税金

法人税率を知ろう。その基本から最新の改正まで解説します

アベノミクス成功のために、法人税率の引き下げが行われました。まず、法人税率とは一体何なのでしょうか。法人税率はなぜ引き下げる必要があったのか、引き下げることで日本経済にどのような影響があるのか、わかりやすくお伝えします。

法人税率とは

株式会社などの法人は、一事業年度の所得(利益)に対して法人税を納める義務があります。法人税率とは、その法人税を計算する際に使用する税率のことを言います。

2017年の法人税率は何%?

2017年(平成29年)現在における法人税率は、何%なのでしょうか。法人税率は全ての法人に対して一定ではなく、資本金や所得金額に応じて設けられています。それでは、それぞれの法人ごとに確認していきましょう。

中小法人

中小法人とは、資本金1億円以下の法人のことです。法人税率は以下となります。

区分 税率
年間所得800万円以下の部分 15%
年間所得800万円超の部分 23.4%

例えば、その事業年度の所得金額が1,000万円だった場合の法人税額は、

800万円×15%+(1,000万円-800万円)×23.4%=166万8千円ということになります。

普通法人

普通法人とは、中小法人を除く資本金1億円超の法人をいいます。2017年における法人税率は23.4%です。

その他の法人

その他には公益法人等 、協同組合等、特定の医療法人があります。

区分 税率
公益法人等 年間所得800万円以下の部分 15%
公益法人等 年間所得800万円超の部分 19%
協同組合等、又は特定の医療法人(※1) 年間所得800万円以下の部分 15%
協同組合等、又は特定の医療法人 年間所得800万円超の部分 19%
協同組合等、又は特定の医療法人 特定の協同組合等(※2)の年10億円超の部分 22%

 

※1特定の医療法人とは、措法第67条の2第1項に規定する承認を受けた医療法人のことをいいます。

簡単には、医療法人の中でも特に公益性が高い、と国税庁長官から承認された法人をいいます。

※2 特定の協同組合等とは、その事業年度における物品供給事業のうち店舗において行われるものに係る収入金額が1,000億円にその事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額以上であるなど、一定の要件を満たす協同組合等をいいます。

出典:法人税の税率|法人税|国税庁

法人税実効税率とは

法人が負担することになる税金は、国税である法人税以外にも、地方税である地方法人税、法人住民税、法人事業税があります。

法人税は基本的に損金算入(経費とすること)が認められていませんが、事業税だけは損金算入が認められています。実効税率とはそれらを考慮した上の、法人が実質的に負担することになる税率を指します。

表面税率と実効税率の違い

『表面税率』とは、法人が納めるべき法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税を単純に合計した税率をいいます。要するに、申告納税を行う際の税率を表しているのです。

これに対して『実効税率』は、法人がその事業年度の所得に対して、どれだけの税金を負担したかを表す税率になります。

表面税率による税額は、実は実際に法人が負担した税額とは異なります。その理由は、法人事業税は支払った事業年度の損金が算入されるため、発生した事業年度と損金算入される事業年度が異なるからです。

法人の実質的な税負担額を示すには、この節税効果を表面税率に加える必要があるのです。

法人事業税とは

法人事業税とは、事業を行っている法人に対して課される税金で、事務所や事業所を置いている都道府県に納める地方税になります。法人税と同じく所得に対して課され、税率は地方公共団体によって一定の範囲で変わります。

実効税率の計算方法

実効税率は次の算式により計算されます。

『実効税率=法人税率×(1+地方法人税率+法人住民税率)+法人事業税率÷1+法人事業税率』

法人税率の税制改正

法人税率は、過去何度も改正を繰り返してきました。近年においては引き下げの一途をたどっています。

平成28年度税制改正では、安倍政権が掲げていた、将来的な実効税率が20%台となるように、法人税率を平成28年度より段階的に引き下げることになりました。

かつて40%あった実効税率は、改革初年度の平成27年度では32.11%、更にこの税制改正により平成28年度より29.97%、平成30年度からは29.74%となります。

改正の内容

税制改正では、法人税率を法人ごとに、次の通り引き下げられることになりました。

主な改正点は、中小法人の年間所得800万円超の部分と、普通法人の税率が23.4%から23.2%になっている点です。平成30年4月1日以後開始事業年度分より適用されます。

区分 平成28年4月1日以後に開始する事業年度(現行) 平成30年4月1日以後に開始する事業年度
中小法人 年間所得800万円以下の部分 15% 19%(H31.3.31までに開始した事業年度までは15%)
中小法人 年間所得800万円超の部分 23.4% 23.2%
普通法人 23.4% 23.2%
公益法人等 年間所得800万円以下の部分 15% 19%(H31.3.31までに開始した事業年度までは15%)
公益法人等 年間所得800万円超の部分 19% 19%
協同組合等、特定の医療法人 年間所得800万円以下の部分 15% 19%(H31.3.31までに開始した事業年度までは15%)
協同組合等、特定の医療法人 年間所得800万円超の部分 19% 19%
協同組合等、特定の医療法人 特定の協同組合等の年10億円超の部分 22% 22%

