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住民税の特別徴収は退職するとどうなる?手続きは必要なの?

住民税の納付方法には、自分で納付する普通徴収と、会社の給与から天引きされる特別徴収があります。会社を退職する人は、退職後の住民税の納付をどうするか考える必要があります。今回は、主に特別徴収の仕組みと、必要な手続きの流れを紹介します。

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この記事の目次

住民税の特別徴収とは

そもそも住民税は、自分が住んでいる地域に対して納める税金です。ゴミ収集や福祉・教育など、さまざまな場面で利用されています。

自分が住んでいる地域とは、その年の1月1日に在籍していた住居地(都道府県・市区町村)のことです。その後引っ越したとしても、1月1日に在籍していた地域の自治体に対して住民税を納めることになります。

この住民税を積極的に徴収するために用いられている方法として、『特別徴収』があります。特別徴収は、2種類ある住民税の納付方法のうちのひとつで、もうひとつは『普通徴収』があります。

会社が個人に代わって納税する仕組み

普通徴収は自分で住民税を納める方法ですが、特別徴収は勤めている会社が個人に代わって納税する方法です。

前年の所得額をもとに住民税額が計算され、会社の給与から天引きという形で源泉徴収されます。そして、源泉徴収したお金を、会社が役所に対して納めるという仕組みになっています。

これは地方税法によって、会社の義務として定められています。個人が普通徴収を希望しても、基本的には受け付けてもらえません。

給与からの特別徴収|横須賀市

特別徴収の対象者は?

特別徴収は、前年1月1日から12月31日までに給与の支払いを受けた人で、本年4月1日に会社に在籍している人が対象です。パートやアルバイトなどは関係なく、給与をもらっていれば、基本的には特別徴収の対象者となります。

個 人 住 民 税 特別徴収の事務手引き 東京都主税局

退職しても住民税って必要なの?

住民税は会社員や個人事業主だけでなく、無職であっても納税の義務が発生します。これは、等しく地域サービスの恩恵を受けているからという考えに基づくものです。

よって、会社で特別徴収を受けており退職した場合も、途切れることなく住民税の納付が必要になります。特別徴収を受けていた場合、そのあとの住民税の納付をどの方法(普通徴収・特別徴収・一括徴収)で行うか、選択しなければいけません。

ただし、年収額によっては、住民税が非課税になることがあります。非課税の条件は、退職したかどうかではなく、所得額などによって基準が定められています。

自治体によっても多少異なりますが、非課税になる条件には以下があります。

  • 生活保護を受けている
  • 未成年者、障害者、寡婦・寡夫で、前年の合計所得額が125万円以下
  • 前年の合計所得額が、各地方自治体の定める金額以下の場合

また、退職した会社で、住民税を一括徴収してもらった人は、その年度分に関しては住民税を納める必要はありません(特別徴収で納めているため)。

横浜市 よこはま市税のページ(均等割・所得割の納税義務者)

住民税は前年の所得額が基準

住民税の税額は、前年の所得額を基準にして計算されます。前年1月1日から12月31日に得た所得額を計算し、それに税率を掛けて算出します。

会社員であれば、給与収入から給与所得控除を差し引いた『給与所得』が、税金計算の基準額となります。また、副業などによって副収入がある場合、その所得(事業所得・不動産所得・雑所得など)も合算して計算することになります。

退職後の住民税額

退職後、普通徴収に切り替えた場合は、住民税を自分で納めなくてはなりません。特別徴収は毎月給与から天引きされるので、1年で12回に分けて納めますが、普通徴収の場合は年4回の納付です。

住民税の税額は退職前も退職後も変わりませんが、1回ごとの納税額が大きくなるので注意が必要です。

また、前年の所得額をもとに税額が決定するため、退職したそのあとも、前年の住民税をすべて納めなければなりません。退職した年の所得額が少なくなっていれば、翌年の住民税額が少なくなります。

退職すると特別徴収はどうなるの?

会社を退職すると、今まで勤務していた会社からは、特別徴収を受けられません。その場合、残りの住民税についての納税方法を考える必要があります。

普通徴収に変更する

退職後は基本的に普通徴収へ変更になります。再就職先をする予定があっても、まだ決まっていない場合は、一旦普通徴収に切り替え、就職先であらためて特別徴収に切り替えてもらいましょう。

ひとまず普通徴収に切り替えておくと、スムーズにその後の手続きが進みます。

退職時に一括徴収で納付してもらう

その年の住民税が残っている場合、会社の特別徴収によって、退職時に一括徴収してもらうこともできます。住民税は前年分を、本年6月から翌年5月にかけて納めます。

たとえば、3月に会社を辞める場合、3月分から5月分までの納付が残っていることになります。この3カ月分を最後の給与や退職金などから、まとめて徴収してもらうということです。

転職先の会社で特別徴収してもらう

退職後すぐに転職することが決まっている場合は、転職先の会社で特別徴収を継続してもらうことも可能です。一度普通徴収に戻してしまうと、手続きのタイミングによっては、自分で納税する必要が出てきてしまいます。

しかし、特別徴収を継続していれば、会社に手続きをすべて任せておくだけで納付が完了します。よって、すぐに転職することが決まっているのであれば、できるだけ特別徴収を継続してもらうほうが手間が省けます。

好きな方法を選ぶことができるの?

