住民税の決定通知書とは
住民税の決定通知書とは、住民税の税額が書かれた書類で、税額に間違いがないか確認するためのものです。毎年住民税の納付時期になると、役所から会社や個人宛てに発送されます。
また、児童扶養手当や児童手当(育児手当)などの支給を受ける場合や、子どもを保育所に入園させる場合など、所得の有無や所得額の申告をする際に、住民税の決定通知書が必要となります。
住民税の決定通知書は、会社員で特別徴収(給与からの天引き)を受けている場合は会社に届きます。会社には2通届き、1通は会社用、もう1通は個人に配布する用となっています。
また、個人で住民税を納める普通徴収の場合は、自宅宛てに届きます。普通徴収の場合は、住民税決定通知書とあわせて、納付書も添付されています。納税者はその納付書を使い、住民税の納付を行います。
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住民税の金額をお知らせ
住民税の決定通知書には、住民税の税額が記載されています。それだけではなく、昨年の所得がいくらで、控除額がいくらなのかなど、詳しい内容も記載されています。
それらの内容を確認すれば、住民税額に間違いがないか確認できます。所得額や控除額に基づく計算が間違えていなかったとしても、そもそもの所得額や控除額が間違えている可能性もあります。
会社員であれば、会社が役所に提出する給与支払報告書の内容間違い、個人であれば確定申告の記入間違い、住民税の決定通知書を作成する際の役所の間違いなどが考えられます。
住民税の金額だけではなく所得額や控除額など、それぞれの金額をしっかり確認することが大切です。
住民税決定通知書は確認してる?ふるさと納税の控除や上限の計算
そもそも住民税って何?
そもそも住民税は、自分が住んでいる地域に対して納める税金のことです。都道府県に納める『道府県民税』と、市区町村に納める『市町村民税』をあわせて住民税と呼んでいます。
それぞれの地域でゴミ収集や福祉・教育など、地域サービスを維持・向上するために、さまざまな場面で利用されています。
自分が住んでいる地域とは、その年の1月1日に在籍していた住居地(都道府県・市区町村)のことです。1月1日以降に引っ越したとしても、1月1日に在籍していた地域の自治体に対して、住民税を納めることになります。
住民税には、個人が納める個人住民税と、法人が納める法人住民税があります。ただし、一般的に住民税というときは、基本的には個人住民税を指すことが多いです。
住民税とは(市民税・県民税):個人住民税(市民税・県民税)|海津市
送られてくる時期はいつ?
住民税は前年の所得に対して課せられ、本年6月から徴収が始まります。たとえば、2018年の所得に対しては、2019年の6月から徴収(納付)が開始します。
毎年5月から6月ごろに配布
納付時期に合わせて、毎年5月〜6月ごろに住民税の決定通知書が配布されます。普通徴収の場合、基本的には住民税の決定通知書とあわせて納付書が送付されてきます。
普通徴収の納税は年4回(6月・8月・10月・翌年1月)なので、自治体によっては年4回にわけて納付書を送付することもあります。
住民税決定通知書の見方
ここでは、住民税決定通知書の見方について説明します。住民税決定通知書は、自治体ごとに書式や名称や内容の記載方法が異なる場合がありますが、主な内容はどこも同じです。
不明点がある際は、特別徴収であれば会社の担当者に、普通徴収であれば住民税徴収係などに問い合わせてみるとよいでしょう。
課税所得がいくらになるのか
課税所得とは、年収から経費を差し引いた所得額から控除を差し引いた金額のことです。住民税は課税所得に対して税率(住民税は基本10%)を掛けて税額を計算します。
- 課税所得額 = 所得額(※)- 控除額
(※所得額 = 収入 - 経費のことですが、給与収入の場合、給与所得額 = 給与収入 - 給与所得控除額となります)
所得欄
所得欄には、以下の項目が記載されています。
- 給与収入
- 給与所得
- その他の所得
- 総所得金額
給与収入は、前年1月1日から12月31日までの収入です。そこから、給与所得控除を差し引いた金額が給与所得ということです。
また、事業所得・不動産所得・雑所得などの合計が、その他の所得欄に記載されています。自治体によっては、各所得ごとに記載されていることもあります。
多くの自治体では、給与所得以外にどの所得があったか、チェックが入っているだけということがほとんどです。そして、給与所得とその他の所得を合算した金額が、総所得金額となります。
所得控除欄
所得控除欄とは、各所得控除の金額が記載されている欄です。所得控除欄には、各控除がいくらずつあるのか、それぞれの金額が記載されています。
項目 | 詳細 |
雑損 | 雑損(災害、盗難、横領による損害)の控除額 |
医療費 | 1年間で医療費が一定額を超えた際に控除される金額 |
