住宅ローン控除の基本と計算方法
まずは、住宅ローン控除の基本的な知識と、計算方法についてご説明します。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除の正式名称は、『住宅借入金等特別控除(以下住宅ローン控除)』といいます。
住宅ローンを利用して、住宅を購入したりリフォームをした場合、ローンの年末の残高に、一定の率を掛けた金額を所得税から還付できるというとてもお得な制度なのです。
この制度を受けるには、還付申告という手続きが必要になります。還付申告とは、本来確定申告が必要でない方が、確定申告をすることによって、納め過ぎた所得税を還付してもらうことです。
控除額と控除の期間
一般住宅と認定住宅で基準が異なります。認定住宅とは、省エネ機能など一定の基準を満たした住宅のことです。
一般住宅の場合
平成26年4月から平成33年12月に居住開始の方の住宅ローンの年末残高限度額は、『4,000万円(平成26年3月以前に居住の方は2,000万円)』です。
この控除額に、1%を掛けたものが還付金額となり、控除期間は10年間です。
認定住宅の場合
平成26年4月から平成33年12月に居住の方の住宅ローンの年末残高限度額は、『5,000万円(平成26年1月から3月居住開始は3,000万円)』です。
一般住宅と同じく控除率は1%で、控除期間は10年間です。
計算方法について
控除額の計算式は、年末の住宅ローン残高×1%です。以下は、一般住宅と認定住宅の住宅ローン控除額の算出例です。
- 例)平成29年以降の入居で、ローン残高が2,200万円の一般住宅の場合
控除額は、2,200万円×1%=22万円となります。
- 例)平成29年以降の入居で、ローン残高が4,200万円の一般住宅の場合
一般住宅は、住宅ローンの年末残高の限度額が4,000万のため、200万を引いた4,000万円が適用される残高となります。
控除額は、4,000万×1%=40万円となります。
- 例)平成29年以降の入居で、ローン残高が適用限度額の5,000万円である認定住宅の場合
控除額は、5,000万円×1%=50万円となります。
控除の適用を受けるには
とてもお得な制度の住宅ローン控除ですが、適用の受ける上でいくつかの条件があります。
主な適用条件とは
主な条件は以下となります。次の条件全てを満たしていないと申請できません。
- 返済の期間が10年以上のローンであること
- 住宅を取得日より、6カ月以内に居住を開始すること
- 床面積が50㎡以上で、半分以上の部分が自身の居住すること
- 控除開始年の合計所得金額が3,000万円以下であること
合計所得金額が3,000万円とは、イコール年収3,000万円ということではありません。国税局のホームページに詳しい解説がありますので、参考になさってください。
適用を受ける上でのポイント
- 2年目以降で確定申告が不要になるケースも
- 繰上返済を行なう際は、注意が必要
- 住民税からも控除が可能
初年度の適用は、確定申告が必須です。しかし、会社員など給与所得者は、2年目以降に年末調整で控除されるため確定申告は不要になります。
繰上返済によって、返済期間が10年未満になってしまうと、適用を受けることができません。10年の数え方は、住宅ローン返済開始からカウントします。
所得税額から控除しきれない場合には、翌年度の住民税からも控除ができます。平成26年4月から平成33年12月に居住開始の方は、年に13万6,500円が上限です。(平成26年3月以前だと9万7,500円まで)
一定の三世代同居改修工事の特例
一定の三世代同居住宅の改修工事(リフォーム)は、ローンの年末残高に一定の率を掛けた金額を、所得税から控除できる特例です。
この特例の適用を受けるには、平成28年4月1日から平成31年6月30日までに入居していることが前提となります。
一定の三世代同居改修工事の対象
一定の三世代同居改修工事の対象となるものは、浴室やトイレ、台所や玄関で、工事費用の合計が50万円を超えるものです。
増設する箇所は、いずれか2つ以上が複数となるものに限ります。
特例の控除額と控除の期間
こちらの特例では、住宅ローン残高上限額が1,000万円となっています。住宅ローンの控除額は、下記1.と2.の合計となり、控除期間は5年間です。
- 一定の三世代同居改修工事にかかる工事費用に相当するローン残高×2%(工事費用は250万円が限度)
- 1.以外のローン残高×1%(その他の工事費用は750万円が限度)
特例を受ける条件
この特例を受ける条件は以下となります。
- 返済期間が5年以上のローンであること
- 控除開始年の合計所得金額が3,000万円以下であること
- 賃貸ではない家屋のリフォームであること
- 床面積が50㎡以上で、半分以上の部分が自身の居住すること
住宅ローン控除の手続きについて
次は、住宅ローン控除の手続きの方法について詳しく解説していきます。
手続きの流れ
入居した年の翌年の確定申告の時に申請します。所得税の確定申告は、翌年2月16日から3月15日までですが、住宅ローン控除等は還付申告なので、翌年1月1日から5年間提出することができます。
確定申告をする目的が住宅ローン控除のみの方は、混雑を避けて早めに済ませておくほうが賢明です。早めに行なうことで、その分還付金も早く受け取ることができます。
給与所得者の場合、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが行えます。また、年末調整の時に提出する書類は、9年分まとめて郵送されてくるため、大切に保管しておいてください。
住宅ローン控除に関する疑問
これまで、住宅ローンについて知識を深めていきましたが、知れば知るほどさまざまな疑問が出てきたのではないでしょうか。こちらでは、そんな疑問について解決していきます。
疑問についての解説
いつまでに購入したら控除を受けられるのか
平成33年12月31日までに、入居が完了していれば申請可能です。
新築住宅でなければいけないのか
中古住宅でも、一定の基準を満たしていれば控除を受けられます。
中古住宅の適用基準について、
- 築25年以内の耐火建築物であること(耐火建築物でなければ築20年以内)
- 現行の耐震基準を満たしていること
- 生計を一つにする親族からの購入や贈与ではないこと
会社の都合により、引き渡し前に転勤を告げられた
転勤など事情のときは、引き渡しから6カ月以内に家族が住み、転勤が済み次第、再び家族と同居することが認められる場合であれば適用が可能になります。
まとめ
ここまで、住宅ローン控除の基本から確定申告の手続きに至るまでを解説していきました。
この住宅ローン控除の手続きをするかしないかでは、長い目でみると数百万単位のお金の差が生じます。このことを踏まえると、是非ともこの制度を活用されることをおすすめします。
なお、確定申告の際に揃えなければならない書類や、より詳しい手続きにつきましては、国税局のホームページや所轄税務署などでご確認をお願いいたします。
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