ふるさと納税の仕組み
まずは、ふるさと納税の仕組みを理解しておきましょう。
- 自分が希望する自治体に寄付をする
- 寄付をした自治体から、お礼の品と寄付金受領証明書(※)を受け取る
- 寄付額から2000円を差し引いた金額が、税金から還付または控除される
寄付額をもとに、お礼の品や税金の還付・控除が受けられる仕組みとなっています。
(※寄付金受領証明書とは、寄付額を証明するための書類です。寄付額の申告手続きの際に必要になります)
ふるさと納税とは? | ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス]
好きな自治体に寄付ができる
寄付をする自治体は、必ずしも自分の居住地や出生地を選ぶ必要はなく、好きな自治体を自由に選べます。
ふるさと納税サイトで全国の自治体が検索できるので、応援したい自治体を探してみましょう。
自治体ごとに違った返礼品がある
寄付をすると、その自治体の名産品や工芸品、食料品など返礼品が受け取れます。返礼品の内容から、寄付先の自治体を選ぶことも可能です。それぞれの返礼品には、必要な寄付額が設定されているので、自分の寄付額の範囲内で選びましょう。
欲しい返礼品がいくつかある場合は、寄付額を調整して複数の自治体に寄付をすることもできます。
ふるさと納税ポータルサイトで、返礼品の種類や必要な寄付額などで条件を絞って検索できるので、欲しい返礼品を探してみましょう。
【2020年最新】ふるさと納税おすすめ返礼品・高還元率ランキング!
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控除上限は2015年に約2倍になった
寄付をすると、寄付額から2000円を差し引いた金額が所得税から還付、住民税から控除されます。
- 所得税:寄付額に応じた金額が、その年の所得額(※)から差し引かれ、減税分が還付される
- 住民税:寄付額に応じた金額が、翌年の住民税から差し引かれ、住民税額が減額される
控除には、年間上限額が設定されていますが、2015年の税制改正によって、それまでの年間上限額の約2倍に拡大されました。
その結果、ふるさと納税の人気が高まり、運用が開始された08年には約81億円だった寄付額が、15年には約1652億円に、17年時点では約3653億円に増加しています。(総務省発表『平成30年度・ふるさと納税に関する現況調査結果』より)
(※所得額とは、年間の収入額から自営業者は必要経費を、給与所得者は給与所得控除を差し引いた金額のことです)
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|トピックス|制度改正について(2015年4月1日)
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|平成30年度ふるさと納税に関する現況調査について
ふるさと納税のメリットとデメリット
ふるさと納税を利用する前に、メリットとデメリットについても知っておきましょう。
納税者にとってのメリット
納税者は、寄付をすることによって、以下のようなメリットを得られます。
- 全国各地の名産品などが受け取れる
- 寄付額に応じた控除が受けられる
- 地方の活性化や被災地の復興に貢献できる
- クレジットカード払いの場合は、クレジットカードのポイントが貯められる
寄付をすることで、普段目にする機会が少ない地方の名産品や工芸品、高級食材などを入手できます。また、被災地の自治体に寄付をすれば、復興に貢献できるでしょう。
できるだけお得にふるさと納税を利用したい人は、クレジットカードで寄付金を納めると、クレジットカードのポイントも貯められます。
ただし、クレジットカード払いができる自治体は限られているので、寄付をする前に確認しておきましょう。
納税者にとってのデメリット
納税者にとって、デメリットはあるのでしょうか。
- 税金の還付や控除を受けるには、手続きが必要で手間がかかる
- 税額の確定前に寄付をするので、控除の年間上限が把握しづらい
- 特典がない自治体もある
控除の年間上限が分かりにくいことや、税金の還付や控除を受けるために手続きが必要になるなど、制度が少し複雑である点がデメリットだといえます。
また、自治体によっては特典がない場合があるので、寄付をする前に確認しましょう。
自治体にもメリットとデメリットはある
自治体側にも、メリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
・災害の復興費用が捻出できる ・税収を増やせる ・地域の活性化につながる |
・制度の導入に手間がかかる ・名産品などがない地域では、寄付をしてもらいづらい |
税収が少ない自治体は、魅力的な特典を用意することで税収を上げ、教育や福祉などの行政サービスを充実させられる可能性があります。
還付を受けるには
税金の還付や控除を受けるには、申告手続きが必要です。
確定申告をする
税金の還付や控除を受けるには、確定申告で1年間の寄付額を申告しなくてはなりません。確定申告書を用意し、第一表・第二表それぞれに必要事項を記入しましょう。
第一表では、『所得から差引かれる金額』の項目にある、『寄付金控除』欄に、1年間の寄付額を記入します。
