iDeCoの節税メリットとは
iDeCoとは、専用の口座に積み立てた掛金を使って投資商品を購入・運用し、運用で得た利益と積み立てた掛金から算出した金額を年金として受け取る、個人型年金制度のことです。
将来受け取る年金額を増やすことが目的ですが、節税対策になるというメリットもあります。
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
所得税や住民税が抑えられる
iDeCoでは、積み立てた掛金額を所得から控除できるようになっているため、『所得税』や『住民税』が抑えられます。
所得税のしくみ|国税庁
市県民税(個人住民税)について/小松市
掛金は全額所得控除の対象
iDeCoの掛金は、全額所得控除の対象になります。所得控除とは、所定の金額を所得額から差し引いて、税金の負担を軽くするための制度です。
例えば、毎月iDeCoに5000円積み立てている人は、5000円×12カ月=6万円を所得額から控除できます。
住民税が節税できる仕組み
iDeCoに加入することで、なぜ住民税が節税できるのか、その仕組みを解説します。
所得割と均等割について
住民税は、『都道府県民税』と『市区町村民税』の2種類から成り立っており、地域の行政サービスにかかる費用を分担するために納めるものです。
ただし、現在住んでいる地域に納めるのではなく、その年の1月1日に居住していた地域に納めます。住民税は『所得割』と『均等割』の2つを合算して税額を算出します。
- 所得割:前年の所得額により決定される
- 均等割:所得額による変動はなく、一律の金額を負担
均等割額は、標準税率が市町村民税3500円・都道府県民税1500円と定められていますが、市区町村によっては金額が異なる場合があります。
市県民税(個人住民税)の計算方法 - しあわせつくる晴れのまち みやま
所得割額の計算方法
所得割額は、どのように計算すればよいのでしょうか。
前年の課税所得額に税率を掛ける
所得割額を計算するときには、まず『前年の課税所得額』に10%の税率(都道府県民税率4%・市区町村民税率6%)を掛けます。
課税所得額とは、課税対象となる金額のことで以下のように算出します。
- 収入額から必要経費(※)を差し引き、所得額を算出
- 所得額から適用となる各種の所得控除(基礎控除など)を差し引き、課税所得額を算出
(※給与所得者の場合は、給与所得控除を差し引きます)
調整控除を差し引く
次に、『前年の課税所得額×10%』で算出した金額から、調整控除額を差し引きます。これにより算出した金額が所得割額となります。
調整控除とは、住民税の人的控除額(※)が所得税における人的控除額よりも低く設定されていることから、課税所得額が高くなることを調整するために設けられている控除です。
調整控除額は、課税所得額によって以下のように定められています。
課税所得額 | 調整控除額 |
200万円以下 | 1.所得税との人的控除額(※)の差の合計額 2.課税所得額 1と2のいずれか少ない方の金額×5%を適用 |
200万円超 | 所得税との人的控除額の差の合計額 -(課税所得額 - 200万円)×5% ※算出した金額が2500円未満の場合は、一律2500円 |
(※人的控除とは、『配偶者控除』や『扶養控除』などの、『人』に着目した控除のことです)
調整控除とは|市税課|市役所の仕事としくみ|行政情報|古賀市オフィシャルページ
群馬県前橋市|個人市民税・県民税(住民税)の「人的控除」って何でしょうか?
iDeCoの掛金分は課税所得から差し引ける
iDeCoに加入している場合は、掛金分が課税所得から差し引けます。課税所得額に基づいて所得税や住民税が計算されるので、課税所得額が下がれば所得税や住民税が節税できるということです。
ただし、掛金の控除を受けるには、年末調整や確定申告で掛金額を申告しなければなりません。
また、掛金額を申告する際には、『小規模企業共済等掛金払込証明書』という、iDeCoの掛金額の証明書類が必要になります。
小規模企業共済等掛金払込証明書は、通常10~11月ごろに届くので、必ず保管しておきましょう。
もしiDeCoの掛金の初回払込が10月以降になった場合は、小規模企業共済等掛金払込証明書が翌年の1月ごろに届きます。
この場合は、年末調整に間に合わないため、確定申告で掛金の申告をすることになります。
平成29年「小規模企業共済掛金払込証明書」のご案内|小規模企業共済(中小機構)
節税メリットを概算で知りたい場合
どのくらい節税できるのかを概算で知りたい場合は、シミュレーションツールを利用するとよいでしょう。
ネットでできる簡単シミュレーション
各金融機関のサイトやiDeCo公式サイトなどで、節税額を簡単に概算できるシミュレーションツールが公開されています。
画面の指示に沿って職業や年収額、掛金額などを入力するだけで、どれぐらいの節税メリットが得られるのかがチェックできるので、一度試してみるとよいでしょう。
ただし、シミュレーションツールの結果はあくまでも概算です。状況の変化があれば数値が変わるので、目安にするだけに留めておきましょう。
確定拠出年金の節税シミュレーション|確定拠出年金のJIS&T
まとめ
iDeCoに加入すると、掛金分を全額所得から控除できるため、所得税や住民税が節税できます。
どれぐらい節税ができるのかは、シミュレーションツールを利用して、計算してみるとよいでしょう。