固定資産税とは
『固定資産税』とは、土地や家屋・償却資産(※)といった不動産を所有する人に課される、市区町村の税金です。固定資産税の対象となる不動産の種類は、下表のとおりです。
資産の例 | |
土地 | 田・畑・宅地・池沼・山林・牧場・原野 |
家屋 | 住家・店舗・工場(発電所・変電所を含む)・倉庫 |
償却資産 | 構築物・機械・装置・工具・器具・備品・航空機・船舶 |
ここではまず、固定資産税の基本事項を解説します。
(※償却資産とは、土地や建物以外で、事業に供することができる資産を指します)
<税金の種類><固定資産税・都市計画税(土地・家屋)> | 東京都主税局
固定資産の所有者に課せられる
固定資産税の納税者は、1月1日に不動産を所有する人です。納税者は、その年の5月ごろに送られる『納税通知書』を使い、一括もしくは分割で納税しましょう。
分割で納税する場合の期限は、地方税法により以下のように定められています。
- 第1期:4月
- 第2期:7月
- 第3期:12月
- 第4期:翌年2月
納税期限の詳細は、市区町村により異なります。詳しくは、納税通知書および市区町村のホームページで確認しましょう。なお、納税は以下いずれかの方法で行います。
- 市区町村窓口
- 指定された金融機関
- 指定されたコンビニ
- 口座振替
- ペイジー(※)
(※ペイジーとは、税金や公共料金、各種料金などの支払いを、パソコンやスマートフォン・携帯電話・ATM(エイティーエム:現金自動預け払い機)からできるサービスです)
納税通知書の見方
納税者には、納税通知書および納付書が送付されます。納税通知書は、不動産の評価額や軽減税額・課税額など、納税の詳細が記された書類です。具体例を、以下に紹介します。
納付書は、納付手続きの際に窓口に提出する書類です。納付書の一例は、以下のとおりです。
納付書には、納税額や納付期限・納税者の氏名などが記載されます。納税者は、期限内に速やかに手続きをしましょう。
なお、コンビニでの納付は、バーコード印字がある納付書でのみ受け付けています。また、ペイジーマークがない納付書では、ペイジーを利用した納付はできません。
固定資産税に関する申請には個人番号が必要。本人確認書類にも注意
新築の場合の減税と申請
固定資産税はの計算式は、以下のとおりです。
- 固定資産税額=課税標準額×1.4%(標準税率※)
ただし、2020年3月31日までに新築された下表の住宅の場合、軽減措置を受けられます。
床面積(㎡) | |
専用住宅 | 50以上280以下 |
併用住宅(居住部分の割合が1/2以上) | 居住部分の床面積が50以上280以下 |
軽減措置が受けられる床面積の範囲は、以下のとおりです。
- 120㎡以下の部分:1/2
- 120㎡を超える部分:120㎡相当分についての1/2
軽減措置を受けられる期間は、下表のとおりです。
減額期間 | |
3階建て以上の準耐火構造および耐火構造住宅 | 新築後5年 |
一般の住宅(上記以外) | 新築後3年 |
(※標準税率とは、地方自治体が課税する場合に、用いられるべきとされる税率です。財政などの理由で必要があると認められた場合、標準課税とは異なる税率になります)
減税の対象となる長期優良住宅とは
新築住宅のうち、長期優良住宅として認定された住宅は、以下の減税を受けられます。
- 120㎡以下の部分:1/2
- 120㎡を超える部分:120㎡相当分についての1/2
減税される期間は、下表のとおりです。
減額期間 | |
3階建て以上の準耐火構造および耐火構造住宅 | 新築後7年 |
一般住宅(上記以外) | 新築後5年 |
長期優良住宅の条件
長期優良住宅と認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 09年6月4日~20年3月31日までに新築された
- 耐久性・安全性等の住宅性能が一定基準を満たすものとして、行政庁の認定を受けて新築された
-
併用住宅の場合、居住部分の割合が全体の床面積の1/2以上
また、減税を受けられるのは、下表の住宅に限ります。
床面積(㎡) | |
専用住宅 | 50以上280以下 |
併用住宅 | 居住部分の床面積が50以上280以下 |
申請様式や個人番号など認定に必要なもの
認定長期優良住宅の減税制度を受けるには、 新築された日から翌年の1月31日までに、家屋がある市区町村窓口に申請しなければなりません。東京都を例に、申請に必要な書類を下表で確認しましょう。
認定長期優良住宅を新築した | 新築の認定長期優良住宅を購入した | |
必要書類 | ・申告書 ・長期優良住宅認定通知書 ・登記事項証明書 |
・申告書 ・長期優良住宅認定通知書 ・売買契約書 ・最終代金領収書 ・登記事項証明書 |
申告書は、各市区町村のホームページでダウンロードできます。認定通知書は、着工前に登録住宅性能評価機関および所管行政庁の認定を受けると、発行されます。
申請する市区町村によっては、個人番号カードなどその他の書類も必要です。
申請が遅れた場合
期限内に申告書の提出ができなかったときには、提出が遅れた理由を申告書に記載し、市区町村窓口で相談しましょう。
遅れた理由がやむをえないと判断された場合には、軽減措置を受けられます。
減築の場合の減税と申請
固定資産税の税額そのものを減らす方法の一つに、リフォームがあります。ここでは、リフォームと固定資産税について見ていきましょう。
減築とは
『減築』とは、リフォームにより床面積を減らすことです。固定資産税は、床面積をもとに計算されるため、減築をすれば固定資産税の軽減を狙えます。減築の方法として考えられるケースは、以下のとおりです。
- 平屋の住宅の一部を減らす
