1. Fincyトップ
  2. 税金
  3. 消費税
  4. 消費税の中間納付をしたら仕訳はどうなる?基本をマスターしよう

消費税の中間納付をしたら仕訳はどうなる?基本をマスターしよう

消費税の課税事業者は、一定の基準に該当する場合には、中間申告と納付をしなければなりません。消費税の中間納付についての基本から、中間納付を行ったときの具体的な仕訳の仕方など、実際の経理に必要な知識をわかりやすく解説します。

この記事の目次

消費税の中間申告と納付

消費税の課税事業者は前年、または前事業年度の消費税額に応じて、年の途中に中間申告と納付を行わなければなりません。それでは、中間申告の基準と中間納付額の計算方法を確認していきましょう。

また、課税事業者とは、次のいずれかに該当する事業者をいいます。

  • 基準期間(基本的には2年前の年、または事業年度)の課税売上高が1,000万円超である。
  • 新たな法人を設立し、その資本金が1,000万円以上である。
  • 消費税課税事業者選択届出書を提出している。

前年の消費税48万円超が基準

中間申告は、全ての課税事業者が対象となるわけではありません。個人事業主の場合には前年、法人の場合には前事業年度の消費税の年税額が、『48万円超』の事業者が対象となります。

48万円以下の事業者であっても、『任意の中間申告書を提出する旨の届出書』を税務署に提出することにより、中間申告を行うことが可能です。

あえて任意の中間申告を選択する理由としては、決算時に一度に多くの税額を納めることを避けたいなどの理由が挙げられます。

中間申告の回数は、年税額がいくらなのかによって決定され、次のいずれかとなります。

前年または前事業年度の年税額 中間申告の回数
48万円以下 0回
48万円超 400万円以下 1回
400万円超 4,800万円以下 3回
4,800万円超 11回

この48万円超という金額についてひとつ注意が必要なのは、48万円は国税部分という点です。地方税は含まれません。(現在の消費税率8%は、国税6.3%と地方税1.7%で構成されています。)

よって、前年または前事業年度の消費税確定申告書に記載された、『差引税額(9)』の欄が48万円を超えているかどうかで判断するようになります。

No.6609 中間申告の方法|消費税|国税庁

[手続名]任意の中間申告書を提出する旨の届出手続|消費税|国税庁

中間納付額の計算方法

中間納付額の計算方法は、『前年実績による方法』と『仮決算による方法』の2つがあります。

基本は前年の実績から算出

まずは、前年または前事業年度の年税額をベースに、中間納付額を計算する方法です。簡単に計算することができるので、ほとんどの事業者が採用している方法です。

具体的な計算方法は次の通りです。

前年または前事業年度の年税額 中間納付額(国税) 中間納付額(地方税)
48万円以下
48万円超 400万円以下 直前の確定消費税額×6/12 国税中間納付額×17/63
400万円超 4,800万円以下 直前の確定消費税額×3/12 国税中間納付額×17/63
4,800万円超 直前の確定消費税額×1/12 国税中間納付額×17/63

No.6609 中間申告の方法|消費税|国税庁

仮決算による算出も可

中間申告の対象期間で仮決算を行い、納める消費税額を計算する方法もあります。仮決算と「仮」の字がついてはいますが、実際の計算は通常の決算とほぼ同じです。

よって、多くの時間と手間が必要となってくるため、実務ではあまり採用されない方法です。

個人事業主も法人同様に必須

消費税の中間申告は、個人事業主や法人などの事業形態は問いません。個人事業主であっても法人と同じく、上記の解説全てが該当します。

個人事業主の課税期間(※)は、その年1月1日~12月31日と決まっているので、中間申告回数1回の場合の申告期限は、毎年8月31日となります。

※課税期間とは、消費税を計算する期間をいいます。

消費税及び地方消費税(個人事業者)の中間申告と納付|国税広報参考資料|国税庁

税抜処理の仕訳

課税事業者の記帳方法には、税抜処理と税込処理の2通りがあります。どちらを採用するかは事業者の自由となっていますが、多くの事業者はメリットの多い税抜処理を採用しています。

税抜処理とは、預かった消費税を『仮受消費税等』、支払った消費税を『仮払消費税等』として区分経理する方法です。

納付時は仮払金もしくは仮払消費税等

中間消費税を納付したときは、『仮払金』または『仮払消費税等』という資産の勘定科目を使って仕訳をします。どちらの勘定科目を使うかは、事業者それぞれの経理方針により異なります。

一般的には、仮払金には様々な支払いが含まれるのに対して、仮払消費税等は消費税のみ計上されるので、仮払消費税等を使った方が、わかりやすい場合が多いでしょう。

例えば、中間消費税50万円を現金で納付した場合の仕訳は、次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
仮払消費税等 500,000 現金 500,000

決算時に仮受消費税等と相殺

決算時には、中間消費税を含む仮払消費税等、または仮払金と、仮受消費税等を相殺する仕訳をします。

例えば、決算時における残高が仮受消費税等100万円、仮払消費税等69.9万円、消費税確定納付額30万円の場合の仕訳は、次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
仮受消費税等 1,000,000 仮払消費税等 699,000
未払消費税等 300,000
雑収入 1,000

