税率を掛け、控除額を差し引き所得税額を算出
- 所得税額に復興特別所得税率2.1%を掛け、復興特別所得税額を算出(100未満切り捨て)
所得税額と復興特別所得税額を合算した額が、納付すべき所得税額です。
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁 – 国税庁ホームページ
投資信託で仮想通貨への投資はできるのか
投資信託であれば、投資に関してあまり知識のない個人でも、気軽に参加することができます。もし仮想通貨業界にも投資信託があれば、多くの人にとって仮想通貨がもっと身近なものになるでしょう。
日本ではまだ存在しない
2018年3月現在、日本では仮想通貨の投資信託はありません。ただ、2017年を境に仮想通貨が熱狂的な盛り上がりをみせ、仮想通貨に投資するファンドオブファンズ(投資信託への投資信託)が誕生しています。
また、アメリカでは仮想通貨を対象としたヘッジファンドが増加しており、仮想通貨が投資商品として大きく注目を浴びていることがわかります。
CRYPTO20とは?
世界初の仮想通貨の投資信託といわれている『CRYPTO20(クリプト・トゥエンティ)』は、イギリスの海外領であるケイマン諸島に本社を置いています。
正確には投資信託ではなく、ICO(新規仮想通貨公開)で資金を集めて独自トークン(アセットタイプの仮想通貨)を投資家に発行する仕組みを採用しています。つまり、還元される利益は通貨ではなくトークンだということです。
トークンの値動きによって、期待値以上に利益が出ることもあれば、反対に損をしてしまう可能性もあります。
CRYPTO20 - First Tokenized Cryptocurrency Index Fund
実際に仮想通貨を購入してみよう
仮想通貨の投資についての基礎を押さえたら、実際に通貨を購入してみましょう。取引所アカウントを開設し、取引所口座に入金をすれば好きな通貨を購入できます。
取引所に口座を開設する
取引所はインターネットにあるサービスのことで、仮想通貨の取引をするために必要な場のことです。まずは取引所を選び、アカウントを開設しましょう。
取引所によっても異なりますが、メールアドレスの登録と個人情報の入力、そして本人確認が主な作業となります。
bitFlyer
bitflyerは、国内最大手のビットコイン取引所です。アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)の取扱は販売所(会社と直接取引する場)にしかなく、取引所ではビットコインの取扱しかありません。
取引高(取引されている量)が非常に高く、CMにも力を入れていることから、初心者が初めて使う取引所として多く利用されています。
仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の購入/販売所/取引所【bitFlyer】
Zaif
Zaifはビットコインだけでなく、イーサリアム(ETH)やNEM(XEM)の取扱もある取引所です。最大の魅力は、ビットコインの取引がマイナス手数料だということです。
マイナス手数料ということは、取引をすればするほど口座にお金が振り込まれるということです。アルトコインはマイナスではありませんが、手数料の安さが魅力のひとつです。
取引所に入金する
取引所のアカウントを開設して本人確認が完了したら、取引するための資金を入金してみましょう。入金方法は以下の3通りです。
- 銀行振込
- コンビニ決済入金
- ペイジー入金
上記の方法で、取引所の指定口座に振込をします。取引所によって異なりますが、基本的にコンビニ決済やペイジーでの入金は手数料が高いので、銀行振込がおすすめです。
銀行振込の場合、振込手数料は各銀行に依存します。bitFlyerやZaifなど大手取引所であれば、住信SBIネット銀行からの振込手数料は無料です。
好きなコインを購入する
入金が完了したら、実際に好きなコインを購入してみましょう。取引ページには、利用者が注文を出すための場である『板』が用意されています。
板には、買い注文や売り注文が並んでおり、価格などを見て取引をします。自分が希望する価格での注文がなければ、自分の注文を板に並べておくことができます。
その注文を見て、ほかの利用者が取引したいと注文を出せば、取引は成立となります。
新米投資家におすすめの本
これから仮想通貨の投資を始めるのであれば、簡単な基礎本を手元に置いておくと安心です。仮想通貨初心者におすすめの書籍を2冊紹介します。
1時間でわかるビットコイン入門
出典:Amazon – 1時間でわかるビットコイン入門 小田 玄紀 著
初心者でもわかりやすいビットコインの入門書です。重要なポイントは図解で説明されているなど、仮想通貨の知識がなくても学びやすい内容となっています。
5000円ではじめる仮想通貨投資入門
出典:Amazon - 5000円ではじめる仮想通貨投資入門 上野 義治 著
『ビットコインとは何か』から始まり、投資の基本的な注意点や仮想通貨の買い方までしっかり解説されています。最後には代表的なアルトコインの解説もあり、自分で選んで投資ができるところまで十分カバーされています。
まとめ
仮想通貨投資には、リスクがつきものです。価格の変動も激しいため、1日で資産を失ってしまう可能性もあります。また、取引所のハッキング被害などにも注意が必要です。
長期保有する通貨はウォレットに移すなどリスク対策を欠かさず、できるだけ安全に投資を行いましょう。