住宅ローンとは
住宅ローンとは、住宅を購入する際に必要となる資金を、金融機関からの借り入れによってまかなう仕組みのことです。住宅ローンを利用するための条件や、選ぶ方法を紹介します。
住宅であれば基本的に利用可能
住宅ローンを利用する条件としては、その家に居住するために購入することです。住むことが目的であれば、新築でも中古でも利用できます。逆に言えば、賃貸に出すなど、居住以外の目的で購入する物件は、住宅ローンの対象外です。
住宅ローンでは、物件によって借り入れできる金額や金利などの条件は異なります。購入する物件が担保となるため、物件の評価が関係してくるのです。
もちろん、契約する人の属性や利用する金融機関、プランによっても条件は違ってくるので、どの住宅ローンを利用するかの比較は大変重要となります。
住宅ローンの借り換えとは
金利は景気によって左右されるため、住宅ローンの金利も借り入れをした時期によって異なります。また、お得に利用できるプランが将来的に出てくるかもしれません。
借り入れから時間が経過したとき、景気の変動によって金利が下がっていたり、よりよいプランが出てきたりした場合には、借り換えをした方が得になる可能性があるのです。
借り換えの主な目的は、月々の返済額の負担を減らしたり、将来の金利上昇に備えて金利タイプを変更したりすることにあります。
もちろん、借り換えには手数料がかかりますし、手続きの手間もあるので、借り換えをしたほうがよいかは、それぞれ比較をする必要があります。
比較サイトなどを参考にしよう
新規でも借り換えでも、住宅ローンを選ぶ際には比較をすることが重要です。しかし、住宅ローンはさまざまな金融機関で提供されており、プランも多いので、自分にあった住宅ローンを探すのも簡単ではありません。
住宅ローンを効率よく比較するには、比較サイトを活用するのも一つの方法です。比較サイトでは、金利や条件の比較や、口コミを見ることもできます。
多くの金融機関があるので、すべてを比較して選ぶことは難しいですが、自分に合った住宅ローンを見つけるための参考になるでしょう。
エクセルで簡単シミュレーション
借り入れの金額が大きいと、実際どのくらいの金額を返済しなければならないのか知っておきたいものです。エクセルを活用すると、住宅ローンの返済額などについてシミュレーションできます。
一定利率の返済が、返済期間中続く場合という条件ではありますが、どのくらいの利率で、返済額がいくらくらいになるかなどの目安を知ることができ、便利です。
ローンに関する計算は、もちろん電卓などを使っても行えます。しかし、エクセルの良いところは、一度数式を入力して設定すれば、繰り返し条件を変えて計算し、比較ができることです。
エクセルを利用したシミュレーション方法を紹介します。
月々の返済額
エクセルで月々の返済額をシミュレーションするには、『PMT関数』を利用します。
- =PMT(利率,期間,現在価値,将来価値,支払期日)
計算に必要な要素のうち、将来価値と支払期日は省略可能です。
利率にはローンの金利を入力しますが、住宅ローンの金利は年利で表示されています。月々の返済額を求めるためには、月当たりの利率にするため、12で割った金利を入力しましょう。
また、期間は返済期間を入力しますが、これも月に換算します。例えば返済期間が30年であれば30×12を入力します。現在価値はローンの借入額を指定してください。
元金の返済額
エクセルで計算できるのは、『元利均等返済』と呼ばれる方法で、多くの住宅ローンはこの方式で返済を行います。元利均等返済は、返済額は毎月一定で、その中で元金と利率の占める割合が変動するものです。
月々の返済額のうち、元金の返済額がいくらになるかを計算する場合には『PPMT』関数を利用します。
- =PPMT(利率,期,期間,現在価値,将来価値)
将来価値は省略可能で、利率、期間、現在価値はPMT関数の時と同じ数値が利用できます。
PPMTでは、ある時点での返済額のうち元金の返済額がいくらかを指定するため、何回目返済回数に当たるかの数字を、『期』に指定してください。
返済額の中の利息分
返済額のうち利息分を計算する際にも、エクセル関数が利用できます。利息分の計算は、『IPMT関数』で算出可能です。
- =IPMT(利率,期,期間,現在価値,将来価値)
将来価値は省略可能で、あとの指定はPPMT関数と同じです。これらの関数を活用すれば、返済予定表を自分で作成できます。
比較のポイント
住宅ローンを比較する際には、どのような点に注目すればよいのでしょうか。主な比較ポイントを紹介します。
金利タイプ
住宅ローンを利用する際に重要となるのが金利タイプです。どの金利タイプを選ぶかによって、適用される金利が異なり、月々の返済額や総支払額も変わってくるため、慎重に比較をしなければいけません。
