固定資産税の概要
まず最初に、固定資産税について確認しましょう。固定資産税は個人や法人で所有する不動産や設備などの有形資産に対して課せられる地方税です。個人の場合だと土地や家屋、法人の場合は土地や建物の他、設備や船舶、航空機などの一部動産も課税対象となります。
固定資産税とは
固定資産税は地方税です。個人の住所地や本社の所在地を管轄する市役所などの自治体が法律に基づいて個人や法人の所有する財産や資産を価値評価し、その評価額を基準に課税するものです。
評価額は定期的に見直され、現在の評価額を知りたい場合は自治体の税務関係部局に問い合わせて、確認することができます。固定資産税の計算で用いるのは次の二つです。
・固定資産評価額
・課税標準額
・標準税率
固定資産評価額は国土交通省の行う土地評価や家屋評価算定基準で算定した金額の約7割とした額となっていることが多いです。課税標準額は土地の用途や面積に基づき、固定資産評価額を元に計算します。標準税率は1.4%を基準に、自治体が財政事情によって定めています。
固定資産税は次式で計算します。
・固定資産税=課税標準額×税率
非償却資産の場合
個人や法人で所有する不動産や設備などの有形資産には、時間の経過とともに価値が減るものと、時間の経過によらず、常に一定の価値を維持するものがあります。非償却資産は後者に該当し、土地などが該当します。
住宅敷地の場合は課税標準額を固定資産評価額から計算する場合、面積によって次の特例があります。
・住宅敷地面積200平方メートル以内:課税標準額を1/6にする
・住宅敷地面積200平方メートルを超える部分:課税標準額を1/3にする
土地面積が150平方メートル、課税標準額4,000万円とすると、土地の使い方で固定資産税は次のようになります。
・更地:4,000万円×1.4%=56万円
・住宅敷地:4,000万円×1.4%×1/6=9.3万円
償却資産の場合
耐用年数という考え方に基づき、その期間は一定の金額で、または取得時の価格に一定比率を乗じて計算した金額で価値が減少する資産を償却資産といい、具体的には建物や設備、船舶や航空機などの動産が該当します。
資産評価金額が下がっていくので、取得時の固定資産税が大きく、耐用年数に近づくほど少なくなります。
建物について住宅を考え、課税標準額1,000万円とすると、次のように計算できます。
・新築住宅:1,000万円×1.4%×1/2=7万円
・一般住宅:1,000万円×1.4%=14万円
新築住宅の場合は3年間、一般住宅の場合と比べて課税標準額が1/2になる特例が使えます。
税の軽減措置を受けるには
固定資産税は土地や家屋の評価を元に納税額が決まります。土地や家屋が数千万円となれば、1.4%の標準税率ではかなりの金額になります。そこで一般の家計に対しては特例が使える場合が殆どです。
他方、個人や法人の事業者でも税負担を軽減できる仕組みがあれば活用したいものです。具体的な方法はあるのでしょうか。
特例を利用する
平成29年度税制改正で固定資産税の減免に関する特例の対象資産が拡充されたことはご存じでしょうか。これは平成28年からはじまった中小企業等経営強化法に基づく申請手続きを行い、国の認可を受けることが必要ですが、固定資産税の減免対象資産が拡大されたことは注目ですね。
国の認可を受ければ、固定資産税は半分になります。これまでは対象資産は機械および装置のみでしたが、今回の税制改正で一定の工具や器具備品、建物附属設備が加えられました。
なお、機械および装置を除く固定資産について、対象地域と対象業種が限定されていますので注意が必要です。具体的には次のようになっています。
・最低賃金が全国平均以上の地域:労働生産性が全国平均未満の業種
・最低賃金が全国平均未満の地域:すべての業種
最低賃金が全国平均以上の地域は、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都の各都府県になります。
経営力向上計画の認定を受ける
固定資産税の減免に関する特例を受けるために、中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画を作成し、国への申請を行って認可を受ける必要があります。具体的な手続きの流れは次のとおりです。
①:減免の対象候補の設備の選定
②:対象候補の設備の証明書を工業会等より入手
③:事業分野を所管する省庁に経営力向上計画認定申請書を提出
④:経営力向上計画の審査、認定
経営力向上計画の審査、認定には標準で1か月ほどかかるようです。
中小企業の場合について詳しく
中小企業等経営強化法は中小企業以外に、個人事業を含む小規模事業者も対象として経営を支援するために策定された法律です。中小企業の方がこの法律に基づき、実際に手続きを行う際のポイントをいくつかご紹介します。
固定資産税の軽減措置のメリット
中小企業の最大の悩みは人手が不足しているということではないでしょうか。特に少子高齢化の進展で、若い人が集まりにくくなっています。
人手不足を補うために設備投資による業務効率の向上を考えている経営者にとって、頭が痛いのが設備にかかる固定資産税の負担だと思います。固定資産税の軽減措置によってその負担を軽減し、資金繰りの改善を図ることができるでしょう。
経営力向上計画を策定が必要
固定資産税の軽減措置を受ける上で、最大の障害となるのが経営力向上計画を策定です。特に中小企業の場合は人手に余裕がなく、経営者自身が計画を策定するのは難しいのではないでしょうか。
そうした場合は、地元の商工会議所や自治体の商工部局などに相談されてはいかがでしょう。中小企業診断士などの専門家を紹介、斡旋してくれる場合があります。
まとめ
中小企業や個人を含む小規模零細事業者にとって、常に悩みの種が資金繰りの安定と経営の効率化だと思います。また、人手不足の深刻さをカバーする上で、設備投資は喫緊の課題でしょう。
固定資産税の軽減措置によってその負担を少しでも和らげることができるのではないでしょうか。
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