社会保険料 | 支払った社会保険料の全額 |
小規模企業共済 | 小規模企業共済法に規定された共済契約に基づいて支払った掛金に応じて控除される金額 |
生命保険料 | 生命保険料などの支払額に応じて控除される金額 |
地震保険料 | 地震保険料や掛金の支払額に応じて控除される金額 |
障・寡・勤 | 障害者控除・寡婦控除・寡夫控除・勤労学生控除の合計額 |
配偶者 | 控除対象配偶者がいる際に控除される金額(33万円) |
配偶者特別 | 配偶者控除が適用されない際に、配偶者の所得額に応じて控除される金額 |
扶養 | 控除対象扶養親族となる人がいる際に控除される金額 |
基礎 | 誰でも一律で控除される金額(33万円) |
所得控除合計 | 各所得控除の合計額 |
自分の条件に合う控除が記載されているか、ひとつずつ確認していきましょう。基礎控除には控除適用条件がなく、誰でも33万円の控除が受けられます。
住民税がいくらになるのか
所得と所得控除を確認したら、住民税の計算が間違えていないか確認しておきましょう。
- 所得割 = 課税所得 × 税率 - 税額控除
- 均等割 = 道府県民税 + 市町村民税
- 住民税の税額 = 所得割 + 均等割
所得割は、前年の所得から算出する税額のことで、均等割は所得額に関係なく一律の金額が課される税額のことです。均等割の標準税額は、道府県民税1,500円、市町村民税3,500円です。
自治体によって、超過課税(標準税率に追加される課税)を行っていることもあるので、各自治体の公式ホームページを確認しておきましょう。
課税標準欄
所得割を計算するために、課税標準欄を確認しましょう。課税標準とは、税額計算の基礎となる金額のことで、課税所得と同じ意味です。
課税標準には総合課税と分離課税があります。給与所得や事業所得などは総合課税なので、すべて合算した金額を課税所得とし、それに対して税率が掛けられます。分離課税は、総合課税のように合算せず、個別に税率を掛けて計算されます。
総合課税の住民税の税率は道府県民税4%、市町村民税6%の合わせて10%です。こちらも自治体によって、超過課税を行っている場合があります。
人的控除等の内訳
2007年の三位一体改革により、所得税を減額し住民税を増額するという『税源移譲』が行われました。
基本的には、同じ割合だけ増減しているので差はないはずですが、住民税のほうが控除額が少ないことから、納税者の負担が増えてしまうという指摘がありました。
特に、基礎控除や配偶者控除などの『人的控除』に関して、所得税よりも住民税のほうが割合が低くなっています。これを調整するために、2007年より定められたのが『調整控除』です。
調整控除を計算するために、人的控除の内容(配偶者や扶養親族の人数など)に間違いがないか、きちんと確認しておきましょう。
税額欄
税額欄は、これまで確認してきた各種税額がまとめられています。都道府県にかかる所得割や均等割、市区町村にかかる所得割や均等割、税額控除の金額などが記載されています。
自分の税額を計算していき、最終的な金額に間違いがないか確認しましょう。
特にチェックするべき項目は?
各項目を確認してきましたが、その中でも特に重要な項目を紹介します。
所得の金額に間違いがないか
住民税の決定通知書で最も重要なのが『所得額』です。もし、所得額が間違えていれば、最終的な納税額も間違えているということです。
会社員であれば、前年の給与明細や源泉徴収票を確認し、金額が間違っていないかしっかりと確認しておきましょう。
転職した人の場合
転職した場合、前職の給与所得と現職の給与所得を合算します。その際、給与支払日に注意しなければなりません。
所得は勤務した月ではなく、給与を受け取った月で計算をします。つまり、12月の給与を当月払で12月に受け取った場合は、その年の所得として計算されます。
しかし、12月の給与が翌月払で翌年1月に受け取った場合、その年(前年)の所得には含まれません。転職前と転職後で支払日が異なることが多いので注意が必要です。
住民税決定通知書は退職者にも送付されるのか?納付方法は3種類
ふるさと納税や住宅ローン控除の適用
意外と見落としがちなのが、ふるさと納税や住宅ローンの控除です。特に、ふるさと納税での節税は、今や多くの人が知っている税金対策方法のひとつです。
もし、ふるさと納税をしているにもかかわらず、控除されていないようであれば、担当者に問い合わせてみましょう。
住民税の決定通知書では、税額欄の『税額控除額』に、ふるさと納税の控除額が記載されています。また、それだけでは内容がわからないので、補足や摘要欄に『寄付金〇〇円』などの記載があります。
住宅ローン控除は本来、所得税の控除ですが所得税で控除しきれなかった場合に、住民税から控除されます。住宅ローンを支払っている人は、しっかり確認しておきましょう。
控除されていなかったときの対処法は?
