NISAを知ろう
『NISA』は2014年に導入された、個人投資家向けの税制優遇制度です。毎年一定額の範囲内で購入した、株や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税となります。まずは、一般NISAについて詳しくみていきましょう。
決められた金額までの投資が非課税になる
一般NISAでは、年間120万円の非課税投資枠が設定されており、毎年1月1日〜12月31日のあいだに購入した株や投資信託などの配当金や、売却して得た利益などが非課税の対象となります。
購入した年を含めて最長5年間の非課税期間があり、最大600万円(120万円×5年)まで投資できます。
ただし、120万円の非課税枠を1年間で使いきれなくても、翌年以降に繰り越すことはできません。
また、途中で売却し非課税枠が空いたとしても、その空いた分の非課税枠を再度利用することもできません。
損益計算ができずデメリットとなる場合も
NISAのメリットは、売却により得た利益や配当金を受け取っても、税金がかからないことです。
しかし、NISAで購入した株や投資信託などが値下がりして損失が出たとしても、損益通算ができないデメリットがあります。
たとえば、NISA以外の口座で株式などの売買を行った場合は、同一年内の利益と損失を相殺する損益通算ができます。
しかし、NISA口座の場合は損益通算ができないため、他口座で利益がでた場合は、税金を納める必要があります。
つみたてNISAを知ろう
つみたてNISAは2018年からスタートし、特に少額からの投資に対して支援する税制優遇制度です。
つみたてNISAでは、年間40万円の非課税投資枠が設定されており、非課税期間は最長20年間で、非課税で保有できる投資総額は最大800万円(40万円×20年)となります。
ここでは、つみたてNISAについて詳しくみていきましょう。
気楽に運用でき、iDeCoとの相性もよい
つみたてNISAの特徴は文字通り『積立』であることと、運用益が非課税になる期間が20年間と長いことです。
これらの点は、iDeCo(個人型確定拠出年金)との相性がよく、一緒に使うことでiDeCoのデメリットを打ち消してくれます。
iDeCoは私的年金のひとつで、掛金を60歳まで積み立て、60歳以降にその積み立てたお金を給付金として受け取れます。しかし、60歳まで一切引き出すことができないデメリットがあります。
一方、つみたてNISAはいつでも解約できるため、近い将来の蓄えに活用できます。よって、iDeCoでは老後資金の準備をし、並行してつみたてNISAで運用すれば、上手く分散しながら蓄えを作ることが可能です。
イデコってなに|イデコ公式サイト|老後のためにいまできること、iDeCo|国民年金基金連合会
取り扱われている金融商品の種類が少ない
現在、金融庁に届けられている『つみたてNISA』の対象商品数は129本です(2018年4月23日時点)。
金融庁が、販売手数料を無料としている商品や、信託報酬など運用コストが低いことなどの要件を満たした投資信託とETF(※)に限定しているため、国内株式なども対象となる一般NISAに比べ種類が絞られています。
その分、今までに投資の経験がない人でも選びやすく、比較的安心した資産形成ができる制度となっています。
(※ETFとは、日経平均やTOPIXなど、特定の株価指数に連動するように運用される投資信託のことです)
NISAとつみたてNISAは併用できるの?
一般NISAとつみたてNISAはどちらも、利益にかかる税金が非課税という面では同じですが、両方を同時に活用することはできません。
原則併用はできない。どちらかを選ぼう
NISA口座は1人1口座と決められているため、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方を選択する必要があります。ただし、年によって一般NISAとつみたてNISAを切り替えることは可能です。
たとえば、2018年は『つみたてNISA』を使い、2019年は『一般NISA』を使うということはできます。
投資経験者はNISAがおすすめ
年間の投資上限額が多く、国内株式やREIT(※)などにも投資できる一般NISAは、投資経験者におすすめです。
NISAは非課税枠がつみたてNISAより大きく、投資対象商品が幅広いため、まとまったお金があり、個別株へ投資をしたい人や、REIT・債券に投資したい人に向いています。また、一括投資だけでなく積立投資も可能です。
(※REITとは不動産投資信託のことをいい、投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、得られた賃料収入などを投資家に分配する金融商品のことです)
コツコツ派はつみたてNISAがおすすめ
つみたてNISAは、年間の投資上限額が一般NISAと比べて少ない反面、非課税期間が長いため、投資資金にあまり余裕がなく、コツコツと投資したい人におすすめです。
投資方法は積立投資に限られていますが、少ない金額から投資できるので初心者でも始めやすいのが特徴です。また、商品数が絞られているため、投資する商品を選びやすいといえます。
まとめ
一般NISAとつみたてNISAは、どちらも利益にかかる税金が優遇されますが、投資できる金額や期間、対象商品は異なります。原則、併用することはできないため、どちらかを選ばなければなりません。
どちらを利用するとよいかは、人によって異なります。始める前に自分がどのように投資したいか、何に投資したいか考え、どちらが向いているか確認して選びましょう。