扶養控除について
扶養控除とは、14種類ある所得控除のうちのひとつで、納税者に控除対象扶養親族と認められる人がいる場合には、その扶養の区分や人数に応じて、一定の控除を受けられる制度です。
扶養控除を受けることにより、課税所得が減り、結果的に所得税を節税することができます。
具体的な扶養控除の金額は次の通りです。
区分 | 控除額(単位:万円) |
一般控除対象扶養親族 | 38 |
特定扶養親族(※1) | 63 |
老人扶養親族(※2)のうち同居老親等(※3)以外 | 48 |
老人扶養親族(※2)のうち同居老親等(※3) | 58 |
※1 控除対象扶養親族のうち、その年12月31日時点において19歳以上23歳未満の人をいいます。
※2 控除対象扶養親族のうち、その年12月31日時点において70歳以上の人をいいます。
※3 納税者や配偶者の直系尊属で同居している人をいいます。
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扶養控除の対象年齢は16歳以上
控除対象扶養親族とは、次の要件すべてに該当する扶養親族のうち、16歳以上の人をいいます。以前は16歳未満も対象でしたが、子ども手当(現:児童手当)が支給されるようになったことに伴い、平成23年分より廃止されました。
- 配偶者以外の親族であること。
- 生計を一にしていること。
- その年の合計所得金額が38万円以下であること。
- 白色申告者の事業専従者でないこと、または青色申告者からその年中に専従者給与を貰っていないこと。
16歳という年齢や上記の4つの要件は、その年12月31日時点の現況により判断します。
生計を一にしているとは
簡単には、納税者の収入によって、共に生活をしていることをいいます。
生計一と聞くと同居が必須であるように思うかもしれませんが、別居であっても生活費や医療費などの仕送りを受けて生活している場合には、生計一として認められます。
共働きの場合はどちらの扶養にするとよいか
両親が共働きである場合には、子供は父親と母親どちらの扶養にするほうが有利となるのでしょうか。
原則収入が多いほう
基本的には、年収が多いほうの扶養とするのが有利です。理由は、所得税は収入が多くなるほど高い税率が適用される、累進課税制度を採用しているからです。
父親が年収600万円で母親が年収300万円である場合には、子供は父親の扶養に入れたほうが、両親トータルでの所得税は、母親の扶養とした場合に比べ少なくなります。
所得税率について
具体的な所得税率は次の通りです。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4,000万円超 | 45% | 479.6万円 |
このように所得税率は、課税所得によって段階的に決められています。
課税所得は次の算式により計算します。
給与収入-給与所得控除=給与所得
給与所得-所得控除=課税所得
給与所得控除
給与所得控除とは、給与所得者にのみ認められている、必要経費の代わりになる控除をいい、収入額に応じて決められています。平成29年分の給与所得控除額は次の通りです。
給与収入額 | 給与所得控除額 |
180万円以下 | 給与収入額×40%
(65万円未満である場合には65万円) |
180万円超~360万円以下 | 給与収入額×30%+18万円 |
360万円超~660万円以下 | 給与収入額20%+54万円 |
660万円超~1,000万円以下 | 給与収入額10%+120万円 |
1,000万円超 | 上限220万円 |
所得控除
所得控除とは、今回の扶養控除をはじめとして、個々が持つそれぞれの事情を税金の計算に含めるために設けられた制度をいい、全部で14種類あります。詳しい概要は、下記の国税庁ホームページから確認できます。
子供が複数いる場合
子供が2人以上いる場合には、上記の所得税速算表を使って、夫婦それぞれの所得税を試算してみましょう。
夫婦のどちらか一方で扶養控除を受ける場合と、夫婦で分散して扶養控除を受ける場合を比較し、所得税額が少なくなるほうを選択することができます。
ただし、会社によっては扶養のルールが決まっている場合や、扶養・家族手当が充実している場合もあります。税金面だけでなく、会社規定も確認しておきましょう。
子供がアルバイトをしている場合
16歳以上になってくると、子供がアルバイトを始めることも多いでしょう。大学生になると、さらに増える傾向にあります。子供に収入がある場合の扶養は、どのようになるのでしょうか。
子供の給与金額に注意
子供がアルバイトをしている場合には、その年に貰う給与金額によって、扶養に入れるか否かが決まります。
これは上記で解説した4つの扶養要件のうち、『その年の合計所得金額が38万円以下であること。』に当たります。
103万円の壁
結論から言えば、その年の給与収入額が103万円までであれば、合計所得金額が38万円以下となり、アルバイトをしていない場合と同様、扶養に入ることができます。
先述したの表によると、給与収入額が103万円の場合、給与所得控除額は65万円です。給与収入額から給与所得控除額を差し引いた金額のことを所得といい、この場合の所得は38万円となります。
よって、その年の合計所得金額が38万円以下であれば、扶養控除の要件を満たすため、扶養に入ることができるのです。
世間一般によく言われている、主婦のパート103万円の壁(配偶者控除の要件)もこの計算によるもので、子供のアルバイトに対しても同じことが言えます。
上限を超えた場合
子供の給与収入額が103万円を超えた場合には、扶養に入ることが認められなくなり、38万円の扶養控除が0円になります。
また、子供が19~22歳である場合には、学費などによる家庭の経済的負担が考慮され、特定扶養親族として63万円の扶養控除がありますが、これも0円になってしまいます。
課税所得が38万円増えることになると、最低税率の5%であったとしても所得税は19,000円増えてしまいます。
必要な場合には仕方ないですが、103万円を微妙に超える働き方は、税制面では不利になりますので注意しましょう。
勤労学生控除について
学生であってもアルバイトをして給与収入が103万円超ある場合には、扶養の問題以前に、子供本人にも所得税が課されます。
通常であれば給与収入が103万円を超えてくると、それぞれの所得控除額にもよりますが、超えた部分に対して所得税が課されます。しかし、それが勤労学生である場合には、103万円ではなく130万円となります。
これは、勤労学生に該当する人については、勤労学生控除という制度があり、27万円の所得控除があるからです。38万円+65万円+27万円=130万円ということになり、130万円までは所得税はかかりません。
注意しなければならないのは、これは子供本人に所得税がかかるか否かの話であり、親の扶養に入れるか否かの話ではありません。扶養においては103万円までなので、混同しないようにしましょう。
勤労学生控除の詳しい情報についてはこちらをご確認ください。
子供が就職した場合
子供が就職をしたからといって、それですぐに扶養から外れるというものではありません。先述した通り、103万円を超えたら扶養から外れます。
ただ、4月に就職した場合には、年収103万円を超えることがほとんどでしょう。もしも10月など年の後半に就職した場合には、103万円を超えない場合も考えられるので、その場合には扶養に入れることができます。
年末調整で手続き
子供が就職して扶養から外れることになったら、就職した年の年末調整までに勤務先に知らせましょう。所得税は年末調整で精算されるので、それに間に合えば問題ありません。
ただし、子供が扶養から外れるということは、月々天引きされる源泉所得税額も上がることになります。扶養から外れることが分かったら、すぐに勤務先に知らせたほうが、年末調整で大きく徴収されることはなくなります。
まとめ
子供を扶養とすることで受けられる扶養控除は、38万円または63万円と大きな控除額となります。子供が複数いる場合には、なおさら賢く受けたい制度です。
誰を扶養とするかの申告自体は、名前などを記入するだけの簡単な手続きなのですが、万が一間違いがあった場合には、のちのち追徴課税される可能性もあります。扶養の判断は慎重に行うようにしましょう。
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