いくつかの納付方法を紹介しましたが、自分が自由に選べるわけではありません。退職日や会社の都合によっては、選択肢がないこともあるので注意しましょう。

退職日によって選択肢は異なる

いつ退職するかによって、手続きが異なります。退職月ごとにどのような違いがあるのか、それぞれ確認してみましょう。

退職月が1月から4月の場合

退職月が1月から4月の場合、最終5月までの住民税を特別徴収により、一括で徴収されます。これは会社の義務なので、会社員(退職者)が選択することはできません。

ただし、一括で徴収される住民税の額が、最終支払給与や退職金を上回っていた場合は、特別徴収をせず普通徴収に切り替えられます。

特別徴収(給与天引き)に関するQ&A | 諫早市公式ホームページ

退職月が5月の場合

退職月が5月の場合は、これまでと同じように5月分の住民税が徴収されます。住民税の特別徴収は5月が最終月なので、これで前年分の住民税が完納ということになります。

退職月が6月から12月の場合

退職月が6月から12月の場合、普通徴収に切替が行われるのが一般的です。ただし、退職者が希望する場合は一括徴収も可能です。つまり、この期間の退職であれば、退職者は特別徴収と普通徴収を選択できるということです。

退職したときの住民税は?:有田市

退職者が行う手続き

住民税の納税に関して、退職者はほとんど何もすることはありません。ただし、納付方法などで自分の希望があれば、会社にしっかりと伝えておかなくてはいけません

会社に希望の方法を伝えるだけ

退職者が行う手続きは、住民税の徴収についてどのような方法で行うのか、会社に希望を伝えるだけです。あとは、会社がやってくれるので、書類の提出などは気にする必要はありません。

会社に伝えておいたほうがよいポイントは、以下のとおりです。

  • 普通徴収に切り替えるかどうか
  • 転職先に特別徴収を継続するのか
  • 特別徴収を何カ月分行うのか

ただし、転職先について伝えたくない場合は、いわなくても問題ありません。その場合、普通徴収にするかどうかと、特別徴収を何カ月分(もしくは一括)希望するのかを、しっかり伝えておきましょう。

特別徴収なら転職先を伝える必要あり

特別徴収の継続を希望するのであれば、転職先の情報を退職する会社に伝える必要があります。特別徴収の継続の有無によって、退職する会社の手続きが異なるからです。

特別徴収を継続するかどうかとあわせて、いつどこの会社に転職するのか、人事や経理担当に伝えておきましょう。

退職する会社が行う手続き

会社側は従業員が退職を申し出た場合、住民税の切替手続きを行わなければなりません。

これまで特別徴収だったのを普通徴収に切り替えるのか、特別徴収により一括徴収をするのか、退職者に確認をしてから手続きを行うのが通常です。

異動届出書の提出

会社は従業員に対する特別徴収をやめる場合、役所に『異動届出書』を提出しなければなりません。

異動届出書は、従業員が転勤・退職・休職・死亡などにより、給与の支払いを受けなくなったときに、会社が役所に提出する書類です。異動届出書には、主に以下の内容を記載します。

  • 異動事由(転勤・退職など)
  • 特別徴収の税額
  • 異動後の未徴収税額の徴収方法(普通徴収・特別徴収など)

大阪市:給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者の異動届出書

特別徴収を継続する場合

従業員が特別徴収を希望する場合も、手続きを行う必要がありますが、これは法律や条例で定められた義務ではありません。よって、一度普通徴収にしておき、あとは従業員に手続きを任せるという方法でも問題ありません。

特別徴収を継続する場合でも、異動届出書の提出は必要です。ただし、転勤先の情報を記載する欄(転勤等による特別徴収届出書)があるので、これを転職先の会社で記入してもらう必要があります。

つまり、必要事項を記入したあと、転勤等による特別徴収届出書の部分を空欄にしておき、転職先に送付します。提出は転職先が行うのでこれで手続きは完了です。

提出が遅れると督促状が届く?

