相続税と贈与税について知ろう
まずは、相続税と贈与税についてです。住宅を取得するときに、この2つの税金の知識を備えていると、場合によっては効果的な相続税対策を行うことができます。
相続税とは
まずは、相続税の相続の部分についての説明です。相続とは、死亡した人(以下被相続人)の財産を遺された人(以下相続人)が承継することです。
その相続や遺贈(遺言によって、財産が相続人に移転すること)によって財産を取得した場合にかかる税金のことを相続税といいます。この税金の納税義務者は、原則として財産を取得した個人となります。
贈与税とは
こちらも、贈与税の贈与の部分からみていきます。贈与とは、生存している個人から財産をもらう契約のことです。
贈与税とは、贈与により財産を取得した個人に課される税金のことです。贈与は、必ず贈る側と受ける側の合意によって成立するので、契約は口頭でも書面でも有効となります。
なお、書面による贈与は撤回することができませんが、書面によらない贈与は履行が終わっていないものに関しては、各当事者が撤回することができます。
生前贈与に効果的な制度
ここでは、生前贈与の基本と、贈与する際に適用できる非課税制度をご紹介します。
生前贈与とは
生前贈与とは、贈与の形態の1つです。贈与と呼ばれるものは、一般的に生前贈与のことを指しており、生きているうちに財産を分け与えることが前提となります。
相続税対策を効果的に行える方法が、この生前贈与です。なぜなら、あらかじめ被相続人の財産を減らしておけば、相続の際に課税される相続税が減るからです。
また、贈与者が受贈者に、私が死んだらこの土地をあげると口頭で伝えた場合は、死亡によって実現する贈与契約なので、生前贈与ではなく、死因贈与になります。死因贈与は相続税の課税対象になりますので注意が必要です。
相続税対策に生前贈与を上手に利用するために、さまざまな非課税制度があることを確認しておきましょう。
生前贈与の非課税枠
生前贈与には、主に6つの非課税制度があります。以下はその非課税枠の制度とその非課税限度額です。
- 基礎控除110万円
- 相続時精算課税制度2,500万円
- 直系尊属からの住宅取得資金の贈与700万円(一般住宅のケース)
- 贈与税の配偶者控除2,000万円
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税1,500万円
- 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与1,000万円
次項で、生前贈与のうち住宅取得時に利用できる非課税制度について、詳しく解説していきます。
住宅取得に使える非課税制度
住宅取得時に使える非課税制度は以下になりますが、贈与者や受贈者が限られているものや、制度を利用するにあたって、それぞれ条件を設けている場合もあるため、国税庁のホームページなどで、一度確認をしたほうがよいでしょう。
基礎控除
基礎控除を受ける側は、複数の方からの贈与を受けても、非課税になる額は年間合計110万円までとなります。110万円以下であれば現金や不動産など、どのような贈与であっても申告の必要はありません。
毎年110万円の贈与を行なうと、必然的に財産は減っていきますので結果、相続税をおさえる手段になります。なお、贈与者は複数に贈与することが可能なので、より相続税対策に効果的です。
ただし、例えば毎年100万円ずつ、10年間住宅ローンの返済金を贈与されることがあらかじめ約束されている場合は、定期給付金契約(一定期間、継続してお金を受け取る契約)に関する権利の贈与があったとみなされ、贈与税がかかります。
相続時精算課税
相続時精算課税とは贈与の際、贈与税を軽減して相続時に贈与分と相続分を合算した計算制度です。相続時精算課税を利用すると、2,500万円まで非課税となりますが、超えた分は20%を加算して計算されます。
受贈者は満20歳以上の子と孫です。贈与者は本来この制度を利用する場合、満60歳以上でないといけませんが、住宅取得のための贈与であれば、60歳未満でも可能です。
また、住宅取得の場合は贈与を受けた翌年の3月15日までに、住宅を取得していなければなりません。
上記の通り、この制度は相続時に贈与分と相続分を支払うようになります。相続税対策として利用する場合は贈与財産が現金ではなく、今後価値が上がるものに効果が期待できます。
住宅取得資金の贈与
- 床面積の半分以上が居住用であること
- 耐火建築物の場合は、築後25年以内であること(それ以外は築後20年以内)
- 贈与を受けた翌年の3月15日までに居住していること
贈与税の配偶者控除
贈与税の配偶者控除は、名前の通り受贈者は配偶者のみで、子や孫には適用できません。
婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与があった場合、最高2,000万円まで配偶者控除が受けられます。
主な要件は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住していること、過去に同じ配偶者との間で、この特例を利用していないことです。
こちらは、相続税の生前贈与加算(相続開始前3年以内に受けた贈与は、相続財産として加算される制度)の対象となりません。よって、2,000万円以下の部分はそのまま控除を受けられるので、節税になります。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|贈与税|国税庁
非課税の適用を受けるために
次は、実際に適用を受けるための申告方法や申告する際の注意点などを解説していきます。
申告方法
贈与税の非課税制度を受けるには、申告書を提出しなければいけません。この申告書の提出義務者は、贈与を受けた受贈者になります。
万が一、受贈者が贈与税を納付しない場合には、贈与者に連帯納付義務が課されます。
提出期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までで、提出先は、受贈者の住所地の所轄税務署へ提出します。
適用を受ける際の注意点
まず、基礎控除は、110万円以下の場合に限り申告不要ですが、相続時精算課税、住宅取得資金の贈与、贈与税の配偶者控除は、納付額が0円でも申告が必要です。申告漏れは、本来かからない贈与税が課税されます。
また、非課税制度は併用できるものもあります。より相続税対策の効果を上げるため、併用ができるか確認することをおすすめします。
- 基礎控除110万円と贈与税の配偶者控除2,000万円
- 基礎控除110万円と一般住宅の取得資金の贈与700万円
- 相続時精算課税2,500万円と一般住宅の取得資金の贈与700万円
基礎控除と贈与税の配偶者控除を併用した場合、2,110万円まで生前贈与加算の対象となりません。また、相続時精算課税と基礎控除は併用できません。
相続税を減らして節税。相続税・贈与税の基本と非課税枠について
まとめ
ここまで、住宅取得時に使える非課税制度について解説していきました。もし、ご自身が非課税制度の適用条件に該当して、さらに併用も可能であれば、相続税対策に大変効果的です。
相続時精算課税に関しては、扱いが少々煩雑で、将来の相続を受けるであろう財産によっては、節税効果を得られないこともあります。
よって、この制度の利用を検討する場合は、贈与者ともよく相談されたほうがいいでしょう。
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