レバレッジの計算式
レバレッジの計算式は次のようになります。
- レバレッジ(倍率)=取引金額(円)÷証拠金(円)
たとえば、証拠金(担保金)が10万円で1ドル100円のときに5,000ドルの取引をする場合、5,000ドルは50万円に相当するので計算は次のようになります。
- 50万円÷10万円=5
よって、このときのレバレッジは5倍となります。
レバレッジ算出方法を教えてください| Q&A・用語集 - マネースクウェア・ジャパン
レバレッジは証拠金と取引金額の倍率
上記のとおり、レバレッジは取引金額の証拠金に対する倍率を表します。また、業者に担保として預けた証拠金の最大25倍(日本における個人トレードの規制上限)の金額で、外国通貨を売買できるという仕組み自体のこともレバレッジと呼ばれます。
レバレッジ(leverage)は英語で、『てこの作用』などを意味する単語です。小さな動きから大きな振れを発生させるところが、てこの作用に似ていることからそのように呼ばれています。
計算機を使って計算してみる
FX取引の場合、通貨を1,000や1万などのまとまった量で売買するのが一般的です。このとき、1回の取引で動かす金額は、取引時の為替レート(円建て)と通貨数をかけたものになります。
ただし、FXではレバレッジの仕組みがあるので、取引で動かす金額を口座に準備する必要はありません。実際に必要な金額は以下の式で算出する『必要証拠金』の金額となります。
- 必要証拠金 =(為替レート × 通貨数)÷ レバレッジ比率
たとえば、1ドル115円のときに1万通貨を買うと、115万