おまとめローンとカードローンの違い
おまとめローンとカードローンは、原則無担保でお金を借りるという点では同じですが、利用目的の制限など違う点もあります。それぞれ特徴を説明します。
おまとめローン
おまとめローンは、他社の借入金の返済を目的にしたローンです。数社からまとめる場合もあれば、1社から有利な他社へ借り換えをすることもあります。
カードローンが限度額の範囲内で借入を繰り返せるのに対し、おまとめローンでは返済専用になっている場合があります。あくまでも借入金の計画的な返済を目的としているのです。
返済方法はカードローンでは多彩ですが、おまとめローンは原則毎月決まった額の口座振替になっています。追加返済をしたい場合は、カードを使ったATMでの入金や口座振込を利用します。
カードローン
利用目的は原則自由です。ただし、商品によっては事業性資金には使えないことがあります。おまとめに使えない、つまり借入金の返済目的には使えない場合もあります。契約時に限度枠が決まり、その枠の範囲内で繰り返し借入ができます。
例えば、50万円の限度額で契約し30万円借入をした場合、あと20万円(50万円-30万円)は借入できるということです。借入の方法、返済の方法はATM、口座振替、口座振込などから選べます。
限度額での契約であり、融資額での契約ではないため、残高が0円になっても契約が自動的には解約になりません。解約をしない限り、いつでも限度額の範囲内なら借入が可能です。
おまとめローンと総量規制
貸金業では『総量規制』といって、年収の1/3以上の金額を融資してはいけないという規制があります。例えば年収300万円の場合だと、他社も含めて100万円までしか融資できません。
これは借入をする側が多重債務に陥るのを防ぐためです。この総量規制とおまとめローンの関係について説明します。
消費者金融系おまとめローン
先ほどの年収300万円で100万円の借入がある場合、それ以上の融資はできませんが、おまとめローンの場合は総量規制の例外になり、追加で100万円のローンを組むことができます。
ただし、元の100万円を返済することが条件なので、融資の際には本人に代わって借入先に返済します。本人が返済するときは、解約証明書などの提出が義務付けられます。
借入金をまとめた結果、年収の1/3を超える場合もあります。ローンを組む時に利息や、遅延損害金が発生している場合があるからです。
その場合でもおまとめローンを組むことができます。あくまでも消費者金融系おまとめローンは、総量規制の対象外となっています。
銀行系おまとめローン
銀行系のローンはカードローンでも総量規制を受けません。総量規制は消費者金融などの貸金業を規制する貸金業法の規制で、銀行を規制するのは銀行法という法律だからです。
しかしながら、実際には年収の1/3を超える融資は非常にリスクが高いので、総量規制がないからといって、無制限に融資をしているわけではありません。
消費者金融系おまとめローンと同じように、返済方法の基本は口座振替で、追加返済はATM、口座振込の方式を取っています。融資の際に銀行から他社に返済したり、本人が返済したりする場合には、証明書を求められることもあります。
おまとめローンのメリット
複数社から1社にまとめる場合、主に3つのメリットが生まれます。
月々の返済日
『借金に追われる』という言い方がありますが、数社から借入をしているとまさにこの言葉通りになり、常に返済期日に追われ続けます。
しかし、1社にまとめることによって、月々の返済日が1日となるので、期日の管理が楽になります。また、管理だけでなく精神面でも解放されます。
複数の返済日がある場合、その場しのぎの返済になりかねません。最悪の場合、他社から借入をして、それを返済するという自転車操業に陥ってしまいます。
月々の返済金額
複数社の借入を1つにまとめることによって、月々の返済金額が下がる場合があります。以下例を挙げます。
カードローン | 借入金額 | 最小返済金額 |
アコム | 50万円 | 15,000円 |
プロミス | 30万円 | 11,000円 |
モビット | 20万円 | 8,000円 |
3社から100万円(50万円+30万円+20万円)借入をしていて、月々の返済金額は34,000円(15,000円+11,000円+8,000円)です。
ご返済金額について【公式サイト】カードローン・キャッシングならアコム
ご返済金額について|ご返済|キャッシング・消費者金融のプロミス公式サイト
これをアイフルの「おまとめMAX」にまとめます。(年率15%とします)
返済期間 | 月々の返済金額 |
3年 | 35,000円 |
5年 | 24,000円 |
7年 | 20,000円 |
10年 | 17,000円 |
5年以上の返済コースを選択すると、月々の支払金額が3社の合計返済金額(34,000円)より減少することがわかります。
貸金業法に基づく計画返済支援おまとめローン[おまとめMAX] | 【アイフル公式サイト】消費者金融・キャッシング・カードローン
金利が下がる場合がある
消費者金融系カードローンの上限金利は18.0%のところが多くなっています。しかしながら、これは100万円未満の借入の場合で、100万円以上になると上限金利は15.0%になります。これは利息制限法によるものです。
