FXでの副業は増えている?
サラリーマンの副業として、FX(外国為替証拠金取引)が注目されています。FXとは、ドルやユーロなどの外国通貨を売買し、その差益で儲けを狙う金融商品のことです。
預けたお金を証拠金として、その何倍もの金額を取引することができるので、少額でも大きな金額を動かすことができます。そのため、少額から資産運用ができるということで会社員の副業として選ばれるようにもなりました。
また、インターネットのおかげで、専門的な知識が得やすくなったことなどが、FXでの副業が増えた理由として挙げられます。
副業推進の流れ
副業や兼業を希望する人が年々増加しており、政府でもその対応についてガイドラインを提示しています。
本来、副業は法律で規制されているものではありませんが、会社側の都合により制限されていることがあります。その点について厚生労働省は、以下の場合にのみ制限が認められると、裁判例を用いて解説しています。
- 労務提供上の支障となる場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 企業の名誉・信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により企業の利益を害する場合
これらに該当しない場合は、会社側は労働者に対して制限をかけるべきではなく、労働は労働者の自由であるべきという立場をとっています。
サラリーマンでも終業後にできる点が人気
FXが副業として人気があるのは、時間に関係なくできることが理由のひとつです。為替相場は24時間動いており、サラリーマンでも帰宅してから好きな時間に取引ができます。
土日は市場が休みですが平日であれば、夜中でも取引できるというのは大きなメリットです。
株式投資の場合は朝9時から始まり、15時半には市場が閉まってしまいます。つまり、18時ごろまで働いているサラリーマンは、相場が動いているところをタイムリーに見ることはできないということです。
成功した人のブログが散見できる
FXが人気になったのは、インターネットが発展したことも理由として挙げられます。
FXは株式投資と比べて専門性が高く、一般の人には手が出しにくい領域でしたが、近年の急速なインターネットの発展により、多くの人のサイトやブログをいつでも見られるようになりました。
ブログなどでは、実際に取引をしている人が解説しており、成功や失敗の体験談を直接学べることから、以前と比べてFX取引を始めやすい環境になったといえます。
また、自分でもブログやTwitterを通して情報を発信することも、簡単にできるようになりました。中には副業としてFXのサイトを運営し、副収入を得ている人もたくさんいます。
副収入を得る手段としてのFXのメリット
本業以外の副収入を得る手段として、FXには多くのメリットがあります。
時間の自由が利く
FXの大きなメリットは、副収入を得るために時間に縛られないということです。自分の好きなときに開始し、終了させることができます。
ただし、ポジションを持っている(取引が継続している状態)と、為替の動きが気になって、スマートフォンなどを頻繁に見てしまうというデメリットはあります。これは、定期的にきちんとポジションを解消していれば問題ありません。
少額から始められる
FXは『レバレッジ』というシステムを採用しているため、少額でも十分稼ぐことが可能です。証拠金(FX会社に預ける資金)を元手に、その何倍もの金額の取引をすることを『レバレッジ取引』といいます。
たとえば、1,000通貨単位で米ドル/円の取引をする場合、本来なら1ドル100円時には、10万円(100円×1,000通貨単位=10万円)必要になります。
しかし、たとえばレバレッジが20倍であれば、5,000円の証拠金で10万円分の取引(5,000円×20倍=10万円)ができるということです。
また、FX会社によっては、1通貨単位から取引できることもあるので、自分の資産状況に合わせた取引が可能です。
短期も長期も可能
FXは短期・長期にとらわれず、自由に取引することが可能です。実際に利益を上げている人の手法を真似してみたり、自分なりの手法を考えたりしながら取引するとよいでしょう。
ただし、長期トレードであれば、レバレッジは3倍程度に抑えておいたほうが無難です。それ以上になるとリスクが高くなりすぎるため、長期トレードには向いていません。
FXなどの投資は副業扱いになる?
