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総平均法などの棚卸資産の各種評価法。整理して覚えれば混乱しない

税務署への確定申告や決算申告を行うためには、決算時点での棚卸資産の価値を評価し、経営状態を正確に把握する必要があります。棚卸資産の金額の算出には複数の評価方法がありますので、ここでは棚卸資産の各種評価法を整理します。

この記事の目次

棚卸資産ってどう評価するの?

経営状態を正しく把握する上で、棚卸は重要な資産評価のひとつです。卸売業であっても製造業であっても、物を売ってお金に替える事業は、

売り物の資産評価次第で決算の結果が大きく左右されます。事業に応じて適した評価方法を選択しましょう。

評価の方法は大きく分けて2つ

評価の方法には原価法と低価法がありますが、それぞれ利用するべき場面が違います。以下では事例をもとに、各評価方法を詳しく見ていくことにしましょう。

設定としては、このような時系列を想定します。

  • 4月1日:商品を200円で10個仕入れた。
  • 4月15日:商品が1個500円で5個売れた。
  • 5月1日:4月に仕入れた商品の人気が上がったため、さらに同じ商品を300円で20個仕入れた。
  • 6月1日:商品の人気がますます上がったため、品薄になる前にまとめ買いを行い、商品を400円で50個仕入れた。
  • 6月30日:商品のブームが去り、商品は100円で仕入れられるようになった。売値も相場に合わせて150円に値下げした。

原価法について

まずは、原価法について説明します。低価法を採用するとしても、前提として原価法での計算を済ませていることが必要になります。各種原価法を理解しておくことは棚卸に必須です。

原価法は棚卸資産の取得単価で算出

原価法というのは、棚卸資産の「取得単価」をもとに評価額を算出する方法です。

原価法の中にも分類がある

原価法の中にも分類があり、主に使われる方法は以下の6種類です。

総平均法

総平均法とは、資産を取得したときの価格の総額を総数量で割り、平均価額を評価額とする方法です。

月日 取得単価 個数 取得金額
4月1日 200円 10個 2,000円
5月1日 300円 20個 6,000円
6月1日 400円 50個 20,000円

合計、80個を28,000円で仕入れたわけですから、総平均法によれば評価額は『28,000円÷80個=350円』となります。

商品の在庫は4月15日に5個売れて残り75個ですから、棚卸資産の評価額は『350×75=26,250円』です。

移動平均法

移動平均法とは、資産を取得するたびに、総平均法によって算出した取得単価を再計算していく方法です。

月日 取得単価 個数 取得金額 総平均単価
4月1日 200円 10個 2,000円 200円
4月15日 (売却) -5個 -1,000円 200円
5月1日 300円 20個 6,000円 280円
6月1日 400円 50個 20,000円 360円

5月1日時点での取得単価は25個を7,000円(2,000円-1,000円+6,000円)で仕入れたものとして『7,000円÷25個=280円』です。また、6月1日時点での取得単価は75個を27,000円(7,000円+20,000円)で仕入れたものとして『27,000円÷75個=360円』というわけです。

棚卸資産の評価額は『360円×75=27,000円』です。当然ですが、評価方法によって資産評価額には差が生じてきます。

先入先出法

先入先出法とは、先に仕入れたもの(先入れ)から先に売れていく(先出し)と考える方法です。仕入れごとに取得単価がバラバラになってしまいますが、いくらで仕入れた物がいくらで売れたのかという実際の資産の動きを把握できます。

月日 取得単価 個数 取得金額 1個の評価額
4月1日 200円 10個 2,000円 200円
5月1日 300円 20個 6,000円 300円
6月1日 400円 50個 20,000円 400円

評価額は取得単価そのままで、4月1日に仕入れた10個は単価200円、5月1日に仕入れた20個は単価300円、6月1日に仕入れた50個は単価400円というわけです。

棚卸資産の評価額は取得原価そのままですから、『2,000円-1,000円+6,000円+20,000円=27,000円』です。

仮に5月15日に商品が10個売れたとすると、4月1日に仕入れた10個のうち、4月15日に売れなかった残りの5個と、5月1日に仕入れた20個のうちの5個が売れたと考えます。この点も、先入先出法の特殊なところです。

