年収400万円での住宅ローン
年収400万円未満でも住宅ローンが組める金融機関、および審査のポイントを見ていきます。
年収400万円未満でも借入可能な金融機関
住宅ローンは利用条件として、前年度の年収に一定の基準を設けている場合があります。
金融機関によっては、年収100万円以上などクリアしやすい条件である場合や、年収制限がない住宅ローンもあるため、年収400万円未満でも借入可能です。
年収400万円未満でも借入ができる金融機関の一部を、下表にまとめました。
金融機関 | 年収に関する利用条件 |
りそな住宅ローン | 前年の税込年収が100万円以上 |
イオン銀行 | 給与所得者・会社経営者:前年度年収100万円以上 個人事業主:前年度所得が100万円以上 |
住信SBIネット銀行 | 安定かつ継続した収入がある |
りそな住宅ローン│住宅ローン│りそな銀行
住宅ローン 低金利で安心 |イオン銀行
ネット専用住宅ローン - お借入条件・返済方法|住信SBIネット銀行
返済負担率がポイント
『返済負担率』とは、年収に対する年間返済額の割合をいい、以下により算出します。
- 返済負担率(%)=年間返済額(※)÷年収×100
例えば、年収400万円で年間返済額が100万円であれば、返済負担率は25%(100万円÷400万円×100)です。
金融機関は、返済負担率を基準に融資額を判断します。一般的に、金融機関が定める返済負担率の審査基準は30~35%程度で、審査をクリアするには、この基準以下であることが必要です。
返済負担率が基準を上回ると、返済の負担が重いと判断され、融資額が少なくなる、あるいは審査に通らないことがあります。
(※年間返済額とは、住宅ローンの返済額に、自動車ローンなどの住宅ローン以外の全ての返済額を加えた金額です)
審査は年収400万円が基準になりやすい
住宅ローンでは年収400万円を基準に、融資条件を設定する金融機関が多い傾向にあります。
例えば、『フラット35(※)』では、年収400万円を境に、以下のように返済負担率の上限に異なる基準を設けています。
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
返済負担率 | 30%以下 | 35%以下 |
また、ソニー銀行や楽天銀行(金利選択型)などは、『前年度の年収が400万円以上』を利用条件としており、年収400万円を基準に融資対象が制限されます。
(※フラット35は、独立行政法人である住宅金融支援機構と、民間金融機関が提携して提供している住宅ローンです)
住宅ローン商品詳細説明書|住宅ローン|MONEYKit - ソニー銀行
住宅ローン(金利選択型)用 全疾病特約付団体信用生命保険|住宅ローン|楽天銀行
年収400万円で3000万円の借入は無謀?
年収400万円の場合、住宅ローンで3000万円を借りられるでしょうか。フラット35を利用するケースで見てみましょう。
以下の条件で、2つの金利パターンをシミュレーションした結果を下表にまとめました。
返済期間:35年(元利均等返済)、他の借入・ボーナス返済:なし
融資金利(年) | 毎月返済額 | 総返済額 | 返済負担率 |
1.0% | 8万5000円 | 3557万円 | 25.5%(102万円÷400万円×100) |
2.0% | 10万円 | 4174万円 | 30%(120万円÷400万円×100) |
上記の場合は、返済負担率が35%以下であり、他の審査項目をクリアできれば借入が可能です。
返済負担率で生活のゆとりが決まる
年収400万円とし、返済負担率に対する年間返済額を下表にまとめました。
返済負担率 | 年間返済額 |
20% | 400万円×0.2=80万円 |
35% | 400万円×0.35=140万円 |
返済負担率が低いほど年間返済額は減ります。ゆとりのある返済をするには、20%以下が理想とされています。
住宅購入後は、固定資産税がかかるほか、マンションの場合は修繕積立金などの費用が必要です。
年収400万円であっても、税金や社会保険料などを差し引かれると手取額は、70~80%程度になります。審査に通れば3000万円の借入は可能ですが、ゆとりのある返済は厳しいといえるでしょう。
2500万円でも負担率が高いと苦しい
年収400万円で2500万円の住宅ローンを利用するケースを、以下の条件でシミュレーションした結果を見てみましょう。
返済期間:35年(元利均等返済)、他の借入・ボーナス返済:なし
融資金利(年) | 毎月返済額 | 総返済額 | 返済負担率 |
1.0% | 7万1000円 | 2964万円 | 21.3% |
2.0% | 8万3000円 | 3479万円 | 24.9% |
借入額が2500万円でも、返済負担率は20%を超えてしまいます。
上手に使いたい仕組み
ここでは、住宅ローンの仕組みを解説します。
夫婦での収入合算
住宅ローンでは、申込者の年収に、配偶者や子ども、両親などのうち、いずれかの『収入を合算』して申し込めます。
年収が高いと借入可能額が増えるため、年収は審査において重要なポイントです。なお、合算できる金額は、合算者の収入の全て、もしくは50%以内など金融機関によって異なります。
返済期間の延長
返済が難しい場合は、返済期間を延ばすことで、毎月の返済の負担を軽減できます。年収400万円の世帯が、以下の条件で2000万円の住宅ローンを組む場合を、返済期間別に試算した結果を見てみましょう。
金利:年2.0%、返済方法:元利均等返済、他の借入・ボーナス返済:なし
返済期間 | 30年 | 35年 |
毎月返済額 | 7万4000円 | 6万7000円 |
総返済額 | 2662万円 | 2783万円 |
返済負担率 | 22.2%(88万8000円÷400万円×100) | 20.1%(80万4000円÷400万円×100) |
返済期間を延ばすと、利息が増えます。また、定年後も返済が続く可能性があるため、しっかり検討した上で返済期間を決めましょう。
クリアしておきたい審査のポイント
ここでは、住宅ローンの審査で、クリアしておきたいポイントを見ていきます。
過去に金融事故がないか
過去に、クレジットカードやローンなどの返済で、延滞などの金融事故があると、住宅ローンの審査をクリアすることは厳しくなります。なぜなら、返済能力が低い人物だと評価されるからです。
事故情報は最長で5年間、信用情報機関(※)に登録されます。金融機関は住宅ローンの審査時に、信用情報機関の登録情報を必ず照会するため、事故情報の履歴があると審査結果に大きく影響します。
(※信用情報機関とは、銀行や消費者金融などが、個人の契約内容や返済状況などの信用取引に関する情報を登録、および照会する機関です)
登録内容と登録期間 |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
借金として扱われる項目に注意
審査では、借入として扱われる項目にも注意しましょう。借入残高が多いと、住宅ローンの借入可能額は減ります。自動車ローンやカードローン、クレジットカードのリボ払いなども借入とされます。
また、クレジットカードやカードローンのキャッシング可能額は、利用していない場合でも、借入可能限額が借入金として計上される場合があります。不要なカードは、住宅ローンの申込前に解約しておきましょう。
収入の安定性もポイント
審査では収入の高さだけでなく、安定性も重要となります。不安定な年収では、返済が滞るリスクが高くなるからです。
収入の安定性から見た場合、毎月の収入が確定できる給与所得者が、審査において有利といえます。
ただし、勤続年数が短いと現在の年収が今後も続くかは判断しづらいため、勤続年数2~3年以上などの融資条件を設けている金融機関もあります。
まとめ
年収400万円であっても、世帯ごとに返済に充てられる金額は異なります。現在の家計を整理し、いくらであれば返済が続けられるかを考え、返済可能な金額で住宅ローンを組みましょう。