FXなどの投資が副業扱いになるかどうかは、非常に判断が難しいところです。法律上には『副業』という概念はなく、労働基準法によって法的な効力を持つ就業規則があるだけです。
投資か副業かの区別は難しい
FXが副業扱いになるかどうかは、投資か副業かという点が重要なポイントです。FXを投資としてみるのであれば、資産運用として考えられるので、副業にはあたりません。
しかし、価格差益によって収入を得るという意味では、副業として考えることもできます。
基本的に会社の判断となる
FXが投資か副業かという問題に対して、法律上に答えはありません。それを判断するのは基本的に会社なので、個人が投資だと思っていても、副業だと思っていても関係ないということです。
会社が『FXは投資である』と判断していれば、アルバイトなどの副業が禁止されていても、FXの運用をすることができます。
反対に『FXは副業である』と判断されていて、副業が禁止されている場合、FXをすることは就業規則違反となってしまいます。
公務員など副業禁止の場合は確認を
会社で副業が禁止されている場合は、FXが投資にあたるのか副業にあたるのか、事前に確認をしておきましょう。
とくに公務員の場合は、法律(国家公務員法と地方公務員法)で副業が禁止されているので、FXが副業として判断された場合は、減給や停職の事由となってしまいます。
FXと税金
FXで得た利益は、税法上『所得』としてみなされます。つまり、FXで稼いだ分の所得には、税金が発生するということです。
確定申告はきちんとしよう
納税は国民の義務として定められています。所定の金額以上を稼いでいれば、所得税や住民税を納めなければならず、そのために確定申告をしなければなりません。
そして、確定申告をする際は、国内FXか海外FXかで申告の方法が異なります。国内FXであれば、FXで得た利益は『先物取引にかかわる雑所得等』として計上します。
『先物取引にかかわる雑所得等』は、申告分離課税(個別に税率を計算)なので、ほかの所得と合計して計算する総合課税とは別にして、計算することになります。
また、海外FXでは総合課税の『雑所得』とみなされるため、事業所得や不動産所得などの、ほかの所得とあわせて税率が計算されることになります。
雑所得は20万を超えている場合に申告が必要
給与所得者で副業としてFXをしている場合、以下の条件に該当する人は確定申告の義務が発生します。
- 給与の年間収入額が2,000万円を超える人
- 給与所得・退職所得以外の所得額の合計が20万円を超える人
つまり、副業がFXだけであれば、年間の利益が20万円を超えていない場合、確定申告をする必要はありません。
FX取引で得た副業の利益に税金はかかる?確定申告の概要とその手順
会社にばれるのはどんなケース?
会社に内緒でFXをしていても、会社にばれる可能性はあります。主にどのようなケースでばれるのかみていきます。
住民税の納め方に注意
住民税の納め方には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。会社にばれないようにするためには、納め方に注意する必要があります。
特別徴収とは、会社の給与から税額が天引き(源泉徴収)され、会社が個人の代わりに税金を納める方法です。一方、普通徴収は個人が税務署に対して、自分で税金を納める方法のことです。
特別徴収は会社が行うため、経理担当者が金額を確認して納めることになります。もし、給料が同じくらいのほかの人と税額が異なれば、その時点で副業が疑われる可能性があります。
特別徴収税額通知書から疑われる場合も
所得税や住民税の特別徴収が行われる場合、管轄の役所から特別徴収税額通知書が送られてきます。通知書には給与所得がいくらなど、所得区分ごとに金額が記載されています。
海外FXの場合、基本的には雑所得として記載されていますが、国内FXであれば分離課税の欄に金額の記載があります。雑所得であれば、何により所得を得たかわかりませんが、分離課税であれば隠し通すことは困難です。
絶対にばれない方法は難しい
ばれる可能性を少しでも減らすためには、FXで稼いだ利益をしっかり確定申告しておく必要があります。その際、FXで稼いだ分の所得に関しては、特別徴収ではなく普通徴収として申告しなければなりません。
それでも何かの間違いで、会社に税額が届く可能性はあります。また、同僚に話したことがきっかけで、会社にばれる可能性もあります。
どれだけ対策をしても、100%ばれない方法というのはなかなか難しいものです。よって、会社の許可をとってから取引を行うのが無難です。
まとめ
FX運用は、会社によっては副業扱いになるため、事前に確認しておくことをおすすめします。もし、副業が禁止されている場合、会社の判断によっては、注意だけでは済まない可能性もあります。
また、FXは大きく稼げる可能性のある投資手段なため、税金には十分気をつけながら投資をすることが大切です。稼いだ分は必ず確定申告をして、納税漏れのないように注意しましょう。