借入金額と利息の仕組み
まず、カードローンの借入の仕組みと利息計算方法について解説します。
借入限度額内で繰り返し借入可能
カードローンの契約は、希望額を借入したあとは返済しかできない、というタイプはほとんどありません。カードローンの特徴は、限度額の範囲なら何度でも借入ができるところです。
たとえば審査の結果、限度額が30万円になったとします。必要な金額は10万円でも30万円までは貸せますよ、ということです。
返済が進んで10万円の元金が5万円になったとき、また現金が必要になったとします。そうすると再度借入することができます。具体的には
30万円(限度額)-5万円=25万円まで追加借入ができます。限度額は業者によっては極度額と呼ばれていますが意味は同じです。利息は借入した金額に対してしかかかりません。
利息は日割り計算
では利息はどのように計算するのでしょうか。金利14.0%の例で説明します。ここで書かれた金利とは正確には年利です。たとえば10万円を1年間借り入れるとすると、
10万円×14.0%(年利)=14,000円(年間利息)
ただし、カードローンでは、利息は日割り計算すると決められています。借りた日数だけ利息がかかってくるのです。1日分の利息は
14,000円(年間利息)÷365(日)=38.3円(小数点第二位以下切り捨て)
38.3円が1日分の利息になります。
よって、10万円を30日間借り入れると
38.3円(1日分の利息)×30日=1,149円
1,149円が30日分の利息になります。
カードローンの利息計算方法 | カードローン・ローン|楽天銀行スーパーローン
返済金額が決まる仕組み
では、月々の返済金額はどのようにして決まるのでしょうか。それは返済方式やカードローンを契約した会社によって異なります。元金がどのように減っていくか、返済回数はどのようになるか解説します。
元利定額リボルビング方式
カードローンの契約で一番多いのが元利定額リボルビング方式です。毎月の返済金額が一定という方式です。以下詳細を説明します。
元利定額と各社の最小返済金額
月々の最小返済金額は借入金額によって、会社によって異なります。10万円借入した場合の最小返済金額は
カードローン | 最高金利 | 最小返済金額 |
みずほ銀行カードローン | 14.0% | 10,000円 |
三菱東京UFJ銀行バンクイック | 14.6% | 2,000円 |
三井住友銀行カードローン | 14.5% | 2,000円 |
プロミス | 17.8% | 4,000円 |
アコム | 18.0% | 3,000円 |
たとえば、みずほ銀行カードローンの場合は毎月10,000円、アコムの場合は3,000円です。それぞれ毎月最低10,000円、3,000円を返済していくということです。
プロミスの返済例
プロミスで10万円借り入れた場合、初回から3回目までの返済額・利息・残高の内訳は
回数 | 返済額 | 元金 | 利息 | 残高 |
1 | 4,000円 | 2,517円 | 1,483円 | 97,483円 |
2 | 4,000円 | 2,555円 | 1,445円 | 94,928円 |
3 | 4,000円 | 2,592円 | 1,408円 | 92,336円 |
この場合、返済回数は32回となり
回数 | 返済額 | 元金 | 利息 | 残高 |
31 | 4,000円 | 3,915円 | 85円 | 1,837円 |
32 | 1,864円 | 1,837円 | 27円 | 0円 |
となります。総支払利息は25,864円です。
返済額は同じ4,000円でも、元金が占める割合が徐々に増えていき、完済する仕組みです。当初の返済金額が少なくて済むのが特徴です。
元金定額リボルビング方式
毎月決まった元金を返済していく方式です。初期の返済金額は大きくなりますが、総支払利息が少なくて済むのが特徴です。
月々の返済金額
毎月返済する元金と利息を足した金額が月々の返済金額となります。
たとえば10万円、年利14.0%、月々の元金返済金額5,000円とした場合
10万円×14.0%÷365日×30日=1,150円(1カ月の利息)
1回目の返済金額は
5,000円+1,150円=6,150円です。
