FX取引において要となるスプレッド
FXの取引コストには『売買手数料』と『スプレッド』があります。この2つは取引をするたびにかかるため、重要な要素となっています。
FXにおいてスプレッドとは、通貨を売る時の値段(売値)と通貨を買う時の値段(買値)の差(広さ・狭さ)のことをいいます。スプレッドの幅が狭いほど取引のコストが少なくなります。
たとえば、ある通貨の売値が106.982円、買値が106.985円のような場合、スプレッドは以下の式から1通貨あたり0.3銭となります。
- 買値-売値:106.985円-106.982円=0.3銭
なお、スプレッドはすべて同じではなく、FX業者や取引する通貨ペアによって異なります。
売買手数料は無料の業者が一般的
最近では売買手数料が無料のFX業者が増えており、無料のほうが一般的となっています。ただし、すべてが無料というわけではなく、FX業者によっては、1万通貨未満の取引の場合は、売買手数料が有料になるなど、条件によって無料でない場合もあります。
取引手数料について| FXプライムbyGMO よくあるご質問
実質的な手数料という位置づけ
売買手数料がかからないのが一般的になってきた現在、取引コストはスプレッドのみの場合がほとんどです。そのため、スプレッドが取引をするトレーダーにかかる、実質的な手数料という位置づけとなっています。
4種類のスプレッド
スプレッドは特徴別にみると、以下の4種類に分けられます。現在では、多くのFX業者が『原則固定』タイプを採用しています。
スプレッドの種類 | 特徴 |
完全固定 | スプレッドの変動がなく、完全に固定されている |
原則固定 | スプレッドが原則的に固定されているが、指標発表前後や為替相場変動が激しくなるときは変動する |
変動 | スプレッドが常に変動する可能性があり、流動性が低くなる時間帯は特に変動しやすい |
キャンペーン | キャンペーン期間中の特別なスプレッド。期間限定で特定の通貨に対して通常より安いスプレッドで取引ができる |
お得な原則固定スプレッドは注意も必要
リスクが少なく、コストも低い原則固定スプレッドですが、スプレッドが変動しないわけではないため注意が必要です。そこで、原則固定スプレッドの注意点を説明します。
スプレッド配信率で確認
スプレッド配信率とは、原則固定で設定されたスプレッドが、実際にどれくらいの割合で配信されたかを表すものです。
配信率が低ければ、原則固定であっても実際の取引の際にスプレッドが高くなってしまう可能性が高く、取引で損をする場合があるので注意が必要です。
たとえば、DMMFXでは、米ドル/円のスプレッドが0.3銭で配信された割合が、98.79%以上となっています。
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取引数量や適用時間帯に制限のある業者も
原則固定としている場合でも、取引の数量や時間帯によってスプレッドが変わるFX業者もあるので、取引するうえできちんと把握をしておくことが重要です。
たとえば、ヒロセ通商やJFX株式会社では、原則固定のスプレッドの適用は、午前9時から翌日の午前2時までと決められています。また、マネックス証券では取引数量によってスプレッドが変わり、以下のように設定されています。
米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル | 豪ドル/円 | |
1取引1枚(1万通貨単位)以下の場合 | 0.2銭 | 0.4銭 | 0.3pip | 0.5銭 |
1取引1.1枚以上~100枚以下の場合 | 0.3銭 | 0.5銭 | 0.4pip | 0.6銭 |
1取引100.1枚以上の場合 | 0.5銭 | 1.0銭 | 1.0pip | 1.0銭 |
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経済指標の発表時間に注意
経済指標とは、各国の政府や中央銀行が発表している、経済状況を構成する要因(物価、金利、景気、貿易など)を数値化した指標です。GDPや失業率、政策金利などがあります。
原則固定の適用時間に制限がない場合でも、経済指標の発表時間帯は注意が必要です。経済指標発表時には相場の乱高下が起こるため、それに合わせスプレッドも変動する場合があります。その場合の変動の大きさはFX業者によって異なります。
海外のFX業者のスプレッド事情
FX業者は国内だけでなく、海外にも多く存在しています。そこで、海外のFX業者のスプレッド事情を紹介します。
狭スプレッドだが取引手数料がかかる業者も
海外のFX業者の中には、日本の業者よりもスプレッドが狭い場合がありますが、取引の際に手数料がかかる場合があるので注意が必要です。
たとえば、Tradeviewではスプレッド最小値0.0となる場合もあるなど、スプレッドは狭いものの、手数料として2.5ドルかかります。
変動制が主流
海外FX業者では変動制のスプレッドが主流で、固定制を採用している業者はあまりありません。変動制のため、NY市場とロンドン市場が開いている時間帯など、取引量が多くなる時間帯では、スプレッドが狭くなる傾向にあります。
比較のポイントは平均スプレッド
変動制のスプレッドでは、最小スプレッドだけをみて比較をしても、その値がずっと続くわけではないので、比較の意味が少ないです。比較するのであれば、一定期間に測定したスプレッドの平均値である、平均スプレッドを見るようにしましょう。
たとえば、AXIORYでは現在のスプレッドに加え、最小・最大・平均スプレッドが確認できるようになっています。
まとめ
スプレッドはFX取引をするうえで、手数料のような位置づけとなっているため、非常に大切な要素です。低いスプレッドで取引をすることで、取引の際にかかるコストを下げられます。
ただし、原則固定となっていても適用の範囲は業者によって異なり、場合によっては適用されないこともあるので注意しましょう。
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