所得税の控除について。保険に入っている人は忘れずに受けたい控除

生命保険などに加入している場合、忘れずに受けたいのが生命保険料控除です。この生命保険料控除を使うことによって、所得税の還付や住民税の負担軽減につながります。特に、税制改正による生命保険料控除の変更は、知っておいて損はありません。

保険料の所得税控除について

生命保険に加入しているのであれば、必ず確認していただきたいのが、年末調整や確定申告における所得税控除です。

生命保険料を支払っていれば、一定の限度額までは課税所得から控除することができるので、所得税の負担が軽くなります。

その年の1月1日から12月31日までに支払った金額から、配当金を差し引いた残りの金額が控除の対象となります。

生命保険料控除|所得税|国税庁

生命保険料控除の種類

生命保険料控除には3種類あり、加入している生命保険の種類によって、受けられる生命保険料控除の種類が異なります。生命保険料控除の制度を十分活用できるよう、まずはその種類について理解しておきましょう。

一般生命保険料控除

一般的な生命保険の保険料に対する控除です。終身保険や定期保険などが対象となります。他には、貯蓄型の生命保険商品となる養老保険や学資保険も、この一般生命保険料控除の対象となります。

ただし、5年未満の契約となる貯蓄型商品は、源泉分離課税が適用となり、一般生命保険料控除からは除外されるので、間違えないようにしてください。

源泉分離課税とは、本来なら他の所得と合算して課税所得となるのですが、源泉分離課税されることにより、他の所得とは別として納税が完了するシステムのことをいいます。

なお、源泉分離課税における税金額は、18.378%が源泉徴収され、さらに源泉徴収される所得に対し、2.1%の復興特別所得税が加算されます。

また、個人年金保険で、税制適格特約が付加されていない場合は、個人年金保険料控除ではなく、一般生命保険料控除に該当するので注意が必要です。

介護医療保険料控除

平成22年の税制改正によって誕生したのが、この介護医療保険料控除です。もともとは生命保険料控除と個人年金保険料控除しかなかったのですが、生命保険料控除は、一般生命保険料控除と介護医療保険料控除に分かれることになりました。

介護医療保険料控除に該当するのは、平成24年1月1日以降に契約した保険です。生命保険会社や損害保険会社と、医療費に関する契約をしている場合に適用されます。介護保険・医療保険や、生命保険の医療特約が対象となり、傷害保険は対象外です。

個人年金保険料控除

個人年金保険に加入している人は、個人年金保険料控除を受けることができます。ただし、すべての個人年金保険が、この控除の対象になるとは限りません。

個人年金保険料控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 契約者と受取人が同一、もしくは受取人が配偶者であること
  • 保険料の払込期間が10年以上であること
  • 年金の受取開始年齢が60歳以上であり、支払期間が10年以上であること
  • 税制適格特約が付加されていること

ここで、特に注意しておきたいのは、『保険料の払込期間が10年以上』という点です。

もし、『一時払い』で保険料を全額支払った場合には、その時点で払込完了となるため、10年という条件を満たすことができません。この場合は初年度のみ、一般生命保険料控除を受けられます。

同じ一括払いでも、『全期前納』であれば、個人年金保険料控除を受けることは可能です。

なぜなら、全期前納は生命保険会社が一旦保険料の全額を預かって、月々の保険料として充当していく仕組みになっているので、毎月保険料を支払っているのと同じ扱いになるのです。

保険料そのものは『一時払い』のほうが安くなりますが、『全期前納』で月払い・年払いよりも保険料を抑えたうえで、毎年『個人年金保険料控除』を受けて節税するという方法もあります。

生命保険料控除の対象となる保険契約等|所得税|国税庁

控除される金額について

平成23年12月31日までの契約と、平成24年1月1日以降の契約とでは、控除される金額が異なります。そのため、控除を受ける際には、必ず契約書や生命保険料控除証明書に目を通し、旧制度なのか新制度なのかを確認する必要があります。

また、旧制度と新制度で、それぞれに控除を受けられるなら、とても大きな控除になるのではと考えてしまいがちですが、控除額には上限が設けられており、どれだけ保険料を支払っていても、上限以上の控除を受けることはできません。

控除額の上限 一般生命保険料控除 介護医療保険料控除 個人年金保険料控除
旧制度 5万円 5万円
新制度 4万円 4万円 4万円
新旧合算 4万円 4万円 4万円
生命保険料控除 12万円

このように、各控除それぞれに上限があり、3種類の控除額の合算についても上限が定められています。

旧制度の契約の場合

平成23年12月31日までに保険契約を締結した場合は、旧制度での計算となります。

年間の支払保険料等 控除額
2万5,000円以下 支払保険料等の全額
2万5,000円を超え5万円以下 支払保険料等×1/2+1万2,500円
5万円を超え10万円以下 支払保険料等×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円

新制度の契約の場合

平成24年1月1日以降に保険契約を締結した場合は、新制度での計算となります。

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円を超え4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円を超え8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

ここで注意しておくことは、平成23年12月31日以前の旧契約を、平成24年1月1日以降に更新した場合です。切り替えた年は、旧制度の控除と新制度の控除が混同することになります。

