iDeCoで必要な手数料とは
iDeCoは、任意で加入する私的年金制度です。加入義務がある国民年金とは異なり、希望者が自ら金融機関(運営管理機関)で専用口座を開き、そこに掛金を積み立てていきます。
そして、積立金を運用し、積立金額と運用益から算出した金額を、60歳以降に老齢給付金として受け取る仕組みです。積立金額には人それぞれ上限があるので、前もって調べておく必要があります。
iDeCoを始めるにはまず、自分で金融機関を選んで口座を開設する必要があります。しかし、金融機関は多数あるため、どこにすればよいのか分からないという人もいるでしょう。
そのような場合、各金融機関のiDeCoにかかる手数料を比較して、手数料が安いところを選ぶのがおすすめです。
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
iDeCoの手数料は大きく分けて2種類
iDeCoでは、加入時・運用時・給付金受給時などに手数料を支払わなくてはなりません。
区分 | 手数料の種類 |
iDeCo加入時 | 加入時手数料 |
資産移換時 | 移換時手数料 |
掛金積立時 | 口座管理手数料(収納手数料・資産管理手数料・運営管理手数料) |
積立停止時 | 口座管理手数料(資産管理手数料・運営管理手数料) |
給付金・一時金受取り時 | 給付事務手数料 |
掛金還付時 | 還付事務手数料 |
このうち、運営管理手数料や移換時手数料・還付事務手数料などは、金融機関によって金額が異なります。手数料は専用口座内の積立金から引かれるので、手数料が高いと積立金が減ってしまうのです。
そのため、できるだけ手数料が安い金融機関で口座を開いた方が、お得にiDeCoを利用できます。
すべての金融機関で共通のもの
ここからは、各手数料の詳細を見ていきましょう。まずは、どの金融機関でも金額が共通している手数料についてです。
加入時や移換時にかかる手数料
iDeCoに加入するとき、または企業型年金などから資産を移換するときには、『加入時手数料』や『移換時手数料』が発生します。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
加入時手数料 | 国民年金基金連合会 | 2777円 | 加入時1回 |
移換時手数料 | 国民年金基金連合会 | 2777円 | 移換時1回 |
掛金拠出時にかかる手数料の一部
掛金積立時にかかる口座管理手数料は、収納手数料・資産管理手数料・運営管理手数料からなっています。このうち、以下の2種類は、どの金融機関でも同じ金額です。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
収納手数料 | 国民年金基金連合会 | 103円 | 月1回 |
資産管理手数料 | 信託銀行(※) | 64円 | 月1回 |
また、積立金額の上限以上に積み立てた場合は、超過分が還付されます。このときかかる還付事務手数料は、国民年金基金連合会の事務手数料・信託銀行の事務手数料・運営管理手数料からなっており、以下の2種類は金額が一律です。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
国民年金基金連合会の事務手数料 | 国民年金基金連合会 | 1029円 | 還付時1回 |
信託銀行の事務手数料 | 信託銀行 | 432円 | 還付時1回 |
(※信託銀行とは、国民年金基金連合会からiDeCoの資産管理や給付金支給など、iDeCoに関する事務処理を委託された金融機関のことです)
金融機関によって異なるもの
続いて、金融機関によって金額が異なる手数料について紹介します。
金融機関へ支払う口座管理手数料
口座管理手数料のうち、運営管理手数料については金融機関によって金額が異なります。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
運営管理手数料 | 金融機関 | 0~450円 | 月1回 |
なお、iDeCoは1度加入すると脱退不可ですが、金銭的に苦しいときには掛金の積み立てを止めることが可能です。
ただし、積立停止中も、口座管理手数料のうちの資産管理手数料・運営管理手数料は発生し続けるので注意しましょう。
還付時手数料や移換時手数料
還付事務手数料のうち、運営管理手数料は金融機関によって金額が変わります。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
運営管理手数料 | 金融機関 | 0~648円 | 還付時1回のみ |
また、iDeCoの金融機関を変更し、別の金融機関に資金を移す際に、移換前の金融機関に移換時手数料を支払わなければならないことがあります。
この移換時手数料は、金融機関によって無料の場合と4320円かかる場合があるので、前もって調べておきましょう。
項目 | 支払先 | 金額 | 支払回数 |
移換時手数料 | 金融機関 | 0円・4320円 | 移換時1回のみ |
口座管理手数料の比較
iDeCoの手数料で金融機関ごとに大きく金額が異なるのは、主に口座管理手数料に含まれる『運営管理手数料』です。主な金融機関の運営管理手数料を比較してみましょう。
金融機関によって0円から数百円
運営管理手数料は、金融機関によって0~450円と大きく差があります。月1回支払うものなので、1年間で最大5400円の差が出るのです。
金融機関 | 運営管理手数料 |
SBI証券 | 0円 |
楽天証券 | 0円 |
マネックス証券 | 0円 |
松井証券 | 0円 |
大和証券 | 0円 |
野村証券 | 283円 ※掛金1万円以上、または残高100万円以上で無料 |
みずほ銀行 | 255円 ※所定の条件を満たすと無料 |
三井住友銀行 | みらいプロジェクトコース:0円
標準コース:255円 |
三菱UFJ銀行 | 標準コース:378円 ライトコース:255円 |
金融機関によっては、所定の条件を満たすことで運営管理手数料が0円になることもあるので、希望の金融機関の手数料について調べてみましょう。
商品ラインナップも確認しよう
iDeCoの金融機関を選ぶ際に手数料の比較は重要ですが、運用商品のラインナップも確認しておきましょう。
iDeCo用の運用商品には数多くの種類がありますが、その中の何種類の商品を取り扱っているのかは、金融機関によって大きく異なります。そのため、口座開設前に自分が希望する運用商品を取り扱っているかどうかを、チェックすることが重要です。
金融機関は後で変更できますが、変更手続き完了までに数カ月かかる上に、移換時手数料がかかることもあります。事前に各金融機関のiDeCoについてよく調べ、金融機関を変更せずに済むようにした方がよいでしょう。
まとめ
iDeCoは、加入時手数料や口座管理手数料など、さまざまな手数料が発生します。手数料の中には金融機関によって金額が異なるものがあるので、各金融機関の手数料を比較して、できるだけ手数料が安い金融機関を探しましょう。
なお、金融機関によって取り扱っている運用商品の種類や数は異なります。手数料だけでなく運用商品についてもチェックしておくことが大切です。