経理処理の方法
税理士費用を支払った場合の仕訳の切り方と、消費税や源泉所得税に関する注意点を説明します。
仕訳の切り方
税理士費用を支払った際に用いる勘定科目は、『支払報酬』や『支払手数料』などが一般的です。仕訳の切り方は下記のようになります。
借方 | 貸方 |
支払報酬 ◯◯円 | 現金預金 ◯◯円 |
また、法人や個人事業主などの源泉徴収義務者が税理士費用を支払った場合は、支払金額に応じた所得税と、復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。源泉徴収税額は下記のように定められています。
税理士費用の金額(消費税別) | 源泉徴収税額 |
100万円以下 | 税理士費用×10.21% |
100万円超 | (税理士費用-100万円)×20.42%+102,100円 |
No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|源泉所得税|国税庁
(仕訳例1)税理士費用10万円(消費税別)を支払った場合
借方 | 貸方 |
支払報酬 97,790円 | 現金預金 97,790円 |
支払報酬 10,210円 | 源泉所得税預り金 10,210円 |
※源泉徴収税額は10万円×10.21%=10,210円になります。
(仕訳例2)税理士費用200万円(消費税別)を支払った場合
借方 | 貸方 |
支払報酬 185万3,700円 | 現金預金 185万3,700円 |
支払報酬 30万6,300円 | 源泉所得税預り金 30万6,300円 |
※源泉徴収税額は(200万円-100万円)×20.42%+10万2,100円=30万6,300円になります。
税理士費用にかかる消費税
税理士費用にも消費税8%が課税されます。税理士費用の請求書等の明細書類には、消費税額が明確に区分されていないものもあるので、記載された金額が消費税込みの報酬金額なのか、よく確認するようにしましょう。
税理士費用の取扱い
支払った税理士費用は経理として認められるのでしょうか?法人と個人のケースに分けて解説します。
法人の経費
法人の経理や会計、税務業務のために税理士に支払った税理士費用は、経費として認められます。業務内容や費用の額を明確にするため、税理士との顧問契約書や請求書などの書類は大切に保管するようにしましょう。
個人の必要経費
個人事業主が事業の経理や税務業務等のために税理士に支払った費用は、事業の必要経費として認められます。しかし、相続税や贈与税申告のために税理士に支払った費用は、事業とは直接の関係がないため、必要経費とは認められません。
相続で税理士費用を支払った場合
相続税の申告などで税理士費用を支払った場合の、注意すべき点を解説します。
税理士費用は控除されるの?
相続税申告のために税理士に支払った費用は、相続財産額から控除することはできません。相続税の計算上、債務として控除できるのは、相続発生時点で債務として確定しているもの、及び葬儀費用に限定されます。
税理士費用の相場
税理士費用はどのようにして決まるのでしょうか。ケース毎に分けて、税理士費用の決め方と相場について解説します。
税理士の顧問料・報酬相場をケース別に詳しく紹介 - 税理士ドットコム
法人の場合
法人は毎月の顧問契約を締結したり、決算・税務申告業務などを依頼したりする際に、税理士費用が発生します。
毎月の顧問契約
法人の場合、税理士と顧問契約を締結し、毎月定額の顧問料を支払うのが一般的です。顧問料は会社の売上高や事業規模などにより決定されることが多く、相場は2万5千円から6万円前後となっています。
決算・税務申告
税理士に決算書・税務申告書の作成を依頼する場合の報酬の相場は、毎月の顧問料の4から6カ月分ほどで、10万円から50万円前後となっています。また、規模の小さな法人で、決算の時のみ税理士に依頼する場合の費用は10万円から30万円前後が相場です。
その他の業務
毎月の会計業務や、決算・税務申告業務の他にも、税理士に業務を依頼することがあります。主な業務内容と税理士費用の相場をまとめました。
業務内容 | 税理士費用の相場 |
給与計算 | 1万円~3万円程度 |
年末調整・給与支払報告書作成 | 1万円~5万円程度 |
償却資産申告書作成 | 1万円~3万円程度 |
個人の場合
個人の場合も、法人と同様で毎月の顧問契約を締結する場合や、所得税の確定申告業務を依頼する際に税理士費用が発生します。また、相続が発生した場合に相続税の申告業務を依頼する際にも税理士費用が発生します。
所得税の確定申告
個人事業主の場合でも、税理士と顧問契約を締結し毎月顧問料を支払う場合があります。顧問料の相場は2万円から4万円前後です。更に確定申告を依頼する場合は、10万円から30万円前後が相場です。
相続税の申告
相続税申告のために税理士に支払う費用の相場は、相続財産評価額の0.5%から1.0%位が相場です。例えば相続財産が1億円の場合は、税理士費用は50万円から100万円程度になります。
相続税申告の税理士報酬相場は?適正な費用の見極め方 - 税理士ドットコム
まとめ
税理士費用を支払った際の経理処理については、消費税や源泉所得税の計算に注意しましょう。また、支払った税理士費用が経費や控除の対象になるかどうかは、税目や内容によって分かれますので、しっかり確認しなければなりません。
税理士への依頼を検討している方は、税理士費用の相場を参考にし、適正な料金で必要なサービスを提供する税理士を見極めるようにしましょう。