ふるさと納税とは
ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に現金を寄付することで、その自治体を応援できるようにした寄付金の制度です。寄付を受け取った自治体は、寄付金に応じた返礼品を納税者へ送ります。
加えて、ふるさと納税を行い、翌年の3月15日までに確定申告をすると、それぞれ所得税と住民税から、税金が控除されるという税制上の特典も付きます。(所得税については所得控除の対象に、住民税については税額控除の対象になります。)
還付額の計算方法
ふるさと納税では、寄付金額から2,000円(自己負担分)を差し引いた全額が、税金控除の対象となります。また、その控除額は、所得税と住民税で別の計算を行い決定します。
所得税からの還付について
所得税はその人の所得額に応じて、その税率が累進的に高くなる仕組みとなっています。
ふるさと納税による所得税の還付額は、ふるさと納税額から2,000円を差し引いた額に所得税率をかけた金額で、計算式は以下のようになります。
- 所得税からの控除 =(ふるさと納税額 −2,000円)× 所得税率
たとえば、年の給与所得が300万円の人が1万円のふるさと納税をした場合は所得税率が10%なので、800円がその年の所得税から還付されることになります。
所得税からの控除対象額は、総所得金額の40%が上限です。
住民税からの控除について
ふるさと納税による住民税の控除は、基本分と特例分の2種類があります。住民税からの控除の基本分は、以下の計算式により算出します。
- 住民税からの控除(基本分) =(ふるさと納税額 −2,000円)× 10%
たとえば、給与所得が300万円の人が2万円の寄付を行った場合は、1,800円が基本分として住民税から減額されます。
特例分は寄付金額の控除対象額から、所得税控除率と基本分控除率にあたる金額を差し引いた金額か、住民税所得割額の2割分のどちらか小さいほうです。前者の場合の計算式は以下のようになります。
- 住民税からの控除(特例分) =(ふるさと納税額−2,000円)×(100%−10%(基本分) −所得税率)
たとえば、給与所得が300万円の人の場合、所得税率は10%なので、2万円を寄付したときの特例分控除額は14,400円となります(住民税所得割額の2割が上限です)。
年収によって変わる上限
ふるさと納税による税金の控除額は、上記のような計算によって算出されますが、その対象となる寄付金額には、所得額と家族構成に応じた上限が決められています。
主だったパターンでの年間寄付金の上限を、総務省HPから抜粋し以下の表に示します。
給与収入(年間) | 独身、または共働き | 共働き夫婦と子1人(高校生) | 共働き夫婦と子2人(大学生と高校生) |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 7,000円 |
350万円 | 34,000円 | 26,000円 | 13,000円 |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 21,000円 |
450万円 | 52,000円 | 41,000円 | 28,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 36,000円 |
550万円 | 69,000円 | 60,000円 | 44,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 57,000円 |
650万円 | 97,000円 | 77,000円 | 65,000円 |
※共働き:ここでは、ふるさと納税を行う人が、配偶者(特別)控除を受けていない場合を指します
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
控除上限額シミュレーショントップ | ふるさと納税サイト「さとふる」
還付や控除を申請する方法
ふるさと納税による税金の控除を受けるには、手続きが必要ですが、その方法には確定申告と、『ふるさと納税ワンストップ特例制度』の2通りがあります。
ワンストップ特例制度を利用
会社員などの事情を考慮し、申告をしなくても税金の控除が受けられる制度が、ふるさと納税のワンストップ特例制度です。
この特例制度を利用するには、ふるさと納税を行った先の自治体へ『寄附金税額控除に係る申告特例申請書』を翌年の1月10日までに送付します。この申請書は、各自治体のHPからダウンロードするか、返礼品と共に送られてくるものを使用します。
ただし、ワンストップ特例制度が適用されるのはサラリーマンなど、通常は確定申告を行う義務のない人で、寄付をした自治体が5団体以内の場合のみです。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト
寄附金税額控除に係る申告特例申請書
住民税から控除
税金の控除を受けようとする人が、ワンストップ特例制度を利用した場合、寄付を受けた自治体が、寄付をした人の住む自治体へ通達をします。