出典:所得税及び復興特別所得税の申告に使用する申告書第一表様式の解説 平成29年分 松本寿一税理士事務所
第二表では、『寄付金控除』欄に以下の内容を記入します。
- 寄付先の所在地・名称:寄付をした自治体の市区町村名
- 寄付金:1年間の寄付額
出典:平成29年分 所得税の申告書B第二表(所得税の申告書様式) 大阪府高槻市の松本寿一税理士事務所
寄付金受領証明書を添付して税務署に提出すれば、税金の還付・控除が受けられます。
意外と簡単!ふるさと納税をした場合の確定申告 | ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス]
ふるさと納税ワンストップ特例制度を使う
確定申告が面倒だという人は、『ワンストップ特例制度』を利用するとよいでしょう。
ワンストップ特例制度とは、『寄付金税額控除に係る申告特例申請書』に必要事項を記入して、寄付先の自治体に提出すると、税金の還付・控除が受けられる制度です。
以下の条件を満たしている場合のみ、ワンストップ特例制度を利用できます。
- 給与所得者で、寄付をした年の所得について確定申告が不要であること
- 1年間で寄付をした自治体が5自治体以内であること
なお、ワンストップ特例制度により寄付額を申告した場合は、所得税からの還付ではなく、住民税から控除されます。
ふるさと納税 ワンストップ特例制度について | ふるさと納税サイト「さとふる」
控除額の計算
ここでは、還付・控除額の計算方法を解説します。
所得税からの還付額
所得税からの還付額は、以下の式で算出しましょう。
- (年間寄附額−2000円)×所得税率
所得税率は、以下の通りです。
課税所得額(※) | 税率(%) |
195万円以下 | 5 |
195万円超 330万円以下 | 10 |
330万円超 695万円以下 | 20 |
695万円超 900万円以下 | 23 |
900万円超 1800万円以下 | 33 |
1800万円超 4000万円以下 | 40 |
4000万円超 | 45 |
(※課税所得額とは、所得額から所得控除の合計額を差し引いた、課税対象となる金額のことです)
住民税からの控除額
住民税は、以下の区分の合計額が控除できます。
区分 | 控除額 |
基本分 | (年間寄附額−2000円)×10% |
特例分 | (年間寄附額−2000円)×(100%−基本分10%−所得税率) ※住民税の所得割額(※)の2割を超える場合は、所得割額×20% |
(※住民税の所得割額とは、前年の課税所得額に応じて納める住民税額のことです)
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
年間上限額に注意
寄付をする際には、控除の年間上限額に注意しましょう。上限額を超えた部分は控除の対象外なため、超えた分だけ自己負担額が増えていきます。
年間上限額は、年収や家族の人数などによって設定されるため、寄付をする前に調べておきましょう。
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|ふるさと納税のしくみ|税金の控除について
シミュレーションツールで限度額を計算
シミュレーションツールを利用すれば、簡単に年間上限額が計算できます。『ふるさとチョイス』の詳細シミュレーションでは、他の控除を含めたシミュレーションができるので、利用してみるとよいでしょう。
還付額と控除の確認方法
還付額や控除額の確認方法を説明します。
所得税は国税還付金振込通知書で確認
所得税の還付額は、『国税還付金振込通知書』で確認しましょう。国税還付金振込通知書とは、納め過ぎた所得税が還付される際に、還付額と入金日を通知するために送付される書類です。
寄付額だけでなく、その他の控除も合算した還付額が記載されています。各控除の還付額を算出して、金額が正しいか確認しましょう。
ふるさと納税の「所得税」はいくら戻ってくる? | ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス]
住民税は税額決定通知書で確認
住民税の控除額は、『住民税額決定通知書』で確認しましょう。住民税額決定通知書とは、住民税額を通知するための書類で、毎年6月ごろに配布されます。控除額は、『税額控除額』の項目に控除額が記載されています。
住民税額決定通知書も、全ての控除合計額が記載されており、内訳は確認できません。複数の控除を受けている場合は、それぞれの控除額を算出して確認する必要があります。
まとめ
ふるさと納税を利用すると、寄付先の自治体からお礼の品がもらえます。また、税金の還付や控除が受けられる点も大きなメリットです。
ただし、還付や控除には、年収や家族の人数などに応じて、年間上限額が設定されています。そのため、寄付をする前にシミュレーションツールなどを利用して、自分の年間上限額を確認しておきましょう。
また、給与所得者の場合は、ワンストップ特例制度を利用できます。確定申告をする手間が省けるので、活用するとよいでしょう。
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