NISAの仕組みを知る
『NISA』とは、正式名を少額投資非課税制度といい、2014年から開始されました。まず、NISAの仕組みについて説明します。
非課税投資枠と非課税期間
NISAでは、NISA口座を開設すると、毎年120万円の『非課税投資枠』が設定されます。1~12月の間に、非課税枠内で購入した株式などの運用益は、最長で5年間非課税となります。
NISA口座内の資産は、自由に払い出しや売却が可能ですが、その際に生じる非課税投資枠の空きは再利用できません。
非課税期間終了後は、口座内の資産は売却や課税口座へ払い出しできるほか、翌年のNISA口座の非課税投資枠へ移す(ロールオーバー)ことも可能です。
なお、NISA口座の資産が120万円を超える額であっても、全額ロールオーバーできます。ただし、その年の非課税投資枠は上限を超えるため、以降は新たな商品の購入はできません。
NISA口座開設の条件
NISA口座を開設するには、以下の条件があります。
項目 | 内容 |
利用条件 | 日本国内に居住し、20歳以上であること |
非課税対象 | 株式・投資信託などへの投資により得られる配当金・分配金・譲渡益 |
口座開設可能数 | 1人につき1口座 |
非課税期間 | 最長5年 |
投資可能期間 | 23年まで |
NISAで扱える主な商品
NISAでは、投資できる金融商品が決められています。どのような金融商品があるのか見ていきます。
上場株式と投資信託
NISAで取引できる商品は、主に上場株式と投資信託です。投資信託に関しては、株式投資信託やETF(イーティーエフ)、REIT(リート)などがNISAの対象となっています。
投資信託とは、多数の投資家(投資信託の購入者)から集めた多額の資金を、資産運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用益があった場合はは、分配金などの形で受け取れます。
上場REIT
『REIT』とは、証券取引所に上場している不動産投資信託をいい、NISA口座では、国内REIT・海外REITの取引が可能です。
オフィスビルやマンション、商業施設など複数の不動産を購入し、賃貸収入や売買益を投資家に分配します。
REITは、数万円程度から取引ができる商品もあり、個人でも手の届く金額で不動産への投資が可能です。
また、多数の不動産の賃貸収入などから分配金が支払われるため、定期的な収益が見込め、比較的安定した分配金が期待できる傾向にあります。空室が増えた場合などのリスクは、多くの不動産へ投資することで分散されます。
REIT(リート)とは|三井住友トラスト・アセットマネジメント
ETFとETN
『ETF(上場投資信託)』は投資信託、『ETN(イーティーエヌ・上場投資証券)』は債券の1種で、どちらも証券取引所に上場しておりNISAの対象です。
ETF・ETNは株価指数(※)など、特定の指標の動きと価格が連動するように組成されています。指標は、テレビなどで目にする機会も多く、価格の変動が比較的分かりやすい商品です。また、株式と同じように証券会社を通じて市場で売買できます。
ETFは、株式などの現物を資産として保有し、信託銀行で保管する仕組みになっており、運用会社や信託銀行が破たんした場合でも投資資産は守られます。
一方、ETNは現物資産は保有せず、金融機関の高い信用力を裏付けに債券を発行し売買する仕組みです。発行元である金融機関の財務状況の悪化や破たんによって、価格の下落や無価値とならないよう、金融機関には厳格な審査基準が設けられています。
(※株価指数とは、株式市場全体や特定の銘柄群の株価の動き表す指数です)
ETF/ETNの基礎知識 | 国内株式 | 楽天証券
株価指数│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
NISAの運用で注意すること
NISAを利用する際の注意点を説明します。
非課税投資枠の持ち越しはできない
NISAでは非課税投資枠の未使用分は、翌年へ持ち越せません。
例えば、年間にNISA口座で100万円分の株式を購入した場合、非課税投資枠20万円は未使用分となります。翌年の非課税投資枠は、前年同様120万円が新たに設定され、未使用分20万円は消滅します。
他口座との損益通算や損失の繰越控除は不可
NISA口座で生じた損益は、『損益通算』や『繰越控除』が適用されません。
損益通算は、1~12月に発生した損益が相殺できる制度です。損益通算後も損失が残る場合は、繰越控除により翌年以降3年間は損失を繰り越せます。なお、適用には確定申告が必要です。
まとめ
NISA口座を利用すると、毎年120万円の非課税投資枠が設定されます。よって、枠内で購入した株式や投資信託などの、配当金・分配金・値上がり益は課税されません。投資を始める際には、利用を検討してみましょう。