その後、通達を受けた自治体は、控除対象の全額を住民税減額に適用します。したがって、所得税からの税金の還付は行われず、全額が翌年度の住民税から引かれることになります。
確定申告をする
事業所得などについて確定申告を行う義務のある人や、6団体以上の自治体に寄付をした人の場合、控除を受けるためには2月中旬から3月中旬にかけて行われる確定申告をする必要があります。
また、その際に提出する確定申告書には、寄付をした自治体が発行する証明書(受領書)を添付する必要があります、
住民税の控除と所得税の還付
ふるさと納税による税金の控除の申告をすると、翌年度に徴収される住民税の金額が減額されます。
所得税還付は、確定申告書に記入した金融機関の口座へ振り込まれます。指定できる金融機関は銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫、信用組合などですが、一部のネット専業銀行は振り込みができないので、確認が必要な場合があります。
還付額の確認方法
ここでは、還付額の確認方法をお伝えします。
所得税の還付額の確認
還付の申告を行うと、原則、各税務署ではすぐに処理を行うことになっていますが、2月から3月は確定申告書の処理に人材が割かれるので、実際に還付されるまでは、おおむね1カ月から1.5カ月程度の時間をみたほうがよいです。
還付が完了すると、税務署から『国税還付金振込通知書』が届くので、還付額の確認ができます。
また、電子申告のe-Taxを通じて確定申告した場合は、インターネットを通じて支払予定日や還付金の処理状況を確認することができる『還付金処理状況確認』というサービスがあり、自宅からでも還付処理の進捗を知ることが可能です。
e-Taxで所得税還付の申告を行うと、一般に還付処理が素早くおこなわれるので、その点でもメリットがあります。
ふるさと納税の税金還付額をあらかじめ知りたい場合は、総務省HPにある『寄附金控除額の計算シミュレーション』をダウンロードすると、エクセル(など)を使って所得税還付額と、住民税減額の合計が簡単に算出できるので参考になります。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
確定申告時に指定した口座への振込
確定申告をした場合、申告から1カ月から1カ月半程度で手続きがされ、4月末頃に、確定申告書に記入した銀行口座へ税金の還付金が振り込まれます。
確定申告をしたが還付額が少ない場合は?
ふるさと納税を行っても、実際に控除された額が自分の想定していた金額より少ないと感じることもあり得ます。
そのようなときは、ふるさと納税の仕組みを見直して確認する必要があります。
住民税の控除も合わせて考える
前述のとおり、ふるさと納税により税金の控除を受ける場合、ワンストップ特例制度を利用すると住民税のみの減額となり所得税額は変わりません。
ワンストップ特例制度を使わず確定申告をした場合は、住民税と所得税が共に控除の対象となります。ただし、この場合は、還付される税金は所得税のみで、住民税は翌年に支払う税額から控除されることになります。
このように、控除される形態やタイミングが違い混乱しやすいポイントになっているので注意が必要です。
住民税決定通知書で確認
一般的には、毎年5月から6月頃になると、住んでいる市区町村から『住民税決定通知書』が届きます。この通知書に、ふるさと納税による税金の控除額が記載されています。
還付された所得税分を含めて、ふるさと納税による控除の総額を知るためには、今年の住民税決定通知書に記載された税額控除を合計する必要があります。
年収を間違えている
確定申告のやり方に間違いがなくても、税金の控除が想定より少なくなるケースとしては、自分の年収を間違えている場合があります。
前述のとおり、自己負担分の2,000円以外の部分を全額控除の対象とするには、年収によって寄付金の上限額が決められています。
たとえば、ふるさと納税を扱うウェブサイトなどで、全額控除が受けられる最大の寄付額を自動計算した場合、自分の年収を間違って入力することがあり得ます。
控除上限額シミュレーショントップ | ふるさと納税サイト「さとふる」
源泉徴収票で確認
給与所得者の場合は、勤務先の会社から源泉徴収票を受け取ります。この書類に記載された『支払金額』が、その年の給与(総)収入です。これは、会社が支払った給与総額に各種の控除を適用する前の金額を表しています。
給与収入は、手取りの給料を1年分合計したものではないので、ふるさと納税の寄付金額を決定する際は、源泉徴収票などで確認するようにしましょう。
まとめ
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体へ寄付金を送れる制度です。その寄付金は、2,000円を引いた残りの全額を、控除の対象とすることができます。
税金の控除を受けるためには確定申告を行うか、寄付先の自治体へワンストップ特例制度の申請が必要です。また、所得税と住民税では、税金控除の方式が違うので注意が必要です。
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