仮想通貨取引所とは
仮想通貨を利用して商品を購入したり、投資を行ったりする場合には、日本円を仮想通貨に換金しなければなりません。その換金のサービスを提供するのが、『仮想通貨取引所』です。
取引所でできること
仮想通貨には常に売り手と買い手が存在し、換金レートは変動し続けています。売りと買い、双方の言い値をすり合わせ、取引を成立させる場が仮想通貨の取引所です。
売買取引は、最も安い売値を出した人と、最も高い買値を出した人の言い値が合致した場合に成立します。
販売所との違い
取引所が利用者間での売買の場所であるのに対し、販売所はサービス提供企業が保有する仮想通貨を利用者に販売、もしくは利用者から通貨を買い取るための場所です。
販売所では、サービス提供企業が出した売買価格のみで取引が行われます(取引所のように大きな換金レートの変動はありません)。
改正資金決済法による金融庁の認可
2017年4月1日から施行された、改正後の資金決済法により、日本国内で仮想通貨取引所(仮想通貨交換業)を営む者に、国(金融庁)への登録を含む、一定の法的な規制がかけられることになりました。
仮想通貨の定義
今回の改正により、仮想通貨に明確な法的定義が与えられました。この法律では、以下のようなことが行える『財産的価値』が仮想通貨であるとされています(法2条5項)。
- 不特定の人間を相手にし、物やサービスなどの購入の対価として使用できる
- インターネットなど(電子情報処理組織)を通じて移動できる
- 不特定の人間を相手にし、上記のものと相互に交換(売買取引)ができる
ただし、コンピュータのデータに記憶された日本円や外国通貨、あるいはプリペイドカードなどは仮想通貨にはなりません。
仮想通貨交換業者について
いわゆる仮想通貨取引所は、資金決済法のうえでは『仮想通貨交換業者』として扱われます。その定義(法2条7項)では、以下のような業務を行う業者とされています。
- 仮想通貨の売買や、他の仮想通貨との交換を行う(販売所)
- 上記の業務の媒介・取次・代理を行う(取引所)
- 上記2つの業務にからみ、利用者の資産管理を行う
仮想通貨交換業者の義務
今回の法改正によって、仮想通貨取引の透明化や利用者保護などを目的として、仮想通貨交換業者にはいくつかの義務が課されました。
本人確認の実施
犯罪組織などによるマネーロンダリング(資金洗浄)や、テロリスト集団への資金供給などを防ぐ目的で、仮想通貨交換業者(取引所)の利用者には公的証明書(運転免許証など)による本人確認が必須となりました。
本人確認が必要なのは、以下のような場合です(一度、確認が済んでいれば、原則として証明書の再提示は必要ありません)。
- 口座開設時
- 200万円を超える仮想通貨の交換・現金取引
- 10万円を超える仮想通貨の移転
利用者への情報提供
利用者保護の観点から、仮想通貨交換業者には情報提供の明確な義務があります(仮想通貨交換業者に関する内閣府令17条)。提供される主だった内容には、以下のようなものがあります。
- 取り扱う仮想通貨が法定通貨ではないことの説明
- 損失を生むリスクについての説明
- 取引に必要な手数料、報酬、費用の金額や上限額
- 苦情や相談に対応する営業所の所在地と連絡先
- (取引に関係する)紛争解決機関の名称など
- 財産を預け入れている金融機関の名称など
顧客資産と事業者資産の分別管理
仮想通貨交換業者は、自身の資産と利用者の資産を明確に分別して管理する義務があります(仮想通貨交換業者に関する内閣府令20 ~ 23条)。
法律で定められた管理方法は以下の通りです。
- 利用者から預かった金銭は銀行への預金か貯金、あるいは信託銀行への元本補てん契約のある信託で管理する
- 業者と利用者がそれぞれ保有する仮想通貨は、ただちに判断できる明確な区分を設けて管理する
取引所の認可有無の確認方法
金融庁は申請に応じ登録を受け付けた取引所(仮想通貨交換業者)には、遅滞なくそのことを連絡すると同時に、登録した業者名を一般の目に触れるよう公表する義務があります。
金融庁のHPで確認
金融庁のHPからは『仮想通貨交換業者登録一覧』を、PDFもしくはexcel形式でダウンロードできるようになっています。
認可がなくても営業できるのか
原則として、金融庁へ登録(認可)されていない業者は、仮想通貨取引所を営むことはできません。
猶予期間あり
上記のとおり、運営には登録が必須となっている仮想通貨取引所ですが、2017年4月に改正法が施行された時点での経過措置として、3月31日までに取引所を開業していた業者に対しては、認可を受けない状態であっても6カ月間は業務を継続できる(みなし仮想通貨交換業者)ことになりました。
また、上記の6カ月以内に登録申請を行った業者は、その可否が決定するまでの間は、従来通りの業務を継続できることにもなっています。
国内最大手Coincheckの状況
改正資金決済法が施行された直後の公示では、仮想通貨取引所としては大手である『Coincheck(企業名:コインチェック株式会社)』の名は、登録済み業者として記載されていませんでした。