必要な控除がされていなかった場合や、金額に間違いがあった場合などは、すぐに訂正してもらう必要があります。会社であれば、経理や人事など、担当者に問い合わせてみましょう。
普通徴収での納付の場合は、所轄の役所の住民税係に電話などで問い合わせてみるとよいでしょう。その際、通知書番号などを聞かれるので、手元に住民税の決定通知書や納付書を用意しておきましょう。
住民税決定通知書の保管期間
住民税決定通知書は、住民税の税額が記載されている重要な書類です。確認してすぐに捨てるではなく、ある程度の期間は必ず保管しておくようにしましょう。
自治体での手続きのために保管
住民税決定通知書は、住民税の内訳がわかる重要な書類なので、自治体で手続きを行う際に提示を求められることがあります。主に、所得額を証明する際において、証明書類のひとつとして認められることがあります。
源泉徴収票や所得証明書などがあればそれで問題ありませんが、代わりの書類として利用できることがあるので、大切に保管しておきましょう。
会社はマイナンバーの取扱に注意
現在、住民税の決定通知書にはマイナンバーの記載はありませんが、今後マイナンバーが掲載される可能性もあるため、取扱には十分注意しなければいけません。
しかし、住民税の決定通知書に、マイナンバーを掲載する予定だとしていた総務省は、2017年12月に、当面の間は『記載しない』と自治体に発表しています。
住民税決定通知書は再発行してもらえるの?
住民税決定通知書は、子どもを保育所に入所させる際の審査や、ローン審査などで利用できます。もし、過去のものを紛失してしまった場合、再発行はしてもらえるのでしょうか。
まずは会社に確認
特別徴収を受けている人は、もし紛失してしまったら、まずは会社に確認してみましょう。会社では、住民税決定通知書の控えを保管している可能性があります。
ただし、あくまで原本ではなく控えになるため、クレジットカードや住宅ローンの申込の際は、控えを提出しても問題ないか確認する必要があります。
自治体は再発行してくれない
住民税決定通知書は、どこの自治体でも原則として再発行はしていません。
特別徴収税額の通知書が欲しい(再発行して欲しい) | 渋谷区公式サイト
課税証明書で代用
住民税決定通知書は再発行できませんが、課税証明書(住民税額を証明するための書類)や納税証明書などで代用できます。
課税証明書や納税証明書は、所轄の役所で発行ができますが、発行には数百円程度の手数料がかかります。
住民税決定通知書の再発行はできる?通知書の見方と必要なケース
決定通知書で副業がばれることはあるの?
会社員が副業をしている場合は、住民税の決定通知書により、会社にばれることがあります。
給与収入以上の所得でばれる
住民税の決定通知書には給与所得のほかに、その他の所得の金額が記載されています。たとえば、その他の所得に金額が記載されており、事業所得の欄にチェックがついていた場合、その会社員に事業所得があるとすぐにわかってしまいます。
また、アルバイトやパートをしている人は、会社で支払っている金額以上の給与収入額が記載されています。会社の経理担当者は、従業員の給与収入を把握しているので、会社が支払っている給与よりも高額であった場合、副業していることがわかります。
普通徴収を選んでも危険
副業の収入は、個人で確定申告を行います。その際、副業分の収入に関してのみ、住民税の納付を普通徴収にすることができます。確定申告できちんと普通徴収にできていれば、住民税の決定通知書に記載されることもありません。
しかし、確定申告書の確認や住民税の計算、住民税決定通知書の作成はすべて人の手で行っているものです。よって、人為的なミスがあり、普通徴収ではなく特別徴収されてしまう(住民税決定通知書に記載される)可能性もあり得ます。
だからといって、確定申告をしないのもよくありません。会社は役所に提出する給与支払報告書で、従業員に支払った給与を報告しています。
これによって確定申告の未提出がばれる可能性があり、悪質な場合『脱税』とみなされます。脱税は犯罪なので、罰金や懲役が科される可能性もあります。
まとめ
住民税決定通知書は、住民税の詳細を確認するための書類です。本来納めるべき住民税額に間違いがないか、きちんと確認しておきましょう。
そのためにも、まずは自分の所得額や控除額を知っておくことが大切です。せめて自分が納める住民税の計算だけでも、きっちりできるようにしておきましょう。
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