SBI証券のiDeCoの特徴
iDeCoとは、専用口座に拠出(※)した掛金を使って金融商品を購入、運用し、その成果に応じた老齢給付金を受け取る仕組みの私的年金制度のことです。iDeCoを始めるには、iDeCoを取り扱う金融機関にiDeCo専用口座を開設する必要があります。
しかし、取扱商品や手数料が金融機関によって大きく異なるため、各金融機関の特徴を比較して、自分に合う金融機関を探さなくてはなりません。ここでは、SBI証券のiDeCoの特徴を紹介します。
(※拠出とは、ある目的を持つ人々が、その目的のために互いにお金や物を出し合うことです)
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
iDeCo(個人型確定拠出年金)|SBI証券
実績とシェアは抜群
SBI証券は2005年からiDeCoの運営を始めており、運営実績は10年を超えています。iDeCo加入者数も、iDeCoを取り扱う金融機関の中でトップ(19年4月時点)となっており、実績とシェアは抜群の金融機関です。
ラインナップが充実
iDeCoで運用できる金融商品は数多く存在しますが、そのうち何本の商品を取り扱っているかは、金融機関によって大きく異なります。
取扱商品数が10本に満たない金融機関もあるなか、SBI証券は60本を超える商品を取り扱っており、商品のラインナップが大変充実しているのが特徴です。
ただし、法改正によってiDeCoの取扱商品数を35本以下に抑えるよう定められたため、23年までに所定の取扱商品が順次除外されていきます。購入希望商品が除外対象になっていないかを確認しておきましょう。
コストが低い
SBI証券は、iDeCoにかかるコストが低いのも魅力です。iDeCoでは、口座開設時や運用時など、さまざまな場面で手数料が発生します。
区分 | 手数料の種類 |
iDeCo加入時 | ・加入時手数料 |
資産移換時 | ・移換時手数料 |
掛金拠出時 | ・収納手数料 ・資産管理手数料 ・運営管理手数料 |
給付金・一時金受取り時 | ・給付事務手数料 |
掛金還付時 | ・還付事務手数料 |
また、投資信託を購入する場合、購入時手数料や運用管理手数料などの手数料がかかるケースがあります。
これらの手数料は、全金融機関で金額が一律のものと金融機関によって金額が異なるものがあり、各金融機関でiDeCoの運用コストが大きく異なります。SBI証券は一部の手数料が無料なので、コストを抑えた運用が可能です。
SBIの手数料と比較
SBI証券とその他のネット証券の手数料を比較してみましょう。
SBIの手数料
SBI証券では、掛金拠出時や拠出停止中に発生する運営管理手数料(金融機関への手数料)が無料です。
項目 | 支払い先 | 手数料の金額 | 合計額 |
加入時・移換時 | 国民年金基金連合会 | 2777円 | 2777円 |
掛金拠出時 | 国民年金基金連合会 | 103円 | 167円 |
信託銀行 | 64円 | ||
SBI証券 | 0円 | ||
拠出停止中 | 信託銀行 | 64円 | 64円 |
SBI証券 | 0円 | ||
給付時 | 信託銀行 | 432円 | 432円 |
還付時 | 国民年金基金連合会 | 1029円 | 2109円 |
信託銀行 | 432円 | ||
SBI証券 | 648円 | ||
移換時 | SBI証券 | 4320円 | 4320円 |
マネックスや楽天との比較
楽天証券とマネックス証券の手数料を見てみましょう。
項目 | 支払い先 | 楽天証券の手数料 | マネックス証券の手数料 |
加入時・移換時 | 国民年金基金連合会 | 2777円 | 2777円 |
掛金拠出時 | 国民年金基金連合会 | 103円 | 167円 |
信託銀行 | 64円 | 64円 | |
金融機関 | 0円 | 0円 | |
拠出停止中 | 信託銀行 | 64円 | 64円 |
金融機関 | 0円 | 0円 | |
給付時 | 信託銀行 | 432円 | 432円 |
還付時 | 国民年金基金連合会 | 1029円 | 1029円 |
信託銀行 | 432円 | 432円 | |
金融機関 | 0円 | 0円 | |
移換時 | 金融機関 | 4320円 | 4320円 |
どちらもSBI証券と同じく運営管理手数料が無料で、コストを抑えた運用が可能です。
手数料 | 個人型確定拠出年金(iDeCo) | 楽天証券
手数料 | 個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ) | マネックス証券
ポートフォリオの組み方
iDeCoでは、自分で金融商品を選択し、運用していかなくてはなりません。しかし、今まで資産運用をしたことがなく、どの商品を選べばよいのかわからないという人もいるでしょう。
そのような人は、まず『アセットアロケーション』を考え、それに応じた『ポートフォリオ』を組むことから始めましょう。
- アセットアロケーション:どの金融商品にいくらくらい投資するのかを大まかに計画したもの
- ポートフォリオ:アセットアロケーションに応じた金融商品の組み合わせや保有銘柄、資産配分などの詳細を一覧にしたもの
目標を決める
アセットアロケーションを考え、それに応じたポートフォリオを組むには、まず資産運用の目標を決めることが重要です。以下の2点を明確にしましょう。
