相続税を理解しよう
相続税とは、親類などが亡くなり、その財産を相続や遺贈などによって取得した場合に、納めなければならない税金です。
ただし、財産を取得した人が、誰でも相続税を納める必要はなく、課税対象となる条件が定められています。
申告が必要なケース
以下の場合は、相続税の申告が必要です。
- 相続した財産の合計額が、基礎控除額を超えた場合
- 配偶者控除(※1)を受ける場合
- 小規模住宅等の特例(※2)を受ける場合
基礎控除額とは相続税を計算する際、誰でも一律で差し引くことができる金額のことです。
基礎控除額は、以下の計算式により算出します。そして、相続財産額が基礎控除額を超えた場合は、相続税が発生するため申告が必要です。
- 基礎控除額=3,000万円×(法定相続人(※3)の人数×600万)
また、配偶者控除や小規模住宅等の特例を受ける場合も申告が必要です。
(※1.配偶者控除とは、取得した財産の合計額が1億6,000万円以内、または配偶者の法定相続分相当額までであれば、相続税がかからない制度です)
(※2.小規模住宅等の特例とは、自宅として使用していた土地を相続した場合、面積330平方メートルまでは、評価額から8割減額できる制度です)
(※3.法定相続人とは、被相続人の配偶者や子供など、民法で定められている相続人のことです)
申告期限
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。ただし、期限日が土日・祝日の場合は、翌平日が期限日となります。
期限日を過ぎてしまうと延滞税がかかる場合があるほか、控除や特例が利用できなくなり、相続税額が高くなることがあるので注意が必要です。
申告までの流れ
相続税の申告は、以下の流れでおこないます。
- 法定相続人を確認する
- 相続する財産を確認する
- 『単純承認』『限定承認』『相続放棄』の中から相続方法を決める
- 準確定申告(※1)をおこなう
- 遺産分割協議(※2)をおこない、『遺産分割協議書』を作成する
- 相続税額を計算する
- 相続税の申告書を作成する
- 遺産を分割し名義を変更する
- 相続税の申告書を提出し納税する
遺産の相続は、資産と負債の両方を受け継ぐことになります。もし、負債を相続した場合は、相続人が返済をおこなうことになるので注意しましょう。
ただし、どれだけ負債があっても受け継がなければならないとなると、相続人の負担が大きすぎるため、相続方法を選択できるようになっています。
(※1.準確定申告とは、相続人が亡くなった人の所得税を計算・申告し、納税するための手続きです)
(※2. 遺産分割協議とは、すべての法定相続人で、遺産の分割について話し合うことです)
相続税申告の必要な書類一覧
相続税を申告する際には、どのような書類が必要なのでしょうか。
基本的な必要書類
相続税を申告する際の、基本的な必要書類は以下のとおりです。
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の住民票
- 相続人の戸籍の附票(※1)
- 相続人の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票(※2)
- 被相続人の戸籍の附票
上記のうち、印鑑証明書以外の書類は、財産の名義変更用と税務署への提出用で、2通ずつ必要です。また、相続人が複数人いる場合は、全員分の書類を用意しなければなりません。
(※1.戸籍の附票とは、戸籍が作られてから除籍されるまでの住所を記した書類のことです)
(※2.住民票の除票とは、引っ越しや死亡により、住民登録が抹消された住民票のことです)
相続する財産ごとの必要書類
基本的な書類以外にも、相続する財産ごとに提出が必要な書類があります。
相続する財産の種類 | 必要書類 |
現金・預金 | ・手元現金 ・預金残高証明書 ・過去5年分の通帳・定期預金の証書 ・既経過利息計算書 |
生命保険 | ・保険証書(コピー) ・生命保険金支払通知書 ・解約返戻金についての資料 |
自動車 | ・車検証(コピー) ・相続ずる自動車の車種・色・走行距離 |
土地 | ・住宅地図 ・地積測量図、および公図の写し ・登記簿謄本(全部事項証明書) ・固定資産税評価証明書 ・固定資産課税台帳 ・賃貸借契約書(貸地・借地がある場合) ・農業委員会の証明書(他人の農地を小作している場合) |
上記以外にも、相続する財産によって、さまざまな書類を用意しなければならないため、税務署などで確認するとよいでしょう。
債務や葬儀費用に関する書類も忘れずに
相続税を申告する際には、債務や葬儀費用に関する書類も忘れずに準備しましょう。債務や葬儀費用を相続すると相続税を計算する際に、その費用を控除できる場合があります。
相続財産から控除できる債務|国税庁
相続財産から控除できる葬式費用|国税庁
税理士に相談しよう
相続税の申告には、さまざまな書類や手続きが必要になるため、税金のプロである税理士(※)に相談するとよいでしょう。
(※税理士とは税金の計算や申告、納税などの税務をサポートする、国家資格を持った専門家のことです)
相続関係に強い税理士を選ぶ
税理士に相続税に関する相談をするときには、相続関係に強い税理士を選ぶことが大切です。
税理士は税務関係のプロですが、相続税や所得税、法人税などさまざまな税金の中で、得意としている分野があります。
そのため、相続関係に強い税理士を選べば、さまざまな手続きがスムーズに進むほか、相続税の節税に関するアドバイスを受けられます。
相続関係に強い税理士を探す際には、知人などに紹介してもらうか、ネットで検索してみるとよいでしょう。
書面添付制度の活用
相続関連の手続きを税理士に依頼しておくと、書面添付制度を活用できるメリットがあります。
書面添付制度とは、税務調査(※)の対象になった場合に、調査開始前に申告書を作成した税理士に、意見を述べる機会が与えられる制度です。
この段階で、税務調査官の疑問が解消され、調査の必要がないと判断されれば、税務調査が省略される場合があります。
(※税務調査とは、納税者が税金を正しく納めているかどうかを調べるための調査です)
書面添付制度について (33条の2の書面及び35条の意見聴取)|国税庁
自力でも申告できる?
相続税の申告は、自力でもできるものなのでしょうか。
税務署への相談は必須
相続税の申告は、自力でおこなうことも可能です。ただし、自力で申告する場合でも、税務署への相談は必須です。
相続税の申告には、相続税額を計算したり、さまざまな書類を用意したりと、複雑な手続きが必要です。
そのため、いろいろ調べているうちに申告期限を過ぎてしまったり、申告内容に誤りがあると、受けられるはずの控除が受けられなかったりする恐れがあります。
国税庁の電話相談や窓口相談などを利用して、詳しい手続き方法を教えてもらえば、スムーズに手続きが進み、内容の誤りなども指摘してもらえます。
国税庁のチェックリストを活用しよう
国税庁の公式サイトには、情報を入力していくだけで、相続税の申告が必要かどうかを判定できるツールや、相続税を申告する際に必要なものをまとめた、チェックリストが用意されています。
自力で相続税の申告をおこなうときには、これらを活用するとよいでしょう。
まとめ
相続税の申告には、相続財産の種類によって、さまざまな書類が必要になります。また、相続財産を確認したり、相続税額を計算したりと手続きが複雑です。
相続税の申告には期限があり、期限を過ぎると控除が受けられないこともあります。自力で申告するのであれば、税務署や税理士に相談して、スムーズに手続きを進めましょう。
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