住宅ローンの融資実行から返済開始まで
住宅ローンを利用するには、いくつかの手順を踏む必要があります。借り入れが完了するまでの大まかな流れは、以下の通りです。
- 仮申し込み
- 仮審査(事前審査)
- 本申し込み(保険および本審査への申し込み)
- 本審査
- 契約手続き
- 融資実行
金融機関が借主に対して実際にお金を融通することを、「融資を実行する」といいます。実行日には借主の銀行口座に借入金が振り込まれ、通常は、そのまま不動産業者に住宅の購入代金として送金されます。
ここからは、融資実行から返済開始まで[のスケジュールを詳しく見てみましょう。
住宅ローンの契約から借入れまでの全体の流れ|住信SBIネット銀行
融資実行日に鍵の引き渡しがある
購入したい不動産が見つかったら、不動産売買契約を結び、購入代金の一部を手付金として支払います。
そして、住宅ローンの融資実行日に、借入金を清算し、鍵を引き渡してもらえば、不動産の売買手続きは完了です。
不動産売買契約│ご売却の流れ│京阪グループの仲介 京阪電鉄不動産株式会社
残代金の受領 物件の引き渡し│ご売却の流れ│京阪グループの仲介 京阪電鉄不動産株式会社
融資実行の翌月か翌々月から返済開始
融資実行後、いつから返済が始まるかは金融機関によって異なります。一般的には、翌月もしくは翌々月から返済が始まるケースが多いです。
返済日や返済方法は金融期間による
住宅ローンの毎月の返済日は、金融機関により異なります。例えば、イオン銀行とじぶん銀行の返済日は、以下のように定められています。
- イオン銀行…10日・20日・30日
- じぶん銀行…2日・7日・12日・17日・22日・27日
さらに、少しでも早く完済したい場合は、毎月の返済に加えて半年毎の増額返済(ボーナス返済)を併用することも可能です。
なお、住宅ローンの返済方法には、『元利均等返済』と『元金均等返済』の2種類があります。金融機関によってはどちらか一方を選択できるので、資金状況やライフプランに合わせて返済方法を検討しましょう。
元利均等返済 | 元金均等方式 | |
特徴 | 毎月の返済額が一定 | 毎月の返済額のうち、元金部分が一定 |
メリット | 返済計画が立てやすい | 返済総額を抑えられる |
デメリット | 返済総額が大きくなる | 返済開始当初の返済月額が大きい |
返済開始時期を遅らせることは可能?
住宅ローンが実行され鍵の引き渡しが終わると、次は住宅ローンの返済が始まります。
とは言え、建売住宅や中古マンションを購入した場合などは、契約から引き渡しまでのスピードが早く、すぐに住宅ローン返済に始まってしまいます。そのため賃貸からの引っ越しだと、物件の引き渡しに合せて入居できないケースも考えられます。
このような場合、新居への入居まで、ローンの返済の開始を待ってもらうことは可能なのでしょうか。
現住居の家賃とローンを両方支払うのが原則
住宅ローン契約は、「あらかじめ定めた返済計画に基づき、返済額を毎月きちんと支払う」という約束の上に成り立つ契約です。そのため融資が実行された後は、借主側に返済の義務が発生します。
物件の引き渡し後すぐに入居できない場合でも、原則として、現住居の家賃とローン返済の両方を支払わなければなりません。
相談に応じてくれる金融機関もある
上でも述べた通り、住宅ローンは返済計画に従って、毎月しっかり返済するのが基本です。
ただし金融機関によっては、物件の引き渡しと入居時期がズレることを事前に伝えれば、返済開始月を変更できるか相談に応じてくれることもあります。
引き渡し時期と入居可能な時期にタイムラグが発生することが分かったら、まずは物件を購入する不動産業者に相談してみましょう。
利息分のみ支払うことになるケースも
ローンの返済開始月を遅らせてもらえたとしても、その期間中の支払いをゼロにすることは難しいでしょう。遅らせた期間は、利息分のみの支払いに調整してもらうのが一般的です。
なお元金の返済開始を遅らせると完済までの期間も延びるため、利息の負担が増えてしまう点には注意が必要です。
つなぎ融資の支払い時期は?
分譲マンションや建売住宅の購入では、手付金の支払い後から融資実行までは、大きな資金は必要ありません。
しかし注文住宅の場合、段階的に費用が発生するため、「つなぎ融資」を利用して代金を分割で支払うケースが多いです。ここでは、つなぎ融資を利用した場合の返済時期について解説します。
つなぎ融資とは?
つなぎ融資とは、その名の通り、本融資を受けるまでのつなぎとして、短期間での借り入れができるローン商品です。
そもそも注文住宅の購入では、主に以下のような費用がかかります。
- 土地取得費用・・・土地の購入時に支払う
- 着工金・・・建築工事の着工時に支払う
- 中間金・・・着工から完成までの間に支払う
- 竣工金・・・建物の完成時に支払う
着工金・中間金の相場は、工事代金の約30%程度とされています。たとえば住宅の建築工事に2000万円かかる場合、着工金と中間金だけで1200万円かかる計算です。
一般的に、住宅ローン利用では、建物の完成・引き渡しの時点で一括実行されます。これでは土地の購入代金や着工金、中間金を支払うタイミングに、借入金の受け取りが間に合いません。
中には、複数回に分けて融資を行う「分割実行」が可能な住宅ローンもあります。しかし分割実行に対応した金融機関は限られており、ネット銀行などでは利用できないケースが多いです。
そのため竣工前に支払う費用を賄う方法の一つとして、つなぎ融資が多く利用されています。
基本的には住宅ローン実行時に一括返済
つなぎ融資は、住宅ローンの本融資を受けることを前提に、一時的に無担保でお金を借りられるサービスです。そのため住宅が完成し、本融資が実行されたタイミングで、借入金の一部を利用してつなぎ融資を一括返済することになります。
よって、実際に毎月返済していくのは、本融資分のみとなります。なお、つなぎ融資はその性質上、住宅ローンを契約したのと同一の金融機関でしか利用できない場合がほとんどです。
楽天銀行のつなぎローンの例
楽天銀行では、つなぎ融資として『つなぎローン』を取り扱っています。18年8月1日現在のローン詳細は、以下の通りです。
項目 | 詳細 |
基準金利 | 年率2.63% |
融資事務手数料(税抜) | 10万円(1回目融資時のみ。2回目以降不要) |
融資期間 | ・第1回つなぎローンの融資実行日から12カ月以内 ・住宅ローンの実行日まで |
借入可能回数 | 最大3回まで |
つなぎローンでは、融資時に事務手数料と利息分が契約金額から差し引かれます。前払いします。したがって契約上の融資額と実際の振込額が異なるため、注意が必要です。
例えば、年利3.0%で1000万円を半年間借り入れた場合、実際の振込額は以下のように計算できます。
まとめ
住宅ローンの返済は、住宅ローンの実行および鍵の引き渡し完了してから始まります。初回返済日は、融資実行日の翌月に設定されるのが通常です。
もし返済開始時期までに入居できないなどの事情があれば、金融機関によっては、一時的に利息のみの返済に応じてくれることもあります。どうしても返済開始時期を遅らせる必要がある場合は、早めに不動産業者や金融機関に相談しましょう。