住民税の納付方法
住民税は、都道府県と市区町村のそれぞれに対して納める税金です。徴収事務は市区町村の役所が行います。
住民税は、個人は『普通徴収』、会社などに勤めていれば『特別徴収』という経由で納められています。
普通徴収と特別徴収
普通徴収は、役所が個人に対して納付書を送り、その納付書を金融機関や役所の窓口、コンビニなどに提出して納める方法です。普通徴収の納期は年4回で、6月・8月・10月・翌年1月ですが、一括納付も可能です。
これに対して特別徴収は、役所が会社に納付義務を課し、個人に代わって会社が納付する方法です。代わりといっても、そのお金は個人の給与から天引きされているため、実質的に個人が納税をしていることに変わりはありません。
また、住民税は1年単位での納付ですが、普通徴収と特別徴収とで納税額に違いはありません。特別徴収で12回に分けて納付したとしても、普通徴収で一括納付したとしても、住民税の合計納税額は変わらないということです。
給与からの特別徴収|横須賀
納税の方法(普通徴収と特別徴収) | 白子町
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特別徴収が推進されている
2018年現在の日本では、会社が納税を行う特別徴収が推奨されています。その理由としては、個人が納める普通徴収より、会社が天引きによって納税する特別徴収のほうが、高い徴収率(国が回収した税金の割合)が見込まれるからです。
たとえば、平成24年から平成28年の徴収率の推移を見ると、普通徴収の93.5%〜96.0%に比べて、特別徴収では99.7%〜99.8%と高くなっています。
各都道府県や市区町村では、ポスターの設置や意見交換会、特別徴収を拒否している会社への電話や訪問による働きかけを実施しており、国をあげて特別徴収を推進していることがわかります。
普通徴収が認められるケース
特別徴収を推進しているといっても、普通徴収が認められるケースも多々あります。そもそも、特別徴収は会社で給与をもらっている人が対象です。
個人事業主や無職のように給与の支払いを受けていなければ、特別徴収ではなく普通徴収で納税することになります。また、自治体によっても異なりますが、以下の条件を満たしていれば、普通徴収が認められています。
- 会社の総従業員数が2人以下
- 従業員がほかの会社で特別徴収を受けている
- 給与が少なく税額を差し引けない
- 給与の支払が毎月ではない
- 退職者または退職予定者
会社の総従業員数が2人以下の場合、毎月行われる特別徴収は会社の大きな負担になってしまうことがあります。また、従業員の給与が少ない場合や、ほかの会社で特別徴収を受けている場合なども、普通徴収が認められています。
市県民税の普通徴収(従業員が個人で納める方法)が認められる場合 | 大田原市
特別徴収の流れ
特別徴収は、開始手続から納付・変更など、基本的にはすべて会社が行います。どのような流れで徴収が行われているのか確認しておきましょう。
給与支払報告書の提出
会社はまず、従業員に対して支払った給与額を、役所に報告します。1月1日から12月31日までの従業員の給与を計算し、1年分の給与額が記載された『給与支払報告書』を提出します。
提出先は、各従業員が1月1日時点に住んでいる地域の役所になります。従業員が多く提出が大変な場合は、役所窓口に直接出向く必要はなく、郵送などでも提出が可能です。
また、どのような形態でも、給与が発生する限り、給与支払報告書は提出しなければなりません。つまり、自分が法人ではなく個人事業主であっても、また、従業員がアルバイトやパートであっても、給与支払報告書提出の義務が発生します。
横浜市 よこはま市税のページ(個人の市民税(特別徴収に関すること)
特別徴収税額決定通知書の送付
役所は提出された給与支払報告書をもとに、個人の住民税の計算を行います。計算した住民税額を『特別徴収税額決定通知書』に記載し、個人が勤める会社に送付します。
会社はその通知書に記載された税額を、役所に納めるという流れです。特別徴収税額決定通知書には、個人住民税の税額のほか、昨年の所得額や、それに対する控除額が記載されています。
会社に送られてくる通知書は2通です。うち1通は会社での控用とし、もう1通は従業員に配布します。従業員から金額の間違いがあるといわれた場合は、給与支払報告書の金額を確認したり、役所に問い合わせたりしなければなりません。
特別徴収税額の決定通知(特別徴収義務者用)の電子的送付について 鶴岡市
特別徴収の納付日と納付方法
特別徴収による住民税の納付期日は、徴収した月の翌月10日です。たとえば、2018年8月分の給与として、同年8月25日に給与支払いをした場合、翌月9月10日が納付期日となります。