- いつまでにどれくらい資産を増やしたいか
- 毎月いくら積み立てるか
iDeCoは原則として60歳まで資産の引き出しや解約ができないので、『60歳までにいくらまで増やしたいか』を考えると簡単です。
また、iDeCoでは毎月拠出できる掛金に、国民年金の種別などに応じて上限額が定められています。下限額は5000円なので、5000円から自分の上限額の範囲内で、いくら積み立てるのかを決めましょう。
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リスクをとるか考える
次に、リスクをとるかどうかを考えます。資産運用は、大なり小なり損失が出る可能性があるものです。そして、損失が出るリスクは金融商品によって大きく異なります。
そのため、実際に金融商品を購入する前に、自分がどの程度までの損失であれば耐えられるかという『リスク許容度』を考え、それに合った金融商品を選ぶことが重要です。
なお、資産運用におけるリスクとは、『利益と損失の振れ幅』を指すものであり、単純に危険性が高いことを指すわけではありません。
『リスクが高い』といわれる金融商品は、大きな損失が出る確率が高い代わりに、大きな利益が出る確率も高いのです。また、ローリスク・ハイリターンの商品はほとんどないことも理解したうえで、商品を選ぶことが重要です。
SBI-iDeCoロボを使ってみよう
目標とリスク許容度が明確になったら、アセットアロケーションを考え、ポートフォリオを組んでみましょう。
自分の掛金の範囲内で購入できる商品の中から、どの金融商品に投資するのかを決めます。iDeCoの金融商品は『元本確保型(※)』と『投資信託』の2種類です。
リスクをとりたくない人は、元本確保型を選ぶとよいでしょう。投資信託は、商品ごとにリスク度が異なるため、事前に商品の詳細をチェックすることが重要です。
そして、購入する金融商品が決まったら、ポートフォリオを組んでいきます。自分でポートフォリオを組むのがむずかしい場合は、『SBI-iDeCoロボ』を利用してみましょう。簡単な質問に答えるだけで、ポートフォリオ作成のサポートが受けられます。
(※元本確保型とは、所定の期間保有を続けた場合に、決められた金額の元本を払い戻すことが約束された金融商品のことです。満了前に手放した場合は、元本割れを起こすリスクがあります)
上手に運用していくために
上手に資産運用を続けていくには、定期的にポートフォリオを見直し、配分変更やスイッチングをすることが大切です。
配分変更とは
『配分変更』とは、拠出した掛金で購入する金融商品の比率を変更することです。iDeCoでは、口座開設後に毎月の掛金で、どの金融商品をいくら分購入するかを設定します。
このとき、資産運用に慣れていないからと、何となく掛金全額を元本確保型に割り振ったとしましょう。しかし、資産運用の知識を身につけ、積極的に運用したくなったとします。
そのようなときに、元本確保型の商品の購入割合を減らし、投資信託の購入割合を増やすというように、掛金の配分の割合を変更するのです。なお、配分割合だけでは、すでに保有している金融商品の割合は変わりません。
スイッチングとは
『スイッチング』とは、保有している金融商品を売却し、他の金融商品に買い替えることです。主に以下のようなケースでスイッチングをします。
- 利益を確保したいとき
- リバランスをしたいとき
例えば、保有している金融商品の価格が大きく下がっているときに、元本確保型に買い替えることで、それ以上利益が減ることを防げます。
また、保有している金融商品の価格が変動し、各商品の保有数に偏りが出てくることがあります。このとき、価格が下がった商品を買い足しておけば、後に価格が上昇したときにより多くの利益を確保できるでしょう。
リスクが高い商品の保有数が増えたときには、あえて保有数を減らし、価格が大きく下がったときに受ける損失を抑えることもできます。
SBIでのおすすめ商品
ここでは、SBI証券でiDeCoを始める人におすすめの商品を紹介します。なお、投資信託には、『インデックスファンド』と『アクティブファンド』の2種類があります。
- インデックスファンド:市場平均と連動した運用成果を目指すファンド(投資信託)
- アクティブファンド:市場平均以上の運用成果を目指すファンド
インデックスファンドよりもアクティブファンドの方がより大きな利益を得られる可能性があります。
しかし、その分損失が出る確率も高く、積極的な投資をすることから運用コストも高いのがデメリットです。どちらが自分に合うのかをよく考えておきましょう。
ニッセイ DCニッセイ外国株式インデックス
『ニッセイ DCニッセイ外国株式インデックス』は、日本を除く先進国の株式を主要な投資対象としているインデックスファンドです。
先進国の経済成長と連動した運用成果を目指しており、比較的安定した運用が期待できます。
レオス ひふみ年金
『レオス ひふみ年金』は、市場価値から見て価格が割安だと判断できる金融商品に積極的に投資をしているアクティブファンドです。
アクティブファンドでありながら運用コストがやすいため、コストの高さでアクティブファンドの購入を迷っている人におすすめです。
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド
『三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド』は、運用コストが業界最安水準の安さで、長期運用に向いているインデックスファンドです。
