そもそも予定納税とは?
予定納税とは前年度の所得納税額をもとに、今年もそれぐらいの納税額があるだろうと見越して、前払いをする制度です。また、その対象となる納税額は15万円以上からとなっています。
納付時期は第1期分は7月に、第2期分は11月に、前年の所得税額の1/3相当額をそれぞれ納めます。そして、確定申告で実際の納税額との調整が行われます。
必要以上に納める必要はない
予定納税は、あくまでも『前払い』です。したがって、必要以上に納める必要はなく、仮に納めすぎても、その分は還付されます。
ただし、予定納税は義務として課せられているので、支払わなければ延滞税が加算されます。したがって、支払えないからといって無視することはできません。
延滞税について
期間 | 割合 | |
---|---|---|
2カ月以内 | 2カ月以降 | |
平成26年1月1日から平成26年12月31日 | 2.9% | 9.2% |
平成27年1月1日から平成27年12月31日 | 2.8% | 9.1% |
平成28年1月1日から平成28年12月31日 | 2.8% | 9.1% |
平成29年1月1日から平成29年12月31日 | 2.7% | 9.0% |
延滞税は、2カ月以内だと年7.3%か特例基準割合に1%足したものの、いずれか低いほうの割合を適用し、2カ月以降は年14.3%か、特例基準割合に7.3%を足したものの、いずれか低い方の割合を適用します。
また、延滞税は日数に応じて加算されます。
所得税の予定納税って何?制度の内容や理解すべきポイントのまとめ
減額申請の決まりについて
予定納税を支払うのが厳しくなったときに、その税額を減らすのが減額申請の制度です。しかし、最終的に納めなければいけない所得税額は変わらず、あくまで無理をして必要以上に支払うことがなくなるだけです。
対象となる人とは?
減額申請の対象は、以下の条件に該当する方です。
(1) 廃業や休業、失業をした場合
(2) 業況不振などのため、本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合
(3) 災害や盗難、横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
(4) (中略)本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合
出典:所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁
これらはあくまで一例であり、基本的には予定納税を納められる見込みが無い場合は、減額申請を行うことができます。もし、自分が対象かどうか不明な場合は、税務署に相談するとよいでしょう。
申請期限はいつ?
第1期分及び第2期分の減額申請については、その年の7月1日から7月15日までに提出してください。
第2期分のみの減額申請及び特別農業所得者の減額申請については、その年の11月1日から11月15日までに提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
出典:所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁
このように申請期間が定められているのですが、申請にあたっては必要な書類を揃えたりなど準備が必要になるので、早めに準備するようにしましょう。
申請しない選択肢もある
減額申請をしない場合は、予定納税額が実際に納税しなければいけない税額を上回ることがあります。その場合は差額が還付されます。また、還付加算金という利息のようなものが加算されることもあります。
利息が発生する期間は長くても1年未満で、利率は平成29年は1.7%です。したがって、あまり大きな金額を期待できるものではありません。
ただし、この還付加算金ですが、対象となる還付金額は10,000円以上からなので、金額が少ないと発生しません。自分自身の現状をしっかりと考慮して、選択するようにしましょう。
減額申請の仕方について
では、具体的に減額申請の仕方についてみていきましょう。
まずは減額申請書を用意する
上記の国税庁ホームページより、減額申請書を印刷し、必要事項を記入しましょう。もし、印刷する設備がない場合は、直接税務署に出向いて書類をもらうこともできます。
申告納税見積額等の計算書について
この計算書の基本的な書き方は、下記の国税庁ホームページ『申告納税見積額等の計算書の書き方』に記載されています。
これは、現在見込まれる所得税の納税額は、これくらいになると示すものです。7月に申請するのなら6月30日までに見込まれる額を、11月に申請するのなら10月30日までに見込まれる額を記入します。
つまり、6月30日時点での見込みを7月15日までに、10月30日時点での見込みを11月15日までに準備して申請することになり、期限にあまり余裕がありません。
あくまでも見積額なので、厳密でなくても大丈夫ですが、あまりにも大きく異なる金額にならないよう気をつけましょう。
必要な添付書類について
必要な添付書類とは、『申告納税見積額の根拠となる書類』です。例えば、休業や業績不振などでしたら、一般的に損益計算書を添付する必要があります。
また、国税庁ではこの書類のことを『申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類』と呼んでいます。
死亡した人の予定納税について
所得税の予定納税の義務が確定するのは、『6月30日を過ぎる時の現況』で決まります。そのため、相続人に納税義務が発生するのは7月1日以降に死亡した場合になります。逆に6月30日以前に死亡した場合は納税義務が発生しません。
法第104条《予定納税額の納付》関係|通達目次 / 所得税基本通達|国税庁
相続人に納税義務がない場合
相続人に納税義務がない場合は、予定納税の通知が来たとしても、税務署に納付すべき人が死亡した旨を連絡すれば、予定納税の納付を取り消すことができます。もちろん、減額申請を提出する必要はありません。
また、予定納税が取り消された場合には、その旨を記した取消通知書が税務署から送られてきますので、それで取り消されたか確認ができます。
相続人に納税義務がある場合
相続人に納税義務がある場合は、相続人が納税義務を継承するので、予定納税額を納税しなければいけません。また、死亡した人の準確定申告で、納付した予定納税額分の控除を受けることができます。
納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|所得税|国税庁
準確定申告とは
準確定申告とは、相続人が死亡した人に代わって、死亡した年の1月1日から亡くなった日までの所得を申告する制度です。また、申告期限は死亡を知った日から4ヶ月以内に行わなくてはいけません。
この準確定申告の書類は、死亡した方が生前提出していた確定申告と同じ書類でよく、申告の見出し部分に『準』と書き足します。また、相続人の氏名住所と、死亡した方との続柄を記した付表も必要です。
納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|所得税|国税庁
申告書の提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署になります。加えて、相続人や包括受遺者が複数の場合は、原則として連署にて申告しなければなりません。
包括受遺者とは、遺言によって遺産の何割かを指定して遺贈された人のことです。
まとめ
今回は、予定納税額の支払いが厳しい場合に活用できる、減額申請を解説してきました。減額申請をすることで、納税の負担をできる限り減らすことができます。資金繰りが厳しいときは、減額申請を検討するとよいでしょう。
ただし、これは所得税の納付自体を無くすものではないということを、覚えておきましょう。
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