異動届出書を役所に提出しなければ、従業員はまだ会社に在籍しており、特別徴収が継続していると役所は判断します。つまり、その会社から住民税の納付がなければ、役所から督促状が届く可能性があります。

役所から住民税決定通知書が届いた段階で気づくはずなので、すぐに役所に連絡し、異動届出書の提出などの手続きを行いましょう。

特別徴収を継続する会社が行う手続き

特別徴収を継続する場合、転職先の会社でも手続きが行われます。ただし、これは転職前の会社から、異動届出書が届いた場合に限ります。

異動届出書が届かない場合や、すでに普通徴収になっている場合は、『特別徴収切替届出書』を役所に提出して、特別徴収に切り替える必要があります。

大阪市:特別徴収切替届出(依頼)書

転勤などによる特別徴収届出書

転職前の会社から届いた異動届出書は、転勤等による特別徴収届出書が空欄になっているので、そこに自社(転職先)の情報を記入し役所に提出します。

記載内容は、主に以下のとおりです。

  • 会社名
  • 会社所在地
  • 特別徴収義務者指定番号(不明の場合は空欄でも可)
  • 特別徴収をする毎月の税額
  • 特別徴収を行う期間(いつから行うか)
  • 担当者の部署や氏名
  • 払込をする金融機関

異動届出書に上記内容を記載して役所に提出すれば、転職前の会社から転職先の会社へ、従業員が異動したことが役所に伝わります。これ以降は、転職先の会社に住民税決定通知書が届くことになります。

退職後に普通徴収になった人は

退職後すぐに転職する場合を除き、ほとんどは普通徴収への切替が行われます。この場合、退職する会社では、異動届出書の『異動後の未徴収税額の徴収方法』の欄に、普通徴収を選択して役所に提出します。

普通徴収の納付は、年4回に分けて行われます。具体的な納付期限は、以下のとおりです。退職月によって何期分から納税をするのか、納付書に記載されています。

  • 第1期:6月30日
  • 第2期:8月31日
  • 第3期:10月31日
  • 第4期:翌年1月31日

また、納付書には一括納付用の納付書も添付されおり、一括納付することも可能です。

普通徴収の納期限|東京都北区

自宅に届く納付書で支払う

普通徴収に切り替わる、役所から自宅に住民税の納付書が届くので、金融機関や役所の窓口に納付書を提出して納付します。

また、このほかにも口座振替やクレジットカード払いによる納付が可能です。具体的な納付方法は、各自治体によって異なります。

大阪市:納付場所・納付方法 (市税の納付)

再度就職する場合どうすればいいの?

普通徴収に切り替えたあとに再度就職する場合、就職先で特別徴収への切替手続きをしてもらう必要があります。転職先の会社が特別徴収切替届出書を役所に提出すれば、普通徴収から特別徴収へ切り替えられます。

ただし、基本的には住民税の納付は、昨年の所得に基づいて本年6月から行われます。つまり、入社当初は普通徴収で完納させ、翌年度分から特別徴収を行うというのが一般的です。

転職先の会社が、再就職した従業員の特別徴収を行うかどうかは、昨年12月末日の時点で会社に在籍していたかどうかで判断します。

たとえば、前年の12月末日に在籍していた場合(12月1日に再就職した場合など)、本年6月から特別徴収を行います。

前年の12月末日に在籍していなかった場合(本年2月に再就職した場合など)、本年6月から納付が始まる昨年分の住民税は、普通徴収で納めることになります。この場合、翌年6月から再就職先の会社で、特別徴収が開始されるということです。

社員がするべきこと

再就職した社員は、その年度分の住民税は普通徴収のまま完納させるのが一般的です。この場合、特に会社に対して行う手続きは何もありません。

ただし、会社の方針によって、普通徴収から特別徴収に切替を行う場合があります。その場合は、自宅に届く納付書(コピーでも可)を担当者に渡し、切替の手続きをしてもらいます。

この場合、普通徴収の納付期限が切れている分に関しては特別徴収できないので、普通徴収で納める必要があります。また、翌年度からの住民税の納税は、必ず特別徴収で行われます。これは会社が手続きを行います。

会社がするべきこと

普通徴収で住民税を納めている人が会社に就職した場合、会社の担当者は、特に住民税について手続きを行う必要はありません。

基本的にはほかの従業員と同じように、当年12月に給与支払報告書を役所に提出することで、翌年6月から特別徴収が開始されます。

ただし、特別徴収に切替をしてほしいと再就職者から申出が合った場合、特別徴収切替届出書を役所に提出して、普通徴収から特別徴収に切替を行う必要があります(義務ではありません)。

まとめ

特別徴収の継続や切替は、基本的には退職者が行うことは何もありません。ただし、普通徴収にするか、特別徴収を継続するか選択しなければならない場合もあり、継続であれば、転職先の情報を会社に伝えなければなりません。

会社の人事担当や経理担当に任せておいて問題ありませんが、何かあったときにすぐ対応できるよう、最低限の知識は頭に入れておきましょう。

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