FX用語を理解しよう
まず、FX取引の中で、ロットに関連するいくつかの用語の意味を確認しましょう。
ロット
FXにおいて『ロット(lot)』とは、取引単位のことです。銀行の外貨建て預金は、ある程度自由な金額を売買することが可能ですが、FX取引では、まとまった通貨数量をひとつの単位とし、その倍数で売買が行われることが一般的です。
Lot(ロット) - FX/CFD用語集 - DMM.com証券
ピップス
『ピップス』とは、通貨の最小単位を100で割った数値で、為替レートの最小変動単位のことです。アルファベットでpipsと表記することもあります。
たとえば、日本円では1円の1/100である1銭が1pipです。この単位が複数になると最後に小文字のsを付けて、2pipsや5pipsといったように表記します。
米ドルでは、本来の最小単位が1セント(1/100ドル)なので、さらにその1/100が1pipであり、数字上の表示では1.0001ドルのようになります。
複数のレートが関係する外国為替市場では、各通貨の単位を使って価格を表示すると煩わしいので、共通の用語としてピップスが使われます。
レバレッジ
FX取引では、手持ち資金の数倍から数十倍にあたる通貨を売買できる、『レバレッジ』と呼ばれる仕組みがあります。
レバレッジによって、比較的少額でも大きなロットの通貨を動かすことが可能になり、資金効率のよい投資ができます。ただし、大きな損失を生むリスクがあることも事実です。
日本国内では2011年8月1日より、個人向けのレバレッジ倍率を最大25倍とする法規制が施行(金融商品取引業等に関する内閣府令第117条)されています。
(※ロスカット:トレーダの損失が証拠金額を上回ることのないよう、自動的に損失を確定する仕組みのことです)
レバレッジ │FXを始めるなら外為どっとコム
証拠金規制 : 一般社団法人 金融先物取引業協会
ロット数から計算できること
FXのロットは、取引に関係する複数の事項を見積もるときなどに使われます。
ロットサイズから損益がわかる
ロットサイズは大きければ大きいほど、損益の見積もりも大きくなります。たとえば、ある日の米ドルが105.2円から105.5円の範囲で推移したとします。このとき、値動きは円建てで30pipsです。
1ロットが1万通貨のFX会社を使っているトレーダーが、この日の最安値でドルを買い、最高値で売ったとすると、利益は値幅の1万倍である3,000円となります。当然、最高値で買い最安値で売った場合は、損失が-3,000円となります。
大きなロット数は、上記のようなわずかな値動きからも顕著な利益を出すことを可能にしますが、同時に損失に対しても大きな影響を与えてしまいます。
リスクを考えたロット管理
大きなロットで、ある通貨のポジション(※1)を保持している場合、為替の小さな変化も比較的大きな含み損益(※2)となります。そして含み損が出ると、証拠金の時価評価額が減額され、トレーダーの資金状況が悪化します。
含み損失額が一定レベルを超えると、FX会社はトレーダーに対し追加証拠金を求めたり、さらに悪くなった場合は、ロスカットによる強制決済の措置をとったりします。
FXでレバレッジを効かせ大きなロット数の通貨を動かす場合も、証拠金ぎりぎりの取引はしないように配慮することが大切です。
(※1,ポジション:トレーダーが新規の通貨の売買を行い、それを決済していない状態のことです)
(※2.含み損益:ポジションを持ち、決済売買により取引を終了していない状態で、計算上生じている損益のことです)
損切りラインを出せる
ロット数を用いると、手持ち資金において耐えられる損失の幅と、為替レート上の許容可能な値動きの関係を計算することもできます。
たとえば、1ドルが105円のときに買う取引を考えます。証拠金は10万円、許容できる損失額を2万円だと仮定します。
1万通貨単位で1ロットを買った場合、上記の損失額を1万で割ると、ドルの下落幅は2円まで受け入れられると計算ができます。
仮に、1,000通貨単位で3ロットを取引したとすると、6.7円程度までは下落を許容できることになります。
初級編2 FXを始める前に 損切りについて│FXを始めるなら外為どっとコム
計算機サイトを利用しよう
ウェブサイトの中には、取引する通貨を指定し許容できる損失幅などを入力することで、その条件にあったロット数を自動計算してくれるサイトもあります。煩わしい計算をする必要がないので、利用してみるのもよいでしょう。
FXにおけるロットの計算方法について。知らないと損をする知識とは
ロットの大小を考える
ここでは、ロットの大小によって、それぞれどのような特性があるかを確認しましょう。