最終仕入原価法

最終仕入原価法とは、取得単価を算定する時点に最も近い時点で仕入れた資産の取得単価をすべての資産に適用する方法です。

月日 取得単価 個数 取得金額
4月1日 200円 10個 2,000円
4月15日 (売却) -5個 -1,000円
5月1日 300円 20個 6,000円
6月1日 400円 50個 20,000円

この中で最後の仕入れは6月1日、取得原価は400円ですから、在庫75個をすべて単価400円と評価し、棚卸資産は『400円×75個=30,000円』と評価されます。

個別法

個別法とは、個々の資産についてそれぞれの仕入れ額を取得単価とする方法です。

すべてが仕入額も売上額も異なる1点ものの商品であれば個別法によるのが適切ですが、ロットで購入するような資産にはあまり使いません。

今回の設例であれば、評価額は先入先出法と一致します。

売価還元法

売価還元法とは、商品価格に原価率を掛けることで原価を逆算する方法です。個別法と同様に、ロットで購入するような資産にはあまり使いません。

今回の設例ですと、4月15日に200円で仕入れた物を500円で売っていますので、原価率は『200円÷500円=0.4』です。

資産75個は150円で売る予定ですから、単価は『150円×0.4=60』で60円となり、棚卸資産は『60円×75個=4,500円』です。

低価法について

さて、ここからは低価法について説明します。

低価法とは、棚卸資産の評価を「原価法による評価額」と「期末時価」のいずれか低いほうの価額を持って評価額とする方法です。

現行法上、会計基準としては低価法を採用しなければならないことになっています。しかし、法人税法上は管轄の税務署に届出さえしていれば、先ほど見た6種類の原価法も採用できることになっていますので、事業形態に合わせて評価方法を選べます。

取得単価と期末時価を比べる

低価法とは、「原価法による評価額」と「期末時価」のうち、低いほうの価額を棚卸資産の評価額とする方法です。

低価法における期末時価とは?

個人事業主は毎年12月31日が、法人は定款で定められた決算日が期末となります。この時点で時価が評価されるわけですが、ここで時価を算定する方法は2種類あります。

正味売却価額

1つ目が正味売却価額です。いくらで売れるかを算定し、それを時価とします。今回の設例であれば、単価150円が相場ということですので、棚卸資産の評価額は『150円×75個=11,250円』です。

再調達原価

もう1つが再調達原価です。期末時点ならいくらで仕入れられるかを算定し、それを時価とします。

今回の設例であれば、単価100円で仕入れられますので、棚卸資産の評価額は『100円×75個=7,500円』です。

総平均法による原価法に基づく低価法とは?

低価法は原価法による評価額と期末時価を比較して安い方を採用する方法ですので、こちらを採用しても原価法による評価は必要です。

その際に6種類の原価法のうち、どれを採用するかも自由ですので、ここでは総平均法を例として棚卸資産の評価額を算定します。

今回の設例で、総平均法によれば評価額は26,250円でした。

すると、時価を正味売却価額とした場合は時価11,250円で、時価の方が安いですから、評価額は11,250円ということになります。

また、時価を再調達原価とした場合は7,500円で、これも時価の方が安いですから、評価額は7,500円ということになります。

まとめ

以上、7種類の評価方法のうち、1つを選んで管轄の税務署に届出をすれば、届出した方法での確定申告・決算申告を行えます。

棚卸資産の評価法は種類が多く混乱しがちですが、概要を知って、自分の会社や事業に合ったものを選んで1つ使用することが大切です。

この記事の監修者

明治大学出身。上場保険代理店にて1年目新人賞、2年目社長賞受賞後にFPとして独立。これまで約2,000人と面談、プランニングを手掛ける。一人ひとりの資産設計の参謀として、お金の貯め方・守り方・増やし方などをアドバイスしている。 掲載メディア:ゼクシィ、Lifehacker、みんなのおかねドットコム、RAINBOW Town FM、他

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