利息制限法
借入金 | 上限金利 |
10万円未満 | 20.0% |
10万円以上100万円未満 | 18.0% |
100万円以上 | 15.0% |
よって、それぞれの借入金額が100万円未満で、合計の借入金額が100万円以上になるのなら、上限金利は15.0%になるのでおまとめローンを利用した方が、利息が下がるということになります。
おまとめローンのデメリット
メリットの大きいおまとめローンですが、反面デメリットもあります。メリットの理解より、むしろデメリットを深く理解することが、おまとめローンを賢く利用するポイントです。
審査が厳しい
無担保で融資するのはリスクが大きいことです。そのリスクが数社に分散していたのが1つにまとまるので、審査は慎重にならざるを得ません。
例えばA社が30万円、B社が20万円、C社が50万円の限度額で契約していたとすれば、それぞれの会社は、それがその人の信用を受け入れる上限の金額、ということなのです。
おまとめローンの場合の審査は『100万円返済できるか』ということです。当然A社、B社、C社の審査の場合より厳しい基準となります。
追加借入ができないローンがある
消費者金融系おまとめローンの場合、追加借入をすることはできません。あくまでも計画的な返済のためのローンだからです。そのために総量規制の対象外にもなっています。
しかしながら、追加借入ができないのが一方的なデメリットかと言えばそうではありません。借入金が数社に膨らんでいったのは、無計画な借入と返済を行っていたからです。
返済に集中することにより、確実に元金は減っていきます。便宜上、追加借入ができないことをデメリットに分類しましたが、借金からの解放という意味ではメリットとも言えます。
総支払利息が増える場合がある
月々の支払金額が少なければ少ないほど完済までの期間が長くなり、総支払利息も増えていきます。さきほど紹介したアイフルの「おまとめMAX」の例で説明します。
期間 | 月々の支払金額 | 総支払額 |
3年 | 35.000円 | 1,240,405円 |
5年 | 24,000円 | 1,412,017円 |
7年 | 20.000円 | 1,564,016円 |
10年 | 17.000円 | 1,792,103円 |
月々の支払金額が少ないほど完済までの期間が延びて総支払額が多くなります。できるだけ月々の支払金額を多くしたり、追加返済を行ったりして、元金を減らすことが重要です。
貸金業法に基づく計画返済支援おまとめローン[おまとめMAX] | 【アイフル公式サイト】消費者金融・キャッシング・カードローン
賢くおまとめローンを利用する
メリットとデメリットを理解したところで、賢くおまとめローンを利用するためにはどうすればよいか説明します。
計画的な返済を行う
数社から借入をしている状態がよくないのは、月々いくら返済したら何年で完済できるのか分からなくなってしまうからです。さらには誘惑に負けて、ちょっとだけならと借入をしてしまうサイクルに陥りやすくなります。
借金は返済しなければ無くなりません。シミュレーションを使って、毎月いくら返済すれば何年で完済できるのか、あるいは3年や5年で完済するには、月々いくら返済すればよいのかを知ることが必要です。
参考に、シミュレーションができるサイトを紹介します。
ご返済シミュレーション|ご返済|キャッシング・消費者金融のプロミス公式サイト
積極的に繰上げ返済を行う
シミュレーションで、自分がどれくらい大きな借金をしているのか理解し、計画的な返済の意思を固めたら、返済していくなかで、家計に少しでも余裕があれば繰上げ返済をする癖をつけましょう。
住宅ローンの繰上げ返済と同じで、早ければ早いほど、多ければ多いほど効果があります。
数社の借入をしている人は、ついカードで借入をしてしまう、という癖がついてしまった人です。今度は逆の癖をつけることによって、結果的に借金の負担から解放されます。
追加の借入をしない
追加借入をしないことは、絶対に守らなければならないルールです。銀行系おまとめローンの場合、借入もできる商品がありますが、それを使えば返済は終わりません。
追加借入をすれば、そこからまた返済のやり直しです。あらかじめ立てていた返済計画も水の泡になり、完済するゴールが分からなくなってしまいます。
そうならないためには、毎月の家計の管理をすることが大切です。予定を立てて必要なお金だけを使い、返済用のお金は必ず残しておきましょう。借金と正面から向き合うことは、自分の家計と正面から向き合うことと言えます。
まとめ
おまとめローンの一部のメリットはデメリットでもあり、その逆も当てはまります。
月々の返済金額が少なくなるということは、それだけ返済期間が長くなり、余計な利息を払ってしまうということです。追加借入ができないというデメリットは、計画的な返済に繋がります。
おまとめローンを賢く利用することは、借金を完済しやすくするということです。自分の意志ではなかなか計画的な返済ができない場合でも、おまとめローンという商品を使ってできるようになります。
借金は、自分が使えるお金が利息という形で消えていく性質のお金です。カードローンは決して低い金利ではありません。自由に使えるお金を増やすためにも、おまとめローンを利用することをおすすめします。