事業に関する税金の種類
事業を行っている人に関係する主な税金は、国税では所得税と消費税、地方税では住民税と個人事業税及び固定資産税が挙げられます。
それぞれどのような税金なのか確認していきましょう。
所得税と消費税について
所得税とは、個人の10種類の所得に対して課される国税です。10種類の所得のうち、個人が事業を行うことにより生じた所得は『事業所得』に該当します。
消費税とは、物やサービスなどを消費するという行為に対して課される国税です。
所得税と消費税は確定申告のときに税額を計算し、自分で納税します。申告期限及び納付期限は次の通りです。
税金の種類 | 申告期限及び納付期限※ |
所得税 | 3月15日 |
消費税 | 3月31日 |
※期限が土日祝の場合にはその翌日が期限になります。
平成29年分の所得税と消費税の申告期限は、平成30年3月15日(木)と平成30年4月2日(月)になります。
住民税と個人事業税について
住民税(市町村民税+道府県民税)とは、その年1月1日時点の住所地に納める地方税です。
個人事業税とは、個人が事業を行うことにより生じた所得に対して課される地方税です。
住民税と個人事業税は、所得税と消費税の確定申告書を提出することにより、税務署から住所地の地方自治体に、確定申告内容の連絡がいくようになっています。
そして、それを受けた地方自治体が住民税と個人事業税を計算し、個人事業主へ納税額と納付方法の通知を送付します。
住民税と個人事業税の納付方法や期限は、地方自治体によって異なります。納付方法については、一括払いと分割払いを選択でき、期限については次のようになっているところが多いです。
税金の種類 | 納付期限 |
住民税 | 6月(一括払いを含む)、8月、10月、翌年1月のそれぞれ末日 |
個人事業税 | 8月、11月のそれぞれ末日 |
固定資産税について
固定資産税とは、その名称と通り固定資産に対して課される地方税です。その年1月1日時点において、土地や家屋、及び償却資産を所有している人が納めなければなりません。
固定資産税も住民税や個人事業税と同じように、申告の必要はありません。固定資産がある住所地の地方自治体が税額を計算し、所有者へ納税額と納付方法の通知を送付します。
納付方法や期限は地方自治体により異なります。納付方法については、一括払いと分割払いを選択でき、納期は6月(一括払いを含む)、9月、12月、翌年2月のそれぞれ末日となっているところが多いです。
個人事業主の所得税の計算
個人事業主は、1年間であげた利益(所得)に対する所得税を、自分で計算して税務署に申告しなければなりません。この申告を確定申告と言います。
所得税の計算方法の基礎事項
個人事業主の所得税は次の流れで計算します。
- 事業所得額を算出:収入-経費-青色申告特別控除額(※1)=事業所得額
- 課税所得額を算出:事業所得額-所得控除(※2)=課税所得額
- 所得税額を算出:課税所得額×所得税率(※3)-控除額=所得税額
- 復興特別所得税額を算出:所得税額×復興特別所得税率2.1%=復興特別所得税額
- 納付すべき所得税額を算出:所得税額+復興特別所得税額=納付すべき所得税額
売上などの収入から、様々な経費を差し引いた利益から青色申告特別控除額を差し引いた残額が事業所得額となります。
その事業所得額から、扶養控除や基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得額に、所得税速算表の税率を乗じ、控除額を差し引いて所得税額が算出されます。
そして、2037年12月31日までは復興特別所得税も課せられるため、最終的な所得税の納付額は、所得税額と復興特別所得税額を合算した金額となります。
※1青色申告特別控除額とは、税務署長に青色申告の承認を受けた個人事業主が受けることができる、10万円または65万円の特別控除のことをいいます。
詳しくは、下記の国税庁ホームヘージをご確認ください。
※2所得控除とは、個人個人が抱えている事情を所得税の計算に取り入れることによって、課税の公平を図るために設けられている制度です。14種類の所得控除があります。こちらも、詳しくは下記の国税庁ホームページで確認ができます。
※3所得税率とは所得税速算表に定められている税率をいいます。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4,000万円超 | 45% | 479.6万円 |
正確に所得税を計算するには