住宅ローンにおける主な金利タイプは、次の3種類です。
- 変動型
- 全期間固定型
- 固定期間選択型
変動型は景気に合わせて金利が変動する方式です。逆に、全期間固定型は返済期間中金利が変わらないため、返済額も変わりません。そして、固定期間選択型は借入の当初の決まった期間固定金利の方式です。
それぞれ特徴がありますが、一般的に変動型は金利が低く、固定期間が長くなるほど金利が高くなります。
金利上昇のリスク
住宅ローンは返済期間が長期にわたることが多いため、その間の景気の変動により金利も上下します。変動金利や固定期間選択型を利用している場合には、景気による金利上昇の影響を受ける可能性があるので注意が必要です。
借入時の金利の高低だけでなく、金利上昇時のリスクも考えて、住宅ローンを比較しなければいけません。
手数料や付帯サービスも忘れずチェック
住宅ローンを選ぶ際は、どうしても金利に気を取られがちですが、忘れてはいけないのが手数料や付帯サービスです。
例えば、金融機関によって、住宅ローンの利用でかかる手数料は大きく異なります。特に金融機関によって差が出やすいのが、保証料と事務手数料です。借入金額によっては100万円単位での違いが出てくることもあるので、しっかり比較しましょう。
また、付帯されるサービスも、金融機関によって違いがあります。ショッピングでポイントが付く銀行や、団信の保障が充実している金融機関などさまざまです。
返済額や金利だけでなく、自分のライフスタイルを含めて検討しましょう。
金利は実質金利で比較しよう
金融機関のホームページなどを見ると、住宅ローン商品の紹介に金利が記載されています。この金利は、『表面金利』と呼ばれるものです。しかし、検討する際には、『実質金利』を用いなければ、正しく比較できません。
実質金利とは、住宅ローンを利用する際にかかる保証料や事務手数料、団信保険料などを年間の利率に換算し、表面金利に加えたものです。実質金利を比較することで、保証料や事務手数料などの異なる金融機関を、金利という一つの指標で比較できるようになります。
住宅ローンの比較の際には、表面金利の安さのみで選ぶことのないよう、実質金利で比較しましょう。
変動金利の新規借入おすすめローン
変動金利タイプの住宅ローンは、低金利が人気の理由です。変動金利で新規借入をする場合、おすすめの住宅ローンにはどのようなものがあるのでしょうか。
じぶん銀行 全期間引下げプラン
じぶん銀行は、三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資して設立したネット銀行です。じぶん銀行の住宅ローンは金利が低く、人気があります。
じぶん銀行の住宅ローンで特徴的なのが団信に付帯するサービスです。じぶん銀行では、自己負担なしで、『がん50%保障団信』に加入できます。これは、がんと診断されたら、住宅ローン残高が1/2になる保障です。
また、契約書の記入などが不要で、すべてネットで手続きが完了します。手数料は2.16%かかりますが、保証料はかかりません。
ソニー銀行 変動セレクト
ソニー銀行の変動セレクト住宅ローンは、変動金利の引き下げ幅が大きいため、返済額が抑えられます。特に新規購入で自己資金を10%以上用意できる人は、通常よりも引き下げ幅が拡大され、お得に借入をすることが可能です。
なお、手数料は借入額の2.16%かかるため、借入する金額によっては大きな額となります。しかし、表面金利が低いので、実質金利で比較しても十分他の金融機関の住宅ローンと比較対象となる住宅ローンです。
住宅ローン商品の特徴|住宅ローン|MONEYKit - ソニー銀行
au住宅ローン 全期間引下げプラン
『au住宅ローン』は、じぶん銀行が提供する住宅ローンに、『au住宅ローンセット割』が付帯するプランです。auスマホやauでんきとともに利用することで、最大4万円がお得になります。具体的なサービス内容は以下の2点です。
1. auスマホなどの通信サービスを利用している場合、最大5年間、毎月500円がau WALLET プリペイドカードにキャッシュバック
2. auでんきを利用している場合、10000WALLETポイントプレゼント
また、基本的にはじぶん銀行の住宅ローン商品と同じのため、がん50%保障団信などもサービス内容に含まれています。
au住宅ローン | auのローン:auのほけん・ローン | au
10年固定金利の新規借入おすすめローン
固定期間選択型は、借入後一定期間、固定金利が適用されるため、最初の時期の支払額が決まり、返済の見通しが立てやすいのが特徴です。10年固定金利のプランの中から、おすすめの住宅ローンを紹介します。
みずほ銀行 最後まで変わらずおトク!