『つみたてNISA(※)』とありますが、つみたてNISA専用のファンドではなく、兼用ファンドであるためiDeCoでも購入できます。
(※つみたてNISAとは、少額の長期分散投資をする人を対象とした、税制優遇制度のことです)
SBI ハーベスト アジア ロンティア株式ファンド
『SBI ハーベスト アジア ロンティア株式ファンド』は、『フロンティア諸国』の主な株式を投資対象としたアクティブファンドです。
フロンティア諸国とは、バングラデシュやモンゴル、カザフスタン、スリランカ、ベトナムなど、今後の経済成長が期待できるアジアの国々を指します。
これらの国々の経済が伸びれば、大きな利益が得られるでしょう。しかし、先進国と比較して経済に不安定な面があり、損失が大きくなる可能性もあるので注意が必要です。
加入から運用までの流れ
SBI証券でiDeCoを始めるにはどうすればよいのか、加入から運用までの具体的な流れを見ていきましょう。
口座があればログインして簡単にできる
SBI証券でiDeCoを始める場合、まずはSBI証券に資料請求をして、申込書類を取り寄せなくてはなりません。
すでにSBI証券の総合口座を持っている人は、お客様ページにログインすれば簡単に資料請求できます。
SBI証券の総合口座を持っていない人は、氏名や住所などを入力して資料請求し、iDeCo専用口座と同時に、SBI証券の総合口座も開設する必要があります。
申込書類が届いたら、必要事項を記入して返送しましょう。その後、iDeCoの加入資格の確認などが行われ、問題がなければ口座開設が完了します。
掛け金の拠出について
iDeCo専用口座の開設が完了すると、SBI証券に登録した口座から毎月26日に掛金の口座振替が行われます。
数カ月分をまとめて前納することはできません。また、残高不足などで口座振替できなかった場合、その月は掛金の拠出がなかったものとして扱われます。追納はできないので、残高不足には注意しましょう。
なお、初回の掛金の口座振替は、SBI証券で書類が受け付けられた日によって異なります。
- 毎月1~5日までに書類が到着した場合:翌月26日に初回口座振替
- 毎月6~最終日までに書類が到着した場合:翌々月26日に初回口座振替
書類の内容に不備がある場合は、上記の日付までに書類が到着していても、初回の口座振替日がずれることがあるので注意が必要です。
運用について
iDeCo専用口座を開設したら、初回の掛金の口座振替までに掛金の配分設定をしておきましょう。掛金の配分設定とは、拠出した掛金でどの商品をいくら分購入するかを指定することです。
SBI証券のiDeCo用の個人ページからも配分設定ができますが、申込書類に配分設定を記載して設定することもできます。
配分設定をしなかった場合は、自動的にSBI証券が指定する方法で掛金が運用されるので、購入を希望している金融商品がある場合は、必ず配分設定を済ませておきましょう。
給付金の受け取りは?
iDeCoの老齢給付金の受け取り開始時期は、60~70歳の間で指定できます。ただし、60歳からの受け取りは、その時点で『通算加入者等期間(※)』が10年以上になっていることが条件です。
60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合は、以下のように受給開始年齢が引き上げられます。
出典:イデコの注意すべきポイント|iDeCoスペシャルサイトbyろうきん
また、老齢給付金の受け取り開始を遅らせたとしても、60歳以降は掛金の拠出ができません。受け取り開始まで運用のみ継続します(運用指図者)。
(※通算加入者等期間とは、iDeCoと企業型確定拠出年金の加入者期間、運用指図者期間を合計した年数のことです)
移換について
iDeCo専用口座の開設は、1人1口座までに制限されています。そのため、すでに別の金融機関でiDeCo専用口座を開設している人がSBI証券に変更したい場合は、資産の移換手続きが必要です。
SBIへの移換方法
他の金融機関からSBI証券にiDeCo専用口座を変更するときには、以下の流れで手続きします。
- SBI証券にiDeCoを移換したい旨を伝え、『運営管理機関変更届』と『配分指定書』を送付してもらう
- 『運営管理機関変更届』と『配分指定書』に必要事項を記入し、SBI証券に返送する
書類が受け付けられると、あとはSBI証券側で資産の移換手続きを済ませてくれます。
移換のメリットとデメリット
今まで利用していた金融機関から、別の金融機関にiDeCoの資産を移換するメリットとデメリットを知っておきましょう。
メリット | デメリット |
・今までの金融機関よりコストが安くなることがある ・今までの金融機関では取り扱われていなかった金融商品が購入できる可能性がある |
・今までの金融機関で保有していた金融商品はすべて売却され、現金化して移換される(運用を一からやり直すことになる) ・手続きの完了までに2カ月程度かかり、その間資産運用ができない |
まとめ
SBI証券のiDeCoは、運用にかかるコストが低い、商品のラインナップが豊富といったメリットがあります。60歳まで長期間運用するiDeCoで、とくにコストを低く抑えられることは重要です。
今からiDeCoを始めるのであれば、専用口座を開設する金融機関にSBI証券を検討してみてはいかがでしょうか。