主婦でもiDeCoに加入できるの?
配偶者の扶養に入っている専業主婦でも、iDeCoに加入できるのでしょうか。
2017年から専業主婦も加入できるように
iDeCoとは、加入者が自ら掛金を拠出(※)して運用し、その運用益と積み立てた掛金から計算した金額を、年金として受け取る制度です。
もともとは、自営業の人や、勤務先の企業に企業型年金の制度がない人を対象としていました。
しかし、2017年に加入資格が拡大され、現在は専業主婦でも加入できるようになっています。
(※拠出とは、何らかの目的のために、互いに金銭を出し合うことです)
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
主婦がiDeCoを始める場合
主婦がiDeCoを始める場合の掛金上限や、申込の流れを解説します。
主婦のiDeCoの掛金上限は?
iDeCoは、加入している国民年金の種別に応じて、掛金の上限額が定められています。
国民年金の種別 | 対象者 | 掛金上限額 |
第1号被保険者 | ・自営業者 ・農業従事者 ・フリーター ・無職 ・学生 |
・月額6万8000円 |
第2号被保険者 | ・会社員 ・公務員 |
・企業型年金未加入:月額2万3000円 ・企業型確定拠出年金加入:月額2万円 ・確定給付型企業年金加入:月額1万2000円 |
第3号被保険者 | ・第2号被保険者に扶養されている配偶者 | ・月額2万3000円 |
配偶者の扶養に入っている専業主婦は、第3号被保険者に該当するため、掛金上限は『月額2万3000円』となります。
掛金下限は、国民年金の種別にかかわらず5000円となっており、掛金額は5000円から該当の掛金上限の間で、1000円単位で指定可能です。
確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係 |厚生労働省
iDeCoを始めるまでの流れ
iDeCoを始めるまでの流れは、以下のようになっています。
- iDeCoの運営管理機関から1社選択する
- 選択した運営管理機関から申込書を取り寄せる
- 申込書に必要事項を記入し、運営管理機関に返送する
iDeCoの運営管理機関とは、iDeCoの加入・変更手続きの対応や、運用商品を取り扱っている金融機関のことです。
iDeCoを始めるときには、各運営管理機関の運用商品などを比較して、希望の1社を選択し、申込手続きをおこないます。
申込書の返送後、運営管理機関で加入審査がおこなわれ、審査に通過すればiDeCoへの加入が完了します。
新規加入申込方法 | 個人型確定拠出年金(iDeCo) | 楽天証券
運営管理機関一覧|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
主婦がiDeCoをするメリットと注意点
専業主婦がiDeCoに加入するメリットや、注意点を知っておきましょう。
自分名義の年金
専業主婦がiDeCoに加入することには、『自分名義の年金ができる』というメリットがあります。
公的年金制度では、専業主婦は基礎年金のみの支給となるため、満額でも1年間で77万9300円までしか支給されません。
iDeCoに加入すれば、自分の名義で積立・運用ができ、公的年金に上乗せして受給できるため、老後の生活費の不安が軽減できます。
老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構
長期の資産形成が可能に
iDeCoに加入すると給付金の支給が開始されるまで、毎月一定額の掛金を継続的に拠出していくため、長期の資産形成が可能になります。
もし、就職して専業主婦から会社員になったとしても、そのままiDeCoを継続する、もしくは勤務先の企業型年金にiDeCoの資産を移換して継続できます。
また、通常は資産運用で得た利益に対して課税されますが、iDeCoの資産運用で得た利益に関しては非課税となっており、税金面での優遇措置があります。
資産運用で老後のための資金を増やしたい人にとって、iDeCoは有効な制度です。
転職・退職された方へ|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
年間手数料や給付時の課税の可能性も考慮
iDeCoに加入する場合は、運営管理機関に支払う年間手数料や、年金給付時の課税の可能性を考慮しておきましょう。
iDeCoに加入すると、運営管理機関に加入手数料(初回のみ)や、掛金を積み立てたときに支払う手数料(毎月)、給付金の振込手数料などを支払う必要があります。
また、給付金を分割で受け取ると『雑所得』、一括で受け取ると『退職所得』として扱われ、一定額を超えた場合は課税対象になります。
運用益が少ないと、これらの手数料や税金でマイナスになってしまう可能性があるため、運用商品は慎重に選ぶことが大切です。
手数料 | 個人型確定拠出年金(iDeCo) | 楽天証券
雑所得|所得税|国税庁
退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁
60歳になるまで引き出せない
iDeCoの給付金の支給開始年齢は60歳からとなっており、原則として60歳になるまでは、資産の引き出しや解約はできません。
緊急でまとまったお金が必要になったとしても、iDeCoからは引き出せないため、別途貯金を用意しておく必要があります。
掛金の拠出が負担になった場合は、掛金額の変更ができますが、変更回数は年1回に制限されているので注意しましょう。
どうしても掛金が拠出できない場合は、掛金の拠出を停止し、運用のみをおこなう『運用指図者』に変更することも可能です。
確定拠出年金の「運用指図者」とは? 加入者と何が違うの? | りそな銀行 確定拠出年金
まとめ
専業主婦がiDeCoに加入した場合、掛金上限は月額2万3000円となります。掛金は、下限である5000~2万3000円の間で、1000円単位で指定できるので、家計に負担の少ない金額を設定しましょう。
専業主婦がiDeCoに加入すると、自分名義の年金ができるなどのメリットがあります。しかし、年間手数料や給付時の課税によって、運用益がマイナスになる可能性があるなどのデメリットも存在します。
メリットとデメリットをしっかり比較して、iDeCoに加入するかどうかを決めましょう。
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