なぜ領収書が重要なのか?
領収書は、お金を支払う方から見ると自分がお金を支払った事を証明することができます。また、逆にお金を受け取る方から見れば自分がお金を受け取ったことを証明することができます。つまりお金の受取り、金銭の受領の証拠として役割を果たしているのが「領収書」です。
出典:中央区の行政書士磯谷法務事務所 内部監査 企業法務 リーガルチェック
上記の通り領収書の役割とは、金銭のやりとりにおける証明書のようなものです。
また、自宅を職場としているフリーランスは、住まいの家賃や光熱費なども領収書があれば、経費として計上することができます。よって、フリーランスにとって領収書とは『税金対策』にも役立ちます。
税金対策
所得税と住民税は、所得が多いほど支払う金額が大きくなります。所得とは、売上から経費を引いた金額です。そのため、領収書があれば経費を計上でき、その分所得が少なくなるため支払う税金が少なくなります。
以下の表は、自宅を職場にしている場合に、経費として計上できるものの一覧です。
地代家賃 | 自宅の家賃など |
光熱費 | 電気、ガス、水道代など |
通信費 | 携帯料金、インターネット使用料など |
交際費 | 取引先との接待で使った飲食代など |
消耗品 | 仕事で使うパソコンや文房具の購入費など |
地代家賃、光熱費、通信費に関しては、事業とプライベートの両方で使用している場合は、事業にかかった分だけを経費に計上する『家事按分』が必要となります。
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経費は税務署で確定申告(※1)をする際に、いくら使ったのかを『申告決算書』に記入して提出します。
確定申告では領収書を提出する必要はありませんが、申告してから最低7年は保存しておくことが義務付けられており、税務調査(※2)が入る時には領収書を提出する必要があります。
(※1確定申告とは1月1日~12月31日までの1年間の会計結果を確定し、翌年の2月16日~3月15日の間に税務署に申告することです。)
(※2税務調査とは税務署の職員が職場に出向き、正しく納税が行われているかチェックするための調査のことです。)
確定申告に関する手引き等|所得税(確定申告書等作成コーナー)|国税庁
正確な記述の必要性
領収書は貰うだけでなく、フリーランスとなったら発行する機会もあります。取引先や顧客側にとって、領収書は税金対策の上で重要なものです。
そのため、記載に不備があり、領収書として認められないものを相手に渡してしまえば、信用を損ない今後の取引に影響する可能性があります。
領収書を正確に記述して発行することは、『お金』と『信用』を守ることに繋がります。
領収書の発行の仕方
ここからは領収書の正しい書き方についてです。市販されている領収書の用紙を見れば、どこに何を書くのかなんとなくわかりますが、そこには細かなルールがありますので詳しくご説明します。
書き方の基本
領収書は『いつ・誰が・誰に・何にいくら支払ったか』を証明しなければならないので、以下の内容を記載する必要があります。
- 日付
- 相手先の名前・会社名
- 発行者の名前・会社名
- 但し書き
- 金額
金額の部分は、領収書を発行した後に書き直せないように、『¥』と『−』で金額を挟み、『¥10,000-』といったように記載します。
宛名の注意点
宛名は相手の会社名を正確に記載します。『上様』と記載したり、株式会社を(株)と省略したりするのはやめましょう。
また、『株式会社』が社名の後に付くのか、前なのかも正確に把握しておきましょう。
但し書きの注意点
汎用性が高いからといって、『お品代として』や『商品代として』と記載するのはやめましょう。内容が曖昧になってしまうので、本を売ったのなら『書籍の購入費として』、洋服なら『衣類の購入費として』といったように、売った商品やサービスを具体的に記載しましょう。
印紙の注意点
50,000円を超える領収書には、収入印紙を貼る必要があります。収入印紙とは、領収書や契約書といった重要書類に課税される印紙税を払うために、書類に貼る切手のようなものです。
取引額によって、以下のように印紙の金額が変わります。
取引の金額 | 印紙の金額 |
5万円未満 | 不要 |
100万円以下 | 200円 |
100万円超 200万円以下 | 400円 |
200万円超 300万円以下 | 600円 |
300万円超 500万円以下 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 2,000円 |
収入印紙を貼る場合は、併せて『割印』も必要となります。使用する印鑑は発行する側の関係者であれば誰のものでもよく、ゴム印でもかまいません。
(※割印とは収入印紙の二次使用を防ぐために、収入印紙と書類を割るように捺印することです。)
正確で効率的な発行をするには
企業や法人向けのサービスや商品を扱っていれば、領収書を発行する機会も多くなり、手書きの領収書では非効率になってくる可能性もあります。また、記載漏れや記述ミスなどの人的要因によるミスも、手書きでは対策が難しいでしょう。
テンプレートを使用する
領収書の発行を、より正確で効率的に行うためには、インターネットでダウンロードできるテンプレート(※)を使用するという手段があります。
例えば、書籍を売っている場合は、但し書きの部分に『書籍代の購入費として』と記載し、テンプレートとして保存しておけば、発行の際に記載する手間が省けます。その他にも、金額や取引相手などがある程度決まっているのなら、テンプレート化すれば効率的になります。
また、テンプレート化することで、発行のたびに記載する箇所が少なくなれば、記載漏れや記述ミスの防止にも繋がります。
(※テンプレートとは同じ内容の書面を繰り返し使うために、エクセルやPDFなどで書面をデータ化したものです。)
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まとめ
金額、宛名、但し書き、印紙の有無など、領収書には記載すべきことが複数あります。また、項目ごとに細かなルールがあるため、間違った記載は、経費として認められない場合もあります。
ルールの細かさが少々煩雑に感じるかもしれません。しかし、領収書は『信用』に影響するため、知識が曖昧なままで記載した領収書を発行してしまうと、結果的に経営に影響する可能性があります。
フリーランスとしての事業を守るために、正確な領収書の知識は重要なことと言えます。