- 2階建て住宅の1階部分を減らす
- 2階建て住宅の2階部分を減らす
- 2階建て住宅の1階および2階部分の一部を減らす
減築では、固定資産税を減らせるだけでなく、光熱費の軽減も目指せます。家族状況の変化などにより、現在住んでいる家が広すぎると感じる人は、減築を検討しても良いでしょう。
その他のリフォームと減税
リフォームの種類によっては、固定資産税の軽減措置を受けられることがあります。固定資産税が軽減されるリフォームは、下表のとおりです。
リフォームの種類 | 詳細 |
バリアフリー改修工事 | 100㎡の床面積相当分にかかる固定資産税額を1/3 減額 |
省エネ改修工事 | 120㎡の床面積相当分にかかる固定資産税額を1/3 減額 |
耐震改修工事 | 120㎡の床面積相当分にかかる固定資産税額を1/2減額 |
軽減措置が受けられるのは、改修工事完了の翌年度分(耐震改修は翌年度から2年分)の固定資産税に限ります。
また、軽減措置を受けるには、築年数など一定の要件を満たさなければなりません。詳細は、市区町村窓口で確認しましょう。
必要書類は市区町村に確認を
リフォームによる軽減措置を受けたい人は、原則として改修工事完了から3カ月以内に、納税地の税務署に申告しなければなりません。申告に必要な書類は、以下のとおりです。
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
- 増改築等工事証明書
- 給与所得者の場合は、給与所得の源泉徴収票
- 介護保険の被保険者証の写し(バリアフリー改修のみ)
- 家屋の床面積が50㎡以上であることを明らかにする書類(省エネ改修のみ)
- 81年5月31日以前に建築された家屋であることを明らかにする書類(耐震改修のみ)
上記に加え、マイナンバー確認書類などその他の書類が必要な場合もあるため、手続き前に税務署もしくは市区町村に確認すると安心です。
セカンドハウスの減税と申請
一定の要件を満たすセカンドハウスも、減税の対象となります。税金の軽減措置を受けられるセカンドハウスは、日常生活に必要な住居として、毎月1日以上居住(※)している住居です。
よって、避暑のために所有している別荘などは、減税の対象とはなりません。
(※居住には寝食を伴うとされるため、日帰り利用は居住にはあたりません。また居住では、電気・水道などのライフラインが使用できる状態であることが前提です)
セカンドハウスと軽減措置
セカンドハウスには、固定資産税および都市計画税(※)の軽減措置があります。都市計画税は通常、固定資産税と一緒に納めます。
セカンドハウスにおける固定資産税および、都市計画税の軽減措置は、下表のとおりです。
固定資産税 | 都市計画税 | |
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) |
課税標準額×1/6 | 課税標準額×1/3 |
一般住宅用地 (200㎡超の部分) |
課税標準額×1/3 | 課税標準額×2/3 |
(※都市計画税とは、都市計画事業などの費用に充てるため、市街化区域内に所在する土地および家屋に課せられる税金です。都市計画税は、課税標準額×税率(最高0.3%)で計算されます)
手続きは都道府県によって違う
セカンドハウスの軽減措置を受けるには、納税者による申請が必要です。申請には、以下の書類を用意します。
- 家屋の利用状況に関する申告書
- 毎月の利用状況がわかる証明書
毎月の利用状況を確認できる書類例は、電気使用量の明細や町の小売店の利用明細書等です。なお、利用明細書として認められる書類は、都道府県により異なります。
固定資産税が優遇される?申請だけで得するセカンドハウス購入テク
償却資産の申告について
償却資産とは、土地や建物以外で事業に供することができる資産を指します。例えば、事業のために用いている構築物・機械・工具・器具・備品等の固定資産などです。
償却資産も、土地や家屋と同じく、固定資産税の対象です。最後に、償却資産の納税について、解説します。
地方税という点に注意
償却資産は固定資産の一つのため、償却資産にかかる税金は、市区町村に申告しなければなりません。償却資産にかかる税金を納めるには、以下の手順が必要です。
- 償却資産の申告を、市区町村に提出する
- 市区町村から送られる納税通知書により、納税する
償却資産の申告には、以下の方法があります。
- 市区町村の窓口に、申告書を提出する
- eLTAX(エルタックス※)を利用し、ネット上から申告する
eLTAXを利用するには、利用届出を行って得られる利用者ID(アイディー)が必要です。届出期間内に申告を完了できるよう、計画的に手続きを進めましょう。
(※eLTAXとは、地方税ポータルシステムのことです。eLTAXでは、地方税の申告に必要な手続きを、インターネット上で電子的に行えます)
申告書の書き方
償却資産の申告には、下表の書類が必要です。
資産の状況 | 必要書類 | |
初めて申告する人 | 該当資産あり | ・償却資産申告書 ・種類別明細書 |
該当資産なし | ・償却資産申告書 | |
前年に申告した人 | 資産の増減あり | ・償却資産申告書 ・種類別明細書 |
資産の増減なし | ・償却資産申告書 |
初めて申告する人は、所有者や事業の内容・資産の取得価格などを、申告書に記入します。前年に申告した人は、申告書の記載内容を確認し、訂正・補足をしましょう。
まとめ
一定の条件を満たす建物を保有する場合、固定資産税の軽減措置を受けられます。軽減を受けるには、申請が必要です。該当する人は、速やかに手続きを行いましょう。
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