個人事業主として、所得税を間違いなく計算し納付するためには、どのような方法があるのでしょうか。
独学で習得する
日々の経理から決算、確定申告までの一連の処理は、決して難しいものではありません。自分で勉強して習得することは十分可能です。
また、慣れてくれば毎年同じような処理が続いていくので、最初の頃は大変ですが、その後は慣れ次第なところが大きいです。
事業規模がそれほど大きくない場合には、この方法で対応できるでしょう。
会計ソフトを利用する
弥生会計などの会計ソフトを利用することにより、手書きの帳簿を作成するよりも格段に経理の効率性が上がり、計算ミスもなくなります。
また、会計知識が薄くても簡単に入力できるように作られています。導入時に数万円程度のソフト購入費用はかかりますが、費用対効果は大きいです。
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税理士に依頼する
正確な所得税申告を行うには、この方法が最も確実であると言えます。税理士に依頼することにより個人事業主は事業に専念することができ、場合によっては節税や経営の相談に乗ってもらうこともできます。
ただし、当然ながらこれには大きな費用がかかります。料金は事業規模や税理士事務所によって様々となっています。
年商1,000万円以下程度であれば、確定申告料は数万円~10万円、月々の記帳代行まで依頼する場合は月額顧問料1万~3万円程度を設定している事務所が多いです。
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従業員を雇用する個人事業主の場合
事業の拡大と共に従業員を雇用する必要が出てきますが、個人事業主であってもそれは可能です。
ただし、人を雇用するということは様々な届け出や手続きが必要となり、義務や責任も増しますので安易な判断は禁物です。
雇用についての届け出や手続き
従業員を雇用した場合には、雇用主は源泉徴収義務者となり、給与から源泉所得税を天引きし税務署に納付しなければなりません。
また、従業員を1人でも雇用した場合には労働保険、さらに従業員を5人以上雇用した場合には社会保険に加入しなければなりません。
個人事業主が従業員を雇用した場合に必要な届け出は次の通りです。
提出先 | 提出書類名 |
税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 |
税務署 | 青色事業専従者給与に関する届出書 |
税務署 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
労働基準監督署 | 労働保険関係成立届 |
労働基準監督署 | 労働保険概算保険料申告書 |
ハローワーク | 雇用保険適用事業所設置届 |
ハローワーク | 雇用保険被保険者資格取得届 |
年金事務所 | 新規適用届 |
年金事務所 | 被保険者資格取得届 |
年金事務所 | 保険料口座振替納付(変更)申出書 |
年金事務所 | 健康保険被扶養者(異動)届 |
従業員の給与計算
給与は、総支給額から源泉所得税や社会保険料などを天引して差引支給額を計算します。給与計算は個人事業主が自分で行うことが十分可能です。
会計ソフトと同じように給与ソフトも多数販売されていますので、利用するのもよいでしょう。
税額をシミュレーションする
確定申告計算が終わって初めて、その年の所得税額を知ることになってしまうと、税額が大きかった場合には、納税資金が足りないなどの問題が起こる可能性もあります。
前もって、概算額である程度の税額をシミュレーションしておくと安心です。
サイトを活用しシミュレーション
個人事業主の税額をシミュレーションするためのサイトが数多くありますので、これらを利用すれば簡単に計算することができます。
個人事業主のかんたん税金計算 | 確定申告応援プロジェクト_弥生
まとめ
個人事業主は、事業に関する全てを自分で行わなければなりません。脱サラして個人事業主となった人は、今まで勤務先がしてくれていたことを、自分でするようになるのです。
経理処理や確定申告は重要な処理ではありますが、そこから利益が生まれることはありません。いかに効率的に間違いなく行うかがカギとなってきます。
会計ソフトや給与ソフトを導入し、場合によっては税理士に全て依頼してしまうというのも方法のひとつです。自分に合った方法を見つけましょう。
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