みずほ銀行では店頭で申し込みをする通常の住宅ローンと、ネット申込のネット住宅ローンの2種類があります。ネット申込は店頭申込よりも一般的に契約までの時間が長くなりますが、金利は少し低く、契約時の印紙代は不要です。
全期間金利の引き下げが適用される、『最後まで変わらずおトク!』プランでは、特に10年固定金利での適用金利が業界でも最低水準となっています。固定期間終了後もその時点の金利から同じ引き下げ幅が適用された金利となるので、非常にお得です。
ソニー銀行 住宅ローン
ソニー銀行の10年固定金利プランは『固定セレクト住宅ローン』の名称で提供されています。手数料は借入額×2.16%かかりますが、保証料・団信保険料は無料です。
また、10%以上の自己資金があると金利の引き下げ幅が0.05%拡大されるので、さらにお得に融資が受けられます。
住宅ローン商品の特徴|住宅ローン|MONEYKit - ソニー銀行
楽天銀行 住宅ローン
楽天銀行の住宅ローンを利用する際の大きなメリットといえるのが、事務手数料です。ネット銀行では多くの銀行が借入額×2.16%という定率制を採用していますが、楽天銀行では32万4000円の定額となっています。
借入額が大きい場合、手数料が定率制の金融機関よりも楽天銀行の方が手数料はお得です。金額が大きくなるほど差が大きくなるので、金利とあわせてチェックしましょう。
また、全疾病保障がついても、団信保険料が0円というのも大きな特徴です。そして、楽天銀行の10年固定金利では、固定期間終了後に変動金利を選択しても、再度固定期間選択型に変更できます。
住宅ローン(金利選択型)用 全疾病特約付団体信用生命保険|住宅ローン|楽天銀行
変動金利の借り換えおすすめローン
同じ変動金利の住宅ローンであっても、新規と借り換えではおすすめするローンが異なる場合があります。変動金利で借り換えをする場合には、どの金融機関がおすすめなのでしょうか。
住信SBIネット銀行 通期引下げプラン
住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資しています。住信SBIネット銀行の住宅ローンは、特に変動金利の金利の低さが魅力です。
新規借入の場合も低金利ですが、借り換えを重視しており、新規よりも低い金利で利用できます。ただし、手数料が借入額の2.16%かかるので、トータルを見て検討しなければいけません。
団信手数料が無料なだけでなく、全疾病保障も無料など、多数のメリットがあります。
SBIマネープラザ MR.住宅ローンREAL
SBIマネープラザはSBIグループの対面型店舗です。低金利が魅力のネット銀行の住宅ローンを、対面型で利用できるため、安心感があります。
SBIマネープラザで提供されている『MR.住宅ローンREAL』は、住信SBIネット銀行が提供する住宅ローン商品です。金利も低く、全疾病保障なども0円で利用できます。
三菱UFJ信託銀行 変動金利選択プラン
三菱UFJ信託銀行のネット専用住宅ローンは、保証料込みで店頭申し込みよりも金利が安いのが特徴です。ネットまたは郵送のみで手続きが完了します。
ただし、多くのネット銀行と同様で、借入額×2.16%の手数料がかかるので注意しましょう。借入後は手数料なしで固定特約タイプに変更することも可能です。
10年固定金利の借り換えおすすめローン
借り換えでも10年固定金利は人気の金利プランです。10年固定金利でおすすめの住宅ローンを紹介します。
りそな銀行 WEB限定借りかえローン(当初型)
りそな銀行の『WEB限定借りかえローン』は、10年固定の住宅ローンの中でも当初期間・固定期間終了後の金利引き下げ幅が大きく、安い金利で利用できます。
りそな銀行の住宅ローンの特徴は、『団信革命』と呼ばれる団信をセットすることで、金利引き下げ幅が0.05%拡大される点です。団信革命は、3大疾病や16の特定状態、所定の要介護状態になったときに、ローン残高が0円になります。
利用には、金利に0.3%の上乗せが必要ですが、引き下げ幅の拡大もあるので、安心です。
イオン銀行 当初10年固定特別金利プラン(定率)
イオン銀行の住宅ローンの特徴は、イオンでの買い物が毎日5%OFFになる点です。日々の買い物でイオンを利用している場合には、実質金利には表れない部分でかなりお得になる可能性があります。
また、イオン銀行では取扱手数料を定額型・定率型の2種類から選べるのが特徴です。定額型は10万8000円という安い手数料ですが、金利が0.2%プラスされる点に注意しなければいけません。
三菱UFJ銀行 固定10年プレミアム
三菱UFJ銀行のネット専用住宅ローン『固定10年プレミアム』は、大手銀行でありながら安い金利で借入ができます。
また、団信にも特徴があり、団信保険料は金利に上乗せするタイプだけでなく、毎月保険料として支払うことも可能です。先進医療や女性疾病特約などもつけられるので、自分の希望に合わせた保険が作れます。
〔ネット専用住宅ローン〕お借り替えをご検討の方 | 三菱UFJ銀行
まとめ
住宅ローンは金融機関やプランによって、それぞれ特徴があります。選び方によって支払い総額が変わってくるのはもちろん、日々の生活に直結したサービスが受けられるプランもあるので、しっかり検討しなければいけません。
自分に合った住宅ローンを見つけるためには、情報収集と比較検討が重要です。比較サイトなどを上手に活用し、特徴を理解した上で住宅ローンを選びましょう。