2017年12月1日の同社のHPによると、既に申請は完了、金融庁にも受理されており、現在は登録審査中であるとのことです。
通常通りのサービスを提供
法令では仮想通貨取引所の登録申請を受理した場合、金融庁は2カ月以内に登録の可否を判断する義務があるとされていますが、業者側が申請書類の修正や追加を行う時間は、この2カ月に含まれないことになっています。
CoincheckのHPにおいてもその旨が記載されており、申請後2カ月が経過した現在は登録へ向けての最終調整段階にあり、通常通りサービスを提供できると説明されています。
仮想通貨交換業者への登録状況のご報告 | コインチェック株式会社
認可済みおすすめの取引所
2017年12月29日現在では、全16社が正式に仮想通貨交換業者として登録を受けています。ここでは、その中からおすすめの3社をご紹介します。
bitbank
『bitbank』は仮想通貨取引の流動性をさらに高め、機関投資家からの要求にもこたえることを目標に掲げたという取引所です。
現状では、ビットコインと米ドル間でFX取引を提供する『BTCFX』を提供する『ビットバンクトレード』と、日本円やビットコイン以外の仮想通貨の取引を提供する『bitbank cc』という、2通りのサービスを行っています。
BTCFXではレバレッジを最大20倍に設定できるため、資金効率のよい投資が行えるようになっています。
また、利用者が得た利益の0.2%を決済損失積立金として充当することで、ロスカット時に担保額を超える損失が発生した場合でも、追証(※)が発生しない仕組みを採用しています。
また、bitbank ccの大きな特徴のひとつとして、各通貨間の売買手数料が無料であるという点も挙げられます。(2018年1月現在)
会社概要は以下の通りです。
- 企業名:ビットバンク株式会社
- 資本金:11億3,100万円(資本準備金含む)
- 登録:関東財務局長第00004号
- 取扱い仮想通貨:ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、モ
ナコイン、ビットコインキャッシュ
※追証(おいしょう)とは、FX取引などで証拠金を超える損失が生じた場合、追加の担保金を請求されることです。
ビットコイン(bitcoin)購入・投資の先物取引所|ビットバンクトレード
ビットコイン・仮想通貨の購入方法|bitbank.cc
GMOコイン
東証一部上場グループが運営する仮想通貨交換業者が『GMOコイン』です。
『GMOコイン』は、取引所ではなく販売所でありながら、レバレッジ※(最大25倍)を効かせた売買が可能であるという点が、大きな特徴となっています。
通常、取引所では通貨レートと売買数量が目まぐるしく変動し、仮想通貨購入の際も希望した価格で希望した数量が得られるとは限りません。
『GMOコイン』では、売り(BID)と買い(ASK)の2通りの価格をシンプルに表示する方式であり、利用者は自分が納得した価格で確実に売買を行うことが可能です。
会社概要は以下の通りです。
- 企業名:GMOコイン株式会社
- 資本金:17.58億円(資本準備金含む)
- 登録:関東財務局長 第00006号
- 取扱い仮想通貨:ビットコイン、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、ライトコ
イン、リップル
※レバレッジとは担保金を元手に、その数倍から数十倍の額の取引を行える取引手法のことです。
Zaif
『Zaif』は、ビットコインと日本円の間の取引手数料をマイナスに設定しているという、ユニークな仮想通貨取引所です。
現状(2018年1月)では、すでに提示された価格で売買取引を行う場合(taker)の手数料は-0.01%、自分自身で価格を提示し、条件の合う相手と取引する場合(maker)の手数料を-0.05%に設定しています。
加えて、取扱う仮想通貨の種類が多いのも、Zaifの大きな特徴となっています。
会社概要は以下の通りです。
- 企業名:テックビューロ株式会社
- 資本金:8億3,013万円(資本準備金含む)
- 登録:近畿財務局長 第00002号
- 取扱い仮想通貨:ビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュ、カウンターパーティー、ザイフ、ビットクリスタル、ストレージコインエックス、ぺぺキャッシュ、フィスココイン、カイカコイン、ネクスコイン、ゼン、ゼム(ネム)、イーサリアム、コムサ
まとめ
資金決済法が改正され、仮想通貨交換業も国への登録が義務付けられました。登録されるためには、法律で求められる運営体制を整える必要があるため、仮想通貨取引の利用者にとっては、より安全な取引を行える環境が整ったと言えるでしょう。
正規に登録された業者名は、すべて金融庁のHPにより公示されるので、新たに仮想通貨取引を開始する場合は、そういった情報を確認した後に業者を選択するようにしましょう。