住宅ローンのつなぎ融資とは
『住宅ローン』は、住宅購入代金を一括で支払うためのローンです。購入物件を担保(※)とするため、住宅完成前の借り入れはできません。
つなぎ融資は、建築中に必要な資金を調達するローンです。ここでは、つなぎ融資のメリットとデメリットを見ていきましょう。
(※担保とは、ローンの返済ができなくなった場合に、ローンを貸し出した金融機関に返済の原資として提供されるものです)
ARUHI フラットつなぎ 融資条件 | ARUHI 住宅ローン | アルヒ株式会社
メリット
つなぎ融資のメリットは、住宅が完成する前に融資を受けられる点です。つなぎ融資を利用することで、建築に必要な代金が準備できない人でも、注文住宅や土地の購入ができるようになります。
デメリット
つなぎ融資で注意しなければならない点は、以下の2つです。
- 金利が高い
- 手数料や印紙代がかかる
住宅ローンと違い、つなぎ融資には担保が設定されません。金融機関にとって貸し倒れ(※)のリスクが上がるため、つなぎ融資の金利は高めです。
つなぎ融資の借り入れには、一般的に10万円程度の手数料がかかります。また、借入額に応じた印紙代も必要です。つなぎ融資を利用する際は、どのくらいの費用が必要かを事前に確認しましょう。
(※貸し倒れとは、貸付金などの債権を回収できなくなり、損失となることです)
つなぎ融資が必要となる実例
ここでは、つなぎ融資が必要となる具体的なケースを紹介します。
注文住宅を建てる場合
注文住宅では、建設代金を建設中から数回に分けて支払わなければなりません。建設中に支払う代金には、以下があります。
- 着工金
- 中間金(上棟金)
『着工金』は、建築がスタートするときに支払います。『中間金』は、住宅の骨組みが出来上がったタイミングで支払う代金です。どちらも、一般的に建築代金の30%程度とされます。
着工金や中間金を支払うタイミングは、以下のとおりです。
つなぎ融資を希望する人は、ハウスメーカーや工務店にスケジュールの確認をしながら、計画的に借り入れ手続きを進めましょう。
土地購入後に建物を建てる場合
土地を購入してから住宅を建てる場合には、まず不動産会社と土地の売買契約を結び、手付金を支払います。そして、土地の所有権移転登記(※)が完了したのち、土地代金の残額を清算します。
速やかに残金の支払いをするためには、登記手続きと並行して、つなぎ融資の契約を進めるとよいでしょう。
(※所有権移転登記とは、土地や建物を購入したときに、所有権が売主から買主に移ったことを明らかにするための登記です)
つなぎ融資なしで住宅を建てる方法
最後に、つなぎ融資を利用せず住宅を建築する方法を紹介します。つなぎ融資は、現金が少なくても住宅が建てられるメリットがある一方、利息や手数料などのコストがかかります。
また、つなぎ融資の取扱をしている金融機関も、多くはありません。出費を抑え速やかに住宅の建築を進めるには、つなぎ融資以外の選択肢も持っておくとよいでしょう。
親から融資を受ける
親に経済的な余裕がある場合、親から資金の融資を受けるのも、選択肢の1つです。親からの融資の場合、金利や返済について、銀行よりも融通がきくメリットがあります。
親から融資を受ける際の注意点は、以下のとおりです。
- 借用書を作成する
- 金利を設定する
借用書には、借入金額や返済期間・返済額・金利などの重要事項を記載しましょう。借用書がないもしくは、金利が設定されていない場合は、贈与とみなされ贈与税が課される可能性があります。
分割融資や土地先行融資を利用する
『分割融資』や『土地先行融資』を利用しても、建築資金の調達が可能です。以下に概要をまとめます。
分割融資 | 土地先行融資 | |
融資のタイミング | 着工前 | 土地の購入時および住宅完成時 |
借り入れるローンの本数 | 1本 | 2本 |
担保 | 抵当権(※)設定登記が必要 |
分割融資は、着工前にローンの実行がされ、住宅の完成前でも分割で融資が受けられる住宅ローンのことを言います。
土地先行融資は、土地部分の融資を先に受けられるローンです。建物部分の住宅ローンは、完成後に契約します。
金利や手数料などの費用は、契約内容により異なります。つなぎ融資・分割融資・土地先行融資のそれぞれでシミュレーションを行い、比較検討したうえで契約することが重要です。
(※抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りた人が返済できなくなった場合に、土地や建物を優先的に担保にできる権利のことです)
つなぎ融資不要の銀行を利用する
銀行によっては、つなぎ融資不要、または分割融資、土地先行融資取扱あり、とホームページなどに記載されている場合があります。
つなぎ融資を利用せずに住宅を建築したい人は、それらの銀行に相談しましょう。なお、つなぎ融資不要と明記されていなくても、対応してくれる銀行もあります。
住宅ローンを借り入れる際には、いくつかの銀行で相談し、条件を比較・検討してからの契約がおすすめです。
まとめ
つなぎ融資を利用すれば、住宅ローンの借入前に融資を受けられますが、手数料や金利が高い点には注意が必要です。
つなぎ融資以外に建築中の資金を調達する方法には、分割融資や土地先行融資などがあります。いくつかの銀行でそれぞれの融資のシミュレーションを受け、比較検討したうえで契約しましょう。