土地の評価方法には3種類ある
金銭であれば、その金額そのものを計算すれば良いのですが、金銭以外の財産であれば、金額に置き換える必要があります。
不動産も、相続税・贈与税の計算にあたっては、金額に置き換える必要があるのですが、どのように算定するかは、国税庁の『財産評価基本通達』にて規定されています。
相続税・贈与税における不動産の評価方法は、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 路線価方式
- 倍率方式(固定資産税評価額を使用)
-
不動産鑑定士による評価
路線価方式と倍率方式どちらの評価方法を使用するかは、評価しようとする土地の所在地で決まっており、選択できるものではありません。
路線価方式、倍率方式で、適正な評価ができない場合(例えば、高低差が激しい土地等を評価する場合)、例外的に不動産鑑定士による評価を使用します。
普段、なじみのない言葉が出てきているので、まず言葉の定義から解説します。
路線価
『路線価』は、相続または贈与により取得した財産に係る相続税および、贈与税を計算する場合に使用される価格です。路線価は、公道(※)に面する標準的な宅地1㎡(平方メートル)当たりの価格を千円単位で表記しています
路線価は、毎年1月1日時点の価格を国税庁が算定し、7月に全国の国税局および税務署で公示されます。また、国税庁のホームページにも掲載されます。
(※公道とは、国や都道府県・市町村が管理している道路です。個人または団体などの所有地を道路として利用している私道とは、区別されます)
固定資産税評価額
『固定資産税評価額』とは、固定資産税(※1)を計算する基準となる価額です。固定資産税評価額は、固定資産評価基準(※2)に基づいて、各市区町村が3年ごとに決定され、毎年、送付される固定資産税の『課税明細書』にて確認することができます。
固定資産税評価額の一般的な基準は、以下のとおりです。
- 土地:地価公示価格×70%
- 建物:新築価格×50~60%
上記の基準に加え、土地の場所や形・建物の築年数などを考慮したうえで、固定資産税評価額は決定されます。
なお、地価公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて発表する、毎年1月1日時点の標準地の地価です。
(※1:固定資産税とは、 土地や家屋(住宅、店舗、工場、事務所など)・償却資産を所有する人に課される地方税です。毎年1月1日に不動産を保有する人が、納税者となります)
(※2:固定資産評価基準とは、総務大臣が告示する固定資産の評価の基準および、評価の実施の方法・手続きを定めたものです。固定資産の評価における主観的判断を減らし、合理的な評価を行う目的があります)
時価
売買契約が成立する価格は、一般的に実勢価格や時価と呼ばれます。実勢価格の決定において参考にされるのは、過去の実績や近隣の土地の取引価格などです。
後述しますが、相続税・贈与税における不動産の評価額とは、金額が異なることが多いです。
では、相続時・贈与時、具体的にどのように土地は評価されるのでしょうか。
路線価から相続税評価を算出する
相続税評価額は、原則として路線価を基準に求めます。路線価の設置がない土地は、倍率方式により計算されます。
路線価に基づく路線価方式
路線価を用いた相続税評価額の計算式は、以下のとおりです。
- 相続税評価額=路線価×補正率×土地面積
路線価は、あくまで標準的な宅地(綺麗な正方形の土地)を想定した価格のため、土地の形状等によって、評価を増額又は減額することが認められています。
その増額又は減額に使用するのが、『補正率』で、財産評価基本通達で、細かく規定されています。
例えば、奥行補正率は、土地の奥行きの長さにより決まります。奥行補正率の一部を、下表に紹介しますが、奥行きが極端に短い場合や長い場合は、用途が制限されると考えられるので、減額が大きくなるように補正率が設定されています。
奥行距離(m) | 補正率 |
4未満 | 0.9 |
4以上6未満 | 0.92 |
6以上8未満 | 0.95 |
8以上10未満 | 0.97 |
10以上24未満 | 1.0 |
24以上28未満 | 0.99 |
その他、土地の形(角地など)や利用状況(借地など)によっても、計算方法が変わります。具体的な土地の評価額を知りたい人は、不動産鑑定士(※)や相続税を専門にしている税理士に相談しましょう。
(※不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価を行う法律上の資格を持つ人です。不動産鑑定業務だけでなく、土地の有効活動等のコンサルティング業務も行います)
奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁
路線価の設置がないときは倍率方式
路線価が定められていない道路に面している土地は、倍率方式で評価額を計算します。倍率方式の計算式は、以下のとおりです。
- 倍率方式による評価額=固定資産税評価額×一定の倍率
倍率は、宅地、田、畑、山林といった土地の現況に応じて決められており、具体的な倍率は国税庁のホームページに掲載されています。
なお、倍率方式には、路線価方式のような『補正』はありません。これは、前提となる固定資産税評価額の算定時に、土地の形状等による評価の修正がなされているためです。
相続における路線価と時価を考える
最後に、相続税における路線価と時価の使われ方について、解説します。
相続の際の評価に用いるのは路線価
相続時の土地の評価において路線価を使用するのは、評価額を一定にそろえるためです。時価で評価することにより、評価する場所や時期によって評価額に差が出ること防ぐ目的があります。
一般的に時価の方が路線価よりも高い
一般的に路線価は、地価公示価格の8割程度に設定されます。これは、相続人の税負担を軽減するためです。
地価公示価格は、一般的な土地取引の指標とされるため、時価と地価公示価格は同程度になることも少なくありません。
つまり、路線価が地価公示価格と同じ価格に設定された場合、路線価は時価と同じ水準となり、納税できない額の相続税額となる可能性があります。このような事態を防ぐために、路線価は時価よりも低く設定されます。
路線価の方が時価よりも高くなることも
路線価が算定されるのは、毎年1月1日です。よって、1月1日以降に時価が大きく下落した場合などは、時価よりも路線価の方が高くなる可能性があります。
逆転している場合の相続税はどうなるか
路線価が時価よりも高くなってしまった場合、不動産鑑定士に評価額を再度算定してもらうとよいでしょう。不動産鑑定士により公正に算定されれば、その評価額での申告が認められることがあります。
なお、不動産鑑定士に鑑定を依頼する場合、費用がかかります。費用は不動産鑑定士により異なるため、事前に確認しましょう。
相続税や贈与税の額が決まる重要な路線価とは。土地の評価額を知ろう
まとめ
相続税・相続税における不動産(土地)の評価額は、路線価をもとに計算されます。路線価は国税庁のホームページで確認可能です。
路線価を用いた具体的な計算方法は、土地の形状や利用方法などにより異なります。土地の評価額を知りたい人は、不動産鑑定士や相続税専門の税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
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