2回目の返済額は元金が5,000円減り、95,000円に対する利息になるので
95,000円×14.0%÷365日×30日=1,093円(1カ月の利息)
5,000円+1,093円=6,093円
1回目より返済金額が減少します。これが元利定額との違いです。
返済回数と総支払利息
元金が毎回5,000円減少するので返済回数は
10万円÷5,000円=20回
総支払利息は12,355円となります。(ただし、毎回の返済金額、総支払利息は契約内容により多少変動します。)
返済シミュレーション | 【アイフル公式サイト】消費者金融・キャッシング・カードローン
残高で決まる最小返済金額
元利定額リボルビング方式の最小返済金額の決まり方は2通りあります。
残高スライド方式
借入して返済していくと徐々に元金が減少していきます。それに従って、最小返済金額が小さくなっていく仕組みです。
借入金額 | 最小返済金額 |
10万円超20万円以下 | 4,000円 |
20万円超40万円以下 | 6,000円 |
40万円超60万円以下 | 8,000円 |
このような契約の場合、50万円の借入で最初は8,000円、40万円以下になると6,000円、20万円以下になると4,000円のように、最小返済金額が減少していきます。
借入時残高スライド方式
最小返済金額は残高スライド方式の説明で用いたものと同じ条件とします。残高スライド方式の場合は、追加の借入がない場合、最小返済金額が変わりません。
たとえば、50万円の借入をした場合の最小返済金額は8,000円です。ただし、元金が40万円以下になっても、20万円以下になっても最小返済金額は8,000円なのです。そして、追加借入した場合はその残高に対する最小返済金額になります。
つまり、元金が20万円まで減少したとき、新たに10万円借入をすると、最小返済金額は30万円に適用される6,000円となるのです。
どの返済方式がお得?
何を求めるかによって、自分に合っている返済方式は変わります。
月々の負担が少ないのは?
残高スライド方式は、月々の最小返済金額が残高によって減っていくので、月々の負担が少なくなります。ただし、返済期間が長くなるため、トータルの支払利息は大きくなります。
支払利息の合計が少ないのは?
元金定額リボルビング方式の支払利息が、一番少なくて済みます。返済初期の元金の減少率が高いからです。ただし、初期の返済金額は大きくなります。
支払回数が一番少ないのは?
支払い回数は、元金定額リボルビング方式が一番少なくなります。元金が初期の段階から多く減っていくので、返済回数が少なくて済むのです。ただし、初期の負担が大きいのは先ほど述べたとおりです。
損得は借りる人のニーズ次第
月々の返済金額を抑えたいのか、トータルの支払利息を抑えたいかによって、自分に適している返済方式は変わります。
ただし、最小返済金額より多く返済することは問題なくても、少なく返済するのは契約上難しい場合があります。
よって、月々の最小返済金額が大きめの元金定額リボルビング方式より、残高スライド方式や借入時残高スライド方式が使い勝手では軍配があがります。大手のカードローンはこれら2つのどちらかの方式を採用しています。
各社返済方式一覧
カードローン | 返済方式 |
みずほ銀行カードローン | 残高スライド方式 |
三菱東京UFJ銀行 バンクイック | 残高スライド方式 |
三井住友銀行カードローン | 残高スライド方式 |
プロミス | 借入時残高スライド方式 |
アコム | 借入時残高スライド方式※ |
※アコム公式ホームページに記載されている「定率リボルビング方式」は借入時残高スライド方式の一種です。
残高が減れば毎月の返済額(約定返済額)は変わるんですか?:アコム
まとめ
カードローン利用の際、漫然と利用しているといつまで経っても完済することができず、余計な利息を支払うこととなります。しかしながら、無理に多めに返済しても、結局はもう一度借入れて残高が分からなくなることもあります。
返済の都度、いくら元金が減って、いくら利息を支払ったのか、残りの元金はどれくらいなのかの確認を怠らないことです。返済金額と利息を意識すれば、賢くカードローンを利用できます。
カードローンの返済。借りる前にしっかりと把握しておくべきこと