海外物件購入資金を国内で調達するには
投資目的で海外の不動産を購入するときに、国内の住宅ローンで資金を借り入れたいという人もいるでしょう。
しかし、住宅ローンは、居住用の住宅購入資金の借り入れを目的としたローンであり、国内外問わず投資目的の物件購入資金に充てることは、原則禁止されています。それでは、投資目的の海外不動産購入資金を国内で調達するには、どうすればよいのでしょうか。
条件により海外物件でも組めるローンがある
基本的に、住宅ローンで投資目的の海外不動産を購入することはできません。しかし、条件を満たせば、海外不動産の購入資金にも利用できる国内ローンがあります。
申し込みまでに入念な準備を
海外不動産の購入資金借り入れのためにローンを組む場合は、申し込みまでに入念な準備をしておきましょう。海外不動産の購入資金借り入れの審査は、国内不動産の購入資金借り入れよりも厳しいためです。
購入予定の海外不動産の場所や周辺環境などを調査した資料の提出を求められるので、事前に準備しておきましょう。実際に現地に行って調査していることが貸付の条件になっているローンもあるので、条件をよく確認しておくことが重要です。
また、事業計画書の提出や国内に保有している物件を担保にすることなどを求められる場合もあります。さらに、税金の納付方法も確認されるので、税理士に相談しておきましょう。
日本政策金融公庫 海外展開・事業再編資金
ここからは、海外不動産の購入資金を借り入れられる国内ローンを紹介します。まずは、日本政策金融公庫の『海外展開・事業再編資金』です。
日本政策金融公庫とは、民間の金融機関の取り組みを補完し、事業者を支援することを目的とした、政策金融機関です。民間の金融機関よりも低金利で、審査に通りやすいというメリットがあります。
事業の延長であることが前提条件
日本政策金融公庫の海外展開・事業再編資金は、企業が海外展開を図るための資金の貸し付けを目的としています。そのため、海外物件の購入が事業の延長であることが前提条件です。個人的な不動産投資は対象外なので注意しましょう。
融資限度額は7200万円
日本政策金融公庫の海外展開・事業再編資金の融資限度額は『7200万円』です。ただし、運転資金に充てられるのは、そのうち4800万円までと定められています。
利率は、国民生活事業・中小企業事業のそれぞれの基準利率が適用されますが、借り入れ目的や貸付期間などで利率が変わるので、日本政策金融公庫に問い合わせましょう。
SBJ銀行の海外不動産購入ローン
資産として海外不動産の購入を考えている人は、SBJ銀行の『海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン』を検討してみましょう。
海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン|ローン・融資|個人のお客さま|SBJ銀行
ハワイ州ホノルルの不動産購入専用、金利がメリット
SBJ銀行の『海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン』は、本人、または家族が使用するハワイ州ホノルルの不動産購入資金限定という、用途が限られているローンです。
しかし、保証料込みで『年2.8%』という低金利で借り入れできるというメリットがあります。返済が完了すれば、その物件を貸し出したり、売却したりすることは可能です。
手数料以外にエスクロー費用がかかる
海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローンは、事務手数料や海外送金手数料以外に、『エスクロー費用』がかかります。
エスクロー費用とは、不動産売買取引を仲介する専門のエスクロー業者に支払う手数料のことです。エスクロー業者とは、不動産の売り手と買い手の間に立ち、不動産の調査や金銭のやりとりなどの手続きを行う、公正な第三者機関のことをいいます。
エスクロー費用は、物件価格の0.3〜0.5%程度になるのが一般的です。ハワイで物件を購入するときは、基本的にエスクロー業者を介して取引することになるため、どの金融機関で借り入れても、エスクロー費用が発生するでしょう。
オリックス銀行の海外不動産担保ローン
オリックス銀行の『海外不動産担保ローン』は、国内に保有している不動産を担保にすることで、海外不動産の購入資金を借り入れられるローンです。
借入金額は1000万~2億円で、金利は『年3.3%』『年3.5%』『年3.675%』のいずれかに設定されます。ただし、『年3.3%』『年3.5%』の金利は、固定金利期間特約を付けた場合に限られます。
担保にできる物件は主要都市内に限られる
担保にできる物件は、国内の主要都市内の物件に限られます。
- 首都圏・近畿圏・名古屋市・福岡市の居住用不動産
ただし、上記の圏内の物件でも担保として認められないケースがあるので、自分の保有している物件が対象になるかどうかを、事前に確認しておきましょう。
最大35年間の借り入れ期間がメリット
オリックス銀行の海外不動産担保ローンは、借入期間を最大35年に設定できる点がメリットです。他のローンは最大20年程度に設定されることが多く、月々の返済額が高くなります。
できるだけ月々の返済額を抑えたい人は、オリックス銀行の海外不動産担保ローンを検討してみましょう。
まとめ
国内の住宅ローンは、原則として海外不動産の購入資金に利用することはできません。海外の不動産購入資金を国内で調達したいときには、海外不動産向けのローンを利用しましょう。
ただし、海外不動産向けのローンにはさまざまな条件が課せられており、さらに国内向けよりも審査が厳しいという特徴があります。各ローンの条件をしっかり確認し、入念に事前準備をしておきましょう。