消費税の精算仕訳において、仮払消費税等と未払消費税等の合計は、必ずしも仮受消費税等と一致するわけではありません。

端数処理などの関係でどうしても誤差が出てしまいます。この差額は、借方残の場合には雑損失、貸方残の場合には雑収入として処理します。

中間納付時に仮払金勘定を使って処理していた場合には、次の仕訳になります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
仮受消費税等 1,000,000 仮払消費税等 199,000
仮払金 500,000
未払消費税等 300,000
雑収入 1,000

税込処理の仕訳

税込処理とは、取引金額を全て税込金額とし、消費税分を区分経理しない方法です。消費税を納付したときの仕訳は、税抜処理に比べて単純です。

納付時は租税公課

中間消費税を納付したときには、『租税公課』という費用の勘定科目を使って仕訳をします。

例えば、中間消費税50万円を現金で納付した場合の仕訳は、次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
租税公課 500,000 現金 500,000

決算時は確定納付額の仕訳のみ

決算時においても、中間納付したときと同じです。納付した確定納付額のみ仕訳をします。

例えば、確定納付額30万円を現金で納付した場合の仕訳は、次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
租税公課 300,000 現金 300,000

仕訳で注意するポイント

実務において、注意すべきポイントを2点お伝えします。

税区分はどうするのか

弥生会計などの会計ソフトを使って、経理処理を行っている場合には、仕訳を入力する際に、消費税の税区分を入力するところがあります。

消費税の中間納付や確定納付の仕訳時には、この税区分を何で入力すればよいのでしょうか。

消費税の納付は課税対象外

一般的な事業を行っている事業者において、通常の取引では課税仕入や、課税売上を入力することがほとんどです。

仮払消費税等や租税公課を課税仕入として区分入力した場合には、その金額は課税取引と認識され、確定納付額の計算に影響してしまいます。

消費税の中間納付と確定納付については、消費税の不課税取引となるので、区分を『課税対象外』とし、消費税計算に影響させないようにしなければなりません。

年11回の納付は注意が必要

前年または前事業年度における、国税部分の確定消費税額が4,800万円を超える場合には、中間納付を11回行わなければなりません。この11回目の中間納付についてのみ、特別な注意が必要になりす。

最終納付分を未払消費税に

11回目の中間納付期限は、決算月の翌月となります。よって、決算時において未払計上が必要になります。

最終期限納付予定分の消費税額が200万円の場合の仕訳は、それぞれ次のようになります。

税抜処理の場合

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
仮払消費税等 2,000,000 未払消費税等 2,000,000

税込処理の場合

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
租税公課 2,000,000 未払消費税等 2,000,000

法人税の中間納付の場合

最後に、法人税の中間納付の取り扱いについて解説します。消費税は年税額によって中間納付が複数回になる場合がありますが、法人税は1回と決まっています。

申告期限は、事業年度開始日から8カ月以内となっており、3月決算法人であれば11月末が期限となります。

仮払法人税等で仕訳を起こす

法人税の中間納付を行った際には、『仮払法人税等』という資産の勘定科目を使って仕訳をします。

例えば、中間法人税100万円を現金で納付した場合の仕訳は、次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
仮払法人税等 1,000,000 現金 1,000,000

決算時において、法人税額が確定した際には、中間納付時に計上した仮払法人税等を精算する仕訳をします。

例えば、上記中間納付後の決算において、確定法人税額が180万円となった場合の仕訳は次のようになります。

勘定科目 借方 勘定科目 貸方
法人税等 1,800,000 仮払法人税等 1,000,000
未払法人税等 800,000

まとめ

消費税は事業を行っていく以上、常に関係してくる税金です。納める税額も所得税や法人税に比べて遥かに大きくなる場合が多く、間違いがあった際の影響も比例して大きくなってしまいます。

また、事業者によっては、11回もの中間申告が必要となる場合もあり、相当の労力が必要になります。

このように聞くと気負ってしまう人もいるかもしれませんが、上記の仕訳の具体例を見て分かるように、消費税の中間納付と確定納付の処理は、毎年同じ処理の繰り返しです。

慣れてしまえば大したことはありません。期限を守って申告納税を行い、すぐに正しい仕訳をすればそれで大丈夫です。

確定申告専用ソフトを活用することで、消費税の複雑な仕訳も簡単に進めていくことができます。簡単な入力で自動計算してくれるため非常にオススメです。

確定申告ソフト | クラウド会計ソフト freee

 

この記事の監修者

明治大学出身。上場保険代理店にて1年目新人賞、2年目社長賞受賞後にFPとして独立。これまで約2,000人と面談、プランニングを手掛ける。一人ひとりの資産設計の参謀として、お金の貯め方・守り方・増やし方などをアドバイスしている。 掲載メディア:ゼクシィ、Lifehacker、みんなのおかねドットコム、RAINBOW Town FM、他

消費税、住民税、所得税、相続税、固定資産税など税金は沢山あり、支出と含めて計算しなければ家計を 圧迫するものです。

税金を考慮した将来の家計を立てなければ、住宅の購入、保険の加入はしにくいものです。 ライフプラン・家計簿を作成して、長期的に管理しましょう!

関連するお金の記事

関連するお金の相談

消費税の人気記事

カテゴリ

税金