法人税の税率|法人税|国税庁

これまでの推移

近年における我が国の法人税率の推移を、表面税率と実効税率に分けて確認してみましょう。

平成27年から平成28年にかけて大きく減税されていることが分かります。この時点で実効税率20%台を実現しています。

表面税率

H27.4.1以後開始事業年度 H28.4.1以後開始事業年度 H30.4.1以後開始事業年度
23.9% 23.4% 23.2%

 

実効税率

H27.4.1以後開始事業年度 H28.4.1以後開始事業年度 H30.4.1以後開始事業年度
32.11% 29.97% 29.74%

引き下げによる影響

安倍政権は当初からこの法人税率の引き下げを掲げていました。それだけ傾いた日本経済を立て直すには、なくてはならない改正だったのです。

改正されるということはメリットが多いからなのですが、メリットがあれば少なからずデメリットも存在します。両者を合わせて確認していきましょう。

メリット

  • 日本企業の発展

税率が下がるということは、納税する法人税が減るということです。それにより企業は、以前よりお金が内部に残せることになるので、新規事業や研究への投資を増やすことができ、企業が発展していく可能性が高くなります。

  • 労働者の質が上がる

法人税減税により確保できるようになったお金で、その企業で働く労働者の賃金の上昇や、能力向上のための教育費用などに充てることができます。

  • 失業者の減少

企業の経営状態がよくなれば資金的余裕ができます。それが新たな雇用やリストラの減少に繋がり、失業率が低下します。

  • 日本企業の海外流出抑止

優秀で多くの利益を出す企業は、その分法人税を納めることになります。法人税率が高い国よりも低い国に魅力を感じるようになり、優秀な企業が外国に逃げ出してしまう場合があります。

法人税率の引き下げは、このような日本企業の海外流出を止めることができます。

  • GDPの上昇

海外企業の国内誘致に繋がり、GDP上昇に貢献します。

デメリット

  • 国の税収減

今回の税制改正による法人税率引き下げは、資本金1億円超の法人の所得と、中小法人の所得800万円超の部分にかかってくる税率のみです。よって、恩恵を受けるのは、大企業だけあり、中小法人に関しては所得800万円超の部分にしか恩恵がありません。

一般的に法人税率が1%下がると、約4,700億円の税収が失われると言われています。今回の改正では、これを補うために消費税増税などの課税ベースの拡大が行われるため、中小法人をはじめとしてシワ寄せを受ける者が出てきます。

平成29年度の法人税率

先日、平成29年税制改正大綱が発表され、中小法人の年間所得800万円以下の部分に係る軽減税率15%について、期限が延長されました。改正前は平成29年3月31日までに開始する事業年度となっていましたが、これが平成31年3月31までに開始する事業年度となります。

世界から見た日本の実効税率

かつてはアメリカに並んでいた日本の法人税実効税率ですが、度重なる改正により世界7位まで順位を下げてきています。

これにより、日本企業の海外流出の抑制と世界企業の日本誘致が促進され、国際経済力が高まるでしょう。特に、かつては独占的な強みであった製造業の復活が期待されます。

以下、世界20位までの国の実効税率をお伝えします。

順位 国名 実効税率
1 アメリカ合衆国 38.91%
2 フランス 34.43%
3 ベルギー 33.99%
4 ドイツ 30.18%
5 オーストラリア 30.00%
5 メキシコ 30.00%
7 日本 29.97%
8 ポルトガル 29.50%
9 ギリシャ 29.00%
10 ニュージーランド 28.00%
11 イタリア 27.81%
12 ルクセンブルク 27.08%
13 カナダ 26.70%
14 オランダ 25.00%
14 オーストリア 25.00%
14 スペイン 25.00%
14 チリ 25.00%
18 韓国 24.20%
19 イスラエル 24.00%
19 ノルウェー 24.00%

法人実効税率の国際比較 : 財務省

まとめ

法人税の減税は、アベノミクスを実現するためには必要不可欠です。実効税率を20%台とすることで、世界主要各国の実効税率と並ぶことができ、日本企業の海外流出と海外企業の誘致に繋げることができます。

反対に、法人税率の引き下げは、我が国の法人税による税収を低下させてしまいます。それを補うために消費税増税などが行われるのも事実です。

法人の税負担が、国民に回ってきているのではないかと思いかねませんが、とにかく現在の我が国におては、企業が元気になるということが先決なのです。

そうすれば労働者の賃金が上がり消費が増え、経済が活性化していき、最終的には国民の生活が潤うことに繋がるのです。

消費税、住民税、所得税、相続税、固定資産税など税金は沢山あり、支出と含めて計算しなければ家計を 圧迫するものです。税金を考慮した将来の家計を立てなければ、住宅の購入、保険の加入はしにくいものです。 ライフプラン・家計簿を作成して、長期的に管理しましょう!

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