納付方法は自治体にもよりますが、銀行振込が一般的です。もちろん、役所に直接納付することも可能です。
条件付きの納期の特例もある
従業員が少ない場合や、毎月給与の支払いをしていない場合、納期を半年に1回(1年に2回)にすることができます。
自治体によって条件は異なりますが、給与支払を行う従業員が常時10人未満の場合に、『特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書』を提出することで、特例が認められます。
大阪市:給与所得等に係る市民税・府民税特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書
その他の特別徴収手続き
特別徴収では従業員が退職した場合、いくつかの手続き方法を選択することになります。つまり、その年の住民税の徴収が終わっていない場合は、一括徴収や普通徴収への切替などの選択肢があるということです。
異動や退職はいつ発生したかが重要
住民税の特別徴収は6月に始まり、翌年の5月に完納します。従業員の異動や退職があった場合は、いつ退職(異動)するかによって徴収方法が異なります。
1月から5月に異動や退職がある場合、従業員の給与や退職金から、残りの住民税を一括で徴収しなければなりません。
退職や異動が6月から12月の場合は一括徴収、普通徴収への切替、または転職先(異動先)での特別徴収の継続のどれかを選択できます。
退職所得の特別徴収
退職した際にもらう退職金も、住民税の課税対象です。正確には、退職金や退職一時金などの合計額から、退職所得控除を差し引いた金額×1/2の金額を『退職所得』とし、この金額に住民税が課税されることになります。
退職所得控除額の計算方法は、以下のとおりです。
- 勤続年数が20年以下の場合
退職所得控除額 = 40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円) - 勤続年数が20年を超える場合
退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数-20年)
住民税は、前年の所得額に対して課税されます。ただし、退職所得だけは特別で、退職者の負担を考え、その年の最終給与(退職金含む)から特別徴収されることになっています。
特別徴収の注意点
特別徴収は市区町村の条例によって、会社の義務として定められています。もし怠った場合には、会社に対する処分もあり得るので注意しましょう。
滞納には処分が下される
従業員から徴収した住民税を納付せず、放棄または滞納した場合、会社に対して処分が下されます。具体的には、滞納から20日以内に、役所から会社に督促状が発送されます。
督促状が届いた際は、速やかに納付しましょう。翌月に2カ月分の納付をすることもできますが、金額などによっては延滞税が発生する可能性があります。
個人住民税(区市町村民税・都民税)特別徴収の事務手引き
市・県民税(特別徴収)の督促状が届いた - 福山市ホームページ
納付に手数料がかかる場合とかからない場合
納付する役所の市区町村に支店を置く金融機関(ゆうちょ銀行含む)から納付をした場合、手数料はかかりません。しかし、それ以外の金融機関で納付した場合は、手数料がかかってしまいます。
ただし、自治体によって異なることがあるので、各自治体のホームページを確認しておきましょう。
特別徴収の納付書について
住民税は毎年6月ごろになると、会社に住民税額の決定通知書が送付されてきます。決定通知書には、納付書(納入書)が同封されているので、そこに記載されている金融機関に納付します。
もちろんその納付書を利用して、直接役所へ出向いて納付することも可能です。しかし、従業員が多い場合、各役所へ出向くのはあまり現実的ではありません。
様式は各自治体のHPでダウンロードできる
送付された納付書でも納付は可能ですが、各自治体のHPでダウンロードした様式を使って納付することも可能です。
訂正の方法
納入書の記載を間違えてしまった場合や、従業員の異動や退職で変更があった場合は、記載内容を訂正しなければなりません。基本的には、新しい納入書は送ってもらえないので、手元にある納入書を訂正して提出することになります。
訂正方法は、訂正箇所に二重線を引き、正しい記載をするだけで、訂正印は必要ありません。自治体の様式によっても異なるので、各自治体の『納入書の書き方』を確認しましょう。
まとめ
住民税の特別徴収は、会社に義務づけられています。会社側が行う手続きはそれほど多くはありませんが、従業員数が多いと納付に手間と時間がかかります。金融機関での振込を活用し、延滞金が発生しないように納付しましょう。
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