また翌年以降は、旧制度ではなく、限度額が下がった新制度での生命保険料控除となるので注意してください。

生命保険料控除|所得税|国税庁

保険料の住民税の控除について

所得税と同様、住民税を決定する際にも、生命保険料控除を受けることができます。ただし、所得税とは計算方法や控除の上限額が異なります。

また、前年の所得金額によって翌年の住民税が決まるため、所得税のような還付ではなく、翌年の住民税から控除されるシステムになっています。

住民税には、所得割(課税所得に対して一律10%)と、均等割があります。特に均等割は、横浜市など一部の地域では、独自の税金が上乗せされている場合もあるので、住民税の税率を知りたい場合には、居住する自治体に確認してください。

控除される金額

所得税同様、住民税の保険料控除も平成23年12月31日以前の契約と、平成24年1月1日以降の契約とでは控除される金額が異なります。

控除額の上限 一般生命保険料控除 介護医療保険料控除 個人年金保険料控除
旧制度 3万5,000円 3万5,000円
新制度 2万8,000円 2万8,000円 2万8,000円
新旧合算 2万8,000円 2万8,000円 2万8,000円
生命保険料控除 7万円

所得税の計算方法と違い、旧制度と新制度の合算上限額は各控除2万8,000円ですが、生命保険料控除の上限額は7万円となっています。

これは、旧制度の上限額が適用されているためで、2万8,000円×3種類=8万4,000円というわけではありません。住民税の生命保険料控除を計算する際には注意してください。

旧制度の契約の場合

平成23年12月31日までに保険契約を締結した場合は、旧制度での計算となります。

年間の支払保険料等 控除額
1万5,000円以下 支払保険料等の全額
1万5,000円を超え4万円以下 支払保険料等×1/2+7,500円
4万円を超え7万円以下 支払保険料等×1/4+1万7,500円
7万円超 一律3万5,000円

新制度の契約の場合

平成24年1月1日以降に保険契約を締結した場合は、新制度での計算となります。

年間の支払保険料等 控除額
1万2,000円以下 支払保険料等の全額
1万2,000円を超え3万2,000円以下 支払保険料等×1/2+6,000円
3万2,000円を超え5万6,000円以下 支払保険料等×1/4+1万4,000円
5万6,000円超 一律2万8,000円

所得税と同様に、住民税の場合も平成24年1月1日以降に契約内容を更新した場合には、新契約日以降は旧制度ではなく、新制度での控除額となります。

Q.新しい生命保険料控除制度とは?|公益財団法人 生命保険文化センター

保険金を受け取った際の所得税控除について

満期保険金や死亡保険金を受け取った場合の税金の種類は、契約者(保険料を支払っている人)、被保険者(保険の対象となっている人)、受取人(保険金を受け取れる人)との関係がどのようになっているかで変わります。

そして、その課税される税金の種類によって、税金の控除額が変わります。

税金の対象 契約者 被保険者 受取人 税金の種類
ケース1 A B A 所得税
ケース2 A A B 相続税
ケース3 A B C 贈与税

所得税の対象となるケース1では、保険金の受け取り方は2通りあります。

  • 一時金で全額受取(一時所得の対象)
  • 一定期間、年金で受け取る(公的年金以外の雑所得)

一時所得の場合、最高50万円の特別控除額を差し引くことができるため、下記のように計算されます。

  • (受け取った保険金-支払った保険料の総額-50万円)÷2=確定申告する金額

年金で受け取った場合は基本的に源泉徴収され、所得税が差し引かれた金額を受け取ることになります。

なお、雑所得はその年に受け取った金額から、受け取った金額に対応する支払保険料を差し引いた金額となります。

生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき|所得税|国税庁

死亡保険金を受け取ったとき|所得税|国税庁

相続税の対象となる場合

相続税は遺された家族のためであることから、控除額がとても多くなっています。また、法定相続人の人数によって、その控除額は変わります。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式により算出した金額となります。

  • 3,000万円+600万円×法定相続人数

仮に、配偶者と子どもが3人いた場合には、法定相続人が4名となるので

3,000万円+600万円×4人=5,400万円

これが、相続税の基礎控除額となります。

死亡保険金に相続税がかかる場合の具体例は?|公益財団法人 生命保険文化センター

非課税となる場合

入院給付金・手術給付金・通院給付金・がん診断給付金など、身体の傷害によって支払われる給付金は全額非課税となります。

また、リビングニーズ特約を付加していれば、余命6カ月以内となったときに、前もって死亡保険金の一部、または全額を受け取ることができます。特約の給付金となるのでこちらも非課税です。

入院給付金などには税金がかからない?また、医療費控除とはどんなもの?|公益財団法人 生命保険文化センター

まとめ

年末調整や確定申告は、所得税の還付や次年度の住民税を決定するにあたり、非常に重要な手続きです。誰しも「できれば、少しでも節税したい」と思うのではないでしょうか。

せっかく生命保険や医療保険などに加入しているのであれば、忘れずに生命保険料控除を受け、節税に役立てましょう。

消費税、住民税、所得税、相続税、固定資産税など税金は沢山あり、支出と含めて計算しなければ家計を 圧迫するものです。税金を考慮した将来の家計を立てなければ、住宅の購入、保険の加入はしにくいものです。 ライフプラン・家計簿を作成して、長期的に管理しましょう!

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