小さいロットのメリット
1ロットが1,000通貨単位、あるいはさらに少ない通貨で取引できる場合は、リスクを抑えて投資を始められます。
たとえば、1ドル100円のときに、レバレッジ25倍で1,000通貨を買うとすると、最低限必要な証拠金は4,000円で済みます。
また、小さいロットであれば、複数の通貨へ分散投資をしたり、相場の動きに合わせて段階的に買い増しをしたりするなど、柔軟な資金運用ができるようになります。
大きいロットのメリット
1万単位など、大きいロットの取引がもたらすメリットは、小さな値動きから利益を得やすいことです。
FX取引では、為替相場が大きく変動するリスクが常につきまといます。このリスクを抑えるために有効な手段のひとつは、ポジションを長く持ち過ぎないということです。
為替の小さな値動きから顕著なレベルの利益を得られるということは、1日や数時間など、非常に短い時間で取引を終えられるということを意味し、ポジションを保持している間のリスクを小さくすることが可能となります。
ロットに関する注意点
FX取引を開始するにあたり、ロットに関する注意点は以下のとおりです。
通貨単位を確認
1ロットの通貨数量には特別な規制や決まりがなく、FX会社が個々の事情で数値を設定しています。標準では、FX取引での1ロットは1万通貨となっていますが、通貨ペアによっては、それより大きな数量が設定されている場合もあります。
また、1,000通貨を1単位とするFX会社も多く、中には100通貨や1通貨という少量からでも取引が可能なところもあります。自分が対処できるリスクの大きさなどを考慮し、それに合った通貨単位で取引できるFX会社を選ぶとよいでしょう。
ワンショットの上限を確認
『ワンショット』とは、1回の売買注文のことです。FX会社は、1回の注文で受け付けるロット数に限度を設けている場合があります。
たとえば、対円のレートが安い通貨を多く買おうとする場合、ワンショットのロット数制限のために一度で約定(注文が成立)できず、その間に為替が変動してしまうということも考えられます。
そのため、ワンショットの上限数は、ひとつのリスクとなり得ます。自分が狙うトレード手法に合った数量で、一度に取引が完了できるかも確認することが大切です。
おすすめのFX会社
ここでは、ロットの設定に関しておすすめのFX会社を紹介します。
ロット上限で選ぶならIG証券
『IG証券株式会社』が提供するFX取引では、1ロット=1万通貨と標準的な設定ですが、ワンショットでの取引ロット数には上限がないことが大きな特徴です。
使用できる取引ツールには、PCのブラウザ上で使用できる『ウェブベースプラットフォーム』や『ProRealTimeチャート』、モバイル向けの『スマートフォン・アプリ』や『タブレット端末アプリ』があります。
各ツールともに、FXだけでなく株価指数や先物など、IG証券が提供する金融商品を、統合的に取引できる作りとなっています。また、FXにおいては、取扱通貨ペア数が100種類と豊富なのもメリットのひとつです。
口座開設数で選ぶならDMM
株式会社DMM.com証券が運営する『DMM FX』は、口座数国内No1という実績(※)があり、2018年3月末日時点で65万口座が開設されています。
取引単位は1ロット=1万通貨で、全20通貨ペアにおいてワンショットの注文上限は100ロットとなっています。なお、保持できるロット数は通貨ごとに設定されています。
DMM FXでは、スマートフォンでもブラウザ上動作をする取引ツールを提供しているのが特徴です。さらに、従来の携帯電話からでもFX取引が行えるツールも用意しています。
加えて、新規取引が約定するたびにポイントが還元される『取引応援ポイントサービス』があることも特徴です。このポイントは現金に交換することも可能です。
(※2018年1月末時点。ファイナンス・マグネイト社調べ)
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まとめ
FX取引は、ロットと呼ばれる取引単位で通貨の売買を行います。一般的に1ロットは1万通貨の設定です。レバレッジを効かせて多くのロットを売買することで、為替の小さい値動きから顕著な利益を得ることができます。
ただし、大きなロットを動かすということは、損失も大きくなる可能性があるので注意が必要です。取引のロット数をもとに、許容できる損失金額から為替レートの損切りラインを計算できます。
ロットサイズには、大小それぞれにメリットがあり、取引スタイルに合わせて選択することが大切です。FX会社により、一度の注文で発注できるロット数が制限されることもあるので、大きなロットで取引する際は注意が必要です。