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仮想通貨の法律規制ってどうなってるの?改正資金決済法を徹底解説

最近、投資対象として急速に関心を集めている仮想通貨ですが、さまざまなトラブルの話も聞こえてくるので、興味があるが不安だという人も多いでしょう。今回は、そのような不安を解消するため、仮想通貨が法的にどう扱われているかを解説します。

この記事の目次

仮想通貨に関する法規制の背景

現在、仮想通貨は取引量もさることながら、その種類自体も急激に増加しています。通貨としての機能に加え投資の対象にもなるため、世の中の経済活動に対する影響も大きくなっており、法的な扱いも整備され始めています。

MTGOXの経営破綻をきっかけに

日本において、仮想通貨の法的な扱いが明文化され、取引所に規制が導入される大きなきっかけとなったのは、2014年に発生した『MTGOX(マウントゴックス)社』からの、ビットコイン消失事件です。

このとき、MTGOX社はハッキングにより、総数85万のビットコインが不正流出したと発表し大問題となりました。その後、これは横領事件であったとして元社長(無罪を主張)が逮捕・起訴され、裁判が行われています。

事件の真相が何であったにせよ、当時は仮想通貨というものの存在が法的に不明瞭であったり、利用者から多額の財産を集めて運営される交換所の運営体制にも、最低限の法的な縛りがなく、そういった事情の問題点が浮き彫りにされたのがこの事件です。

そのような事態も踏まえて日本では、仮想通貨交換業に法律の網をかける動きが始まり、資金決済法の改正案が作られました。

法律改正の流れ

仮想通貨に関する法律改正のおもな経緯は、以下のとおりです。

2016年5月 法案可決

2015年に開催の、G7エルマウ・サミットにて採択された首脳宣言には、テロリストへの資金供与を阻止するため、仮想通貨を含む新たな支払手段の規制を進めることが明記されました。

また、このサミットと並行的に開催された金融活動作業部会(FATF)でも、いわゆる仮想通貨取引所に対して登録(免許)制度を導入するよう、関係各国に求めるガイダンスが発表されています(以下のリンク参照)。

こういった流れに沿いつつ、仮想通貨を利用する消費者の安全性を確保する目的も含めて、2016年3月に資金決済法の改正案(および、関連するいくつかの法案)が国会に提出され、5月に同国会内で可決、6月4日公布されました。

事務局説明資料 金融庁総務企画局

2017年4月 仮想通貨法施行

いわゆる『仮想通貨法』は2017年度から施行され、仮想通貨に関する法的な規定が明確になりました。

10月からは金融庁が監視を本格化

2017年4月1日にこの法律が施行した時点では、それ以前から仮想通貨取引業(仮想通貨交換業)を開業していた企業が複数存在していました。

そういった業者のための経過措置として、法律施行から6カ月間は各社を法律にそった業者として扱い(みなし業者)、同じ業務を継続することが特例期間として認められました(資金決済法 の附則 第八条)。

さらに、各業者が登録申請を行っていれば、金融庁により登録の可否が決定するまでの間も、仮想通貨交換業を継続できることになっています。

この特例期間が終了する2017年10月以降に向け、金融庁では『仮想通貨モニタリングチーム』を設け、本格化する規制に備えています。

このチームには、システムリスク管理、会計、法律、金融犯罪対応、金融実務、そして金融商品の監視など、専門知識のある人物が参加し、仮想通貨交換業者からの登録申請を審査し、仮想通貨を含めた資金決済を、安定的に行える環境つくりを行っています。

仮想通貨法とはどんな法律なのか

さて、上記のような経緯で発足した仮想通貨に関する法律ですが、その具体的な中身はどうなっているでしょうか。

正式には改正資金決済法

仮想通貨法とも呼ばれることがありますが、この法律の正式な名称は『資金決済に関する法律(資金決済法)』です。

実際には仮想通貨を取り締まるための法律ではなく、銀行間の清算、為替取引、プリペイドカードに関する事項などを網羅し、資金決済業務に法的な規定を与えるものとなっています。

資金決済に関する法律

仮想通貨法の2つの目的

改正された資金決済法(仮想通貨法)の目的は、上記のとおり仮想通貨取引を制限するものではなく、仮想通貨市場が将来的に安定して成長するよう、基礎的な事項を定めたものとなっています。その主目的は、以下の2項目です。

仮想通貨の利用者を守る

改正された資金決済法では、仮想通貨交換業者が取るべき、利用者への基本的な対応義務や、運営体制の整備などを法律で明記することによって、利用者が不必要な損失を被ることがないように保護しています。

犯罪を防止する

匿名性を維持したままネットの中だけで移動する仮想通貨では、テロ組織や国際的な犯罪グループなどが、マネーロンダリングに利用する可能性も高くなります。そういった事件の発生を防ぐ目的も、改正された資金決済法に与えられています。

仮想通貨の定義

資金決済法の今回の改正においては、仮想通貨について法的な定義が明確になったことも大きな意味となっています。仮想通貨の定義は、大きく分けて2つ(1号および2号仮想通貨)があります。

物品やサービスが購入できる価値がある

資金決済法が定義する仮想通貨の性質ひとつめは、1号仮想通貨と呼ばれるものです。

その定義によれば、仮想通貨とは物品購入や借り受け、あるいは役務の提供の代価を支払うために、ネットなど(電子情報処理組織)を用いて移動できる、電子的に記録された財産的価値であるとされています(2条5項)。

よって、一般の通貨の代替となる機能を持っているということです。ただし、たとえネットバンキングなどで移動できるとしても、日本を含めた各国の法定通貨は、仮想通貨にはなりません。

不特定の相手と売買ができる

また、資金決済法の中では、仮想通貨は(任意の)特定しない相手との間で売買などができる、電子的に記録された財産価値である、とも定義されています。仮想通貨取引所などで、相手を選ばずに売買を行う取引形態がこれにあたります。

1号仮想通貨と交換できる

また、2号仮想通貨と呼ばれる形も定義されています。これは、不特定の相手に対して、ネットなどを通じ1号仮想通貨と相互に交換が可能な、財産的価値のことを指します。

物品購入などの決済手段として使われていないものでも、たとえば、不特定の人を相手にビットコインなどと交換が可能であれば、仮想通貨と認識されるわけです。

電子マネーは仮想通貨になるのか

カードにチャージし買い物の支払いに使う電子マネーは、たしかに電子的に記録されてはいますが、それを不特定の相手に対し交換することができないので、仮想通貨としては扱われません。

仮想通貨交換業に対する規制

改正資金決済法において、もうひとつの大きな意味となるのは、仮想通貨の交換を行う業者に、一定の法的な規制がかけられたことです。

仮想通貨交換業とは

仮想通貨交換業とは、いわゆる仮想通貨取引所のことです。資金決済法において仮想通貨交換業者が行う業務は、以下のとおりと定義されています(2条7項)。

  • 仮想通貨の販売や交換
  • 上記の行為の取り次ぎや媒介および代理
  • 上記2つの業務に関する利用者の金銭や仮想通貨の管理

法改正の目玉である交換業者の登録制

改正された資金決済法には、仮想通貨が犯罪やテログループの資金調達などに使われることを防ぐこと、そして、利用者の安全性と利便性を適正に保つという目的があります。

このため、仮想通貨交換業者(仮想通貨取引所)は、財務局(支局)へ申請書を提出し、金融庁(内閣総理大臣)の登録を受けなければ運営できないことになりました。

登録を受けるための要件

仮想通貨交換業として登録を受けるために必要な主だった項目は、資金決済法(および仮想通貨交換業者に関する内閣府令)により、以下のとおりとなっています。

  • 資本金1、000万円以上の株式会社であるか、外国で法的に認められた仮想通貨交換業者であること
  • 純資産額がマイナスでないこと
  • 法律にそった運営が可能な体制を持っていること
  • 公益に反する業務を他に行っていないこと
  • 破産手続きを受けている場合は復権していること
  • 暴力団対策法で受けた罰金刑の執行が終わり5年以上たっていること
  • 禁固刑の執行が終わり5年以上たっていること

コインチェックは登録されていなかった

先ごろ、仮想通貨の一種であるネムが大量に盗まれ、社会的な話題となった仮想通貨取引所のコインチェックは、現状で業務の登録申請が受理され審査中の状態であり、前出のみなし業者として取引所を運営していました。

登録の有無は金融庁のHPで確認

仮想通貨交換業として登録を受けた会社名は、金融庁のHPからpdfファイルがダウンロード可能であり、随時確認できます。

免許・許可・登録等を受けている業者一覧 : 金融庁
仮想通貨交換業者登録一覧

仮想通貨交換業者に課せられた義務

改正資金決済法は、仮想通貨の技術革新をできるだけ阻害せず、交換業者の業務を適正化することが目的です。

その中でも、犯罪に利用されることを防ぐことは大きな要素であり、仮想通貨交換業者は、利用者が口座開設をする際などに、本人確認をする義務を負います。

利用者の保護を徹底

また、もうひとつ重要なポイントとしては、利用者の安全性を確保するということがあげられます。

仮想通貨交換業者として登録を受けた会社は、以下のような対応を利用者に取ることが義務付けられます。

  • 業者自身の商号と登録番号を書面交付などで利用者に知らせる
  • 利用者から受領した金額や、仮想通貨の数量を確認できるようにする
  • 仮想通貨の特性(法定通貨ではない、損失を生むリスクがあるなど)を説明する
  • 取り扱う仮想通貨の価値が保証されているか・いないか、保証されている場合は誰によってされているかの説明をする
  • 利用者が支払う手数料や費用の説明をする
  • 利用者の苦情および相談を受け付ける事業所の所在地と連絡先を知らせる
  • 利用者が、交換業者のウェブサイトなどを他のものと誤認しないようにする措置を講ずる
  • 利用者が、ウェブサイトなどの操作を容易に確認および訂正できるようにする

また、仮想通貨交換業者は、上記のような利用者保護を図るためと、通貨交換業務を適切に行うための社内規則等を定め、従業員に対する研修なども行う義務があります(仮想通貨交換業者に関する内閣府令 第十九条).

法改正により税金も明確に

仮想通貨は、法定通貨建ての時価が変動するうえに、そのまま商品やサービスの購入に使用することもできます。つまり、通貨同士の売買だけでなく、決済に利用することでも、円ベースの損益が生じるわけです。

そういった利益にかかる税金を明確に処理するため、今回の資金決済法の改正にともない、仮想通貨の定義だけでなく所得としての扱いも整備されました。

2017年7月より消費税撤廃

仮想通貨の存在が法的に曖昧であった段階では、一般論的に仮想通貨は通貨ではなく物品として扱われていました。そのため一時は、その購入に消費税が課税されていました。

しかし、改正資金決済法の中において、仮想通貨は支払いのために使用できる財産的価値であると明記されたため、現在では消費税は課税されなくなっています。

非課税となる取引|消費税|国税庁

所得税は雑所得に区分された

仮想通貨は、投資対象として見られることも多くなっています。

この場合は、仮想通貨の売買から一定以上の差益を得ることが考えられますが、たとえば、似たような取引を行うFXや先物取引など金融商品の一部に、仮想通貨は含まれていません。

FXなどの利益は、それだけを分離して税額を決定する『申告分離課税』が適用されます。しかし、現在の税制上で仮想通貨売買からの利益は『雑所得』と扱われ、他の給与所得などと合計したうえで、所得税がかかることになっています。

申告分離課税では所得額に関わらず税率が20%ですが、雑所得として扱われる場合は、所得額に応じて税率がアップする累進税率となります。

No.1500 雑所得|所得税|国税庁

海外ではどうなっているのか

仮想通貨は、それが急速に普及してきたことや、それぞれの国や地域により政治や経済、あるいは文化的な事情が異なることなどから、現状では、各国の法的姿勢にも大きな差があります。

各国の規制の現状

世界的にも、仮想通貨の取引(投資)が大きな利益を生む、という評判だけが先行している実情があります。実際に、詐欺まがいの業者や投資案件なども増えており、通貨消失などの事件も相まって、社会問題化することも多くなっています。

そのような情勢のなか、日本では技術革新と安全性の両輪をかじ取りしつつ、仮想通貨の法規制を進めていくというスタンスを取っています。しかし、諸外国の中には、より否定的な姿勢で対処しているところもあります。

以下に、主要な各国の仮想通貨(取引所)に対する法的な姿勢についてまとめました。

国名 法的姿勢 施策など
アメリカ 肯定的 取引所は送金業者として州ごとの規制を受ける
イギリス 慎重 犯罪に使われる場合は厳しく取り締まるべきとの首相発言
オーストラリア 肯定的 マネーロンダリングなどを防ぐため、仮想通貨の定義などを含めた制度化を検討中
ロシア 否定的 通貨の代替物は違法との見解もあり。一方で国家で管理するデジタル通貨には積極的
フランス 慎重 ドイツと共同でG20に世界的な規制案を提出の意向
ドイツ 慎重 フランスと共同でG20に世界的な規制案を提出の意向
中国 否定的 悪質なICO(※1)により市民が大きな損失を被るケースが増えたため、交換所やマイニング(※2)も禁止
韓国 慎重 取引を禁止する法案を準備中との報道あり

※1 ICO:Initial Coin Offeringの略で、スタートアップ企業などが、トークンと呼ばれる証券のようなものをブロックチェーンを使い発行することで、資金調達することです。

※2 マイニング:有志がコンピューター演算を提供し、仮想通貨の新しい取引情報をブロックチェーンに取り込む処理を行うことで、処理が完成するとその通貨が報酬として受け取れます。

世界的な統一まで法律問題は山積み

仮想通貨は、ハイリスク・ハイリターンの投資対象という性質も強いため、各国ともに一般消費者の被害をコントロールする規制は考えているようです。

そのような中で、大規模な規制をかけるという意見も出ていますが、一方では、中央銀行によって、ブロックチェーンを使ったデジタル通貨を発行しようという動きも活発化してきています。

それぞれ、国益や仮想通貨の将来性、あるいは統制についての国家の姿勢などが違っており、世界的に統一した枠組みが考え出されるまでは、今少しの時間が必要だといえるでしょう。

まとめ

仮想通貨は、消費者の財産と交換される価値があるものですが、未だに不正消失などのリスクが存在しています。

仮想通貨の利用者を保護するため、日本においては2017年から改正資金決済法が施行され、取引所は原則的にすべて登録制となりました。

正式に登録を受けた仮想通貨取引所(仮想通貨交換業者)には、利用者に対する情報提供などの義務が明確化されており、選択する際には正規の業者であるか確認可能となっています。

また、仮想通貨取引から得る利益は、一般的な金融商品と違い雑所得として扱われるので、確定申告の際には注意が必要です。

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