借地権は相続税にも関係する
『借地権』とは、他人の土地を借りて、自分の家や建物を建てられる権利です。借地権は、相続により相続人に引き継がれる資産とされます。
相続税とは、相続人が相続や遺贈などにより取得した財産の合計額が、基礎控除額(誰でも一律に適用される控除)を超える場合に国に納める税金です。よって、借地権の評価額は、相続税額に影響します。
ここではまず、借地権を評価する際に使用される『借地権割合』について、解説します。
借地権割合とは
借地権割合とは、相続する不動産に借地権が設定されている場合に、路線価(※)に乗じる割合です。
不動産を評価するにあたっては、土地の形や利用状況などにより、路線価が一定の割合で補正されます。借地権割合は、利用状況による補正の一つです。
(※路線価とは、毎年、国税庁から発表される、公道に面した1㎡あたりの土地の評価額です)
路線価図から借地権割合がわかる
借地権割合は、路線価図で確認可能です。路線価図とは、路線価が記された地図で、国税庁および税務署窓口・国税庁ホームページに掲載されます。路線価図の一例は、下表のとおりです。

借地権割合は、路線価の横にアルファベットで記されます。アルファベットごとの補正割合は、下表のとおりです。
記号 | 借地権割合(%) |
A | 90 |
B | 80 |
C | 70 |
D | 60 |
E | 50 |
F | 40 |
G | 30 |
路線価図の見方がわからない人は、所轄税務署の窓口に相談しましょう。
相続税の評価に借地権割合が使われる
借地権がある不動産の評価方法は、借地権の種類によって異なります。次は、借地権の種類別に、相続税評価額計算方法を詳しく解説します。
普通借地権の相続税評価
普通借地権の相続税評価額を求める計算式は、以下のとおりです。
- 相続税評価額=路線価×借地権割合×面積(㎡)
普通借地権とは、更新がある借地権です。普通借地権では、契約者の希望により、借地権の契約を更新できます。更新の期間は、借地契約がされた時期により、下表のように定められます。
契約した時期 | ||
1992年7月まで | 92年8月以降 | |
適用される法律 | 借地法 | 借地借家法 |
契約期間(年) | ・堅固な建物:原則60 ・非堅固な建物:原則30 |
建物の構造に関わらず原則30 |
更新後の契約期間(年) | ・堅固な建物:原則30 ・非堅固な建物:原則20 |
・最初の更新後:原則20 ・2回目以降の更新後:原則10 |
貸宅地の相続税評価
貸宅地(かしたくち)とは、家や事務所といった建物を建てて使用するために、第三者に貸し出している土地です。相続税評価額を求める計算式は、以下のとおりです。
- 相続税評価額=自用地(じようち)の評価額-自用地の評価額×借地権割合
自用地とは、他人が使用する権利がない土地をいいます。自用地の評価額の求め方は、路線価×面積(㎡)です。
例えば、路線価50万円・借地権割合60%・面積120㎡の貸宅地の相続税評価額は、2400万円(50万円×120㎡-50万円×120㎡×60%)となります。
貸家建付地の相続税評価
貸家建付地(かしやたてつけち)とは、所有する土地に建築した家屋を、賃貸している場合をいいます。例えば、自分が所有する土地にアパートなどを建築し、人に貸しているケースなどです。
貸家建付地の相続税評価額を求める計算式は、以下のとおりです。
- 相続税評価額=自用地の評価額-自用地の評価額×借地権割合×借家権割合(原則30%)×賃貸割合
賃貸割合の計算式は、以下のとおりです。
- 賃貸割合(%)=課税時期に賃貸されている床面積の合計÷賃貸部分の床面積の合計×100
例えば、部屋数10部屋のアパートが建つ貸家建付地があるとします。すべての部屋の広さが同じで、課税時に賃貸している部屋数が8部屋だとすると、賃貸割合は80%(8÷10×100)です。
売買取引における評価は別物
地主の同意があるときには、借地権の売買が可能です。借地権を売買する際の評価方法を解説します。
借地権割合で売買は成立しない
借地権割合は、相続税評価額の算出に使用するものです。そもそも相続税評価額は、相続人に対する税負担を抑えるために、地価公示価格(※)の80%程度になるよう設定されています。
よって、借地権が実際に取り引きされる価格と借地権割合には乖離(かいり)があることは、知っておきましょう。
(※地価公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて発表する、毎年1月1日時点の標準地の地価です。地価公示価格は、土地取引価格の指標とされます)
底地割合とは
底地とは、借地権がある土地に対して、地主が保有する所有権です。底地割合とは、その土地の価格に占める底地の割合をいいます。
底地割合は、土地の価値を100%とした場合、借地権割合を引いた部分です。例えば、借地権割合が60%の土地では、底地割合は40%となります。
まとめ
借地権は相続の対象となる資産です。借地権の相続税評価額を求めるには、路線価および借地権割合が必要です。知りたい人は、国税庁および税務署窓口・国税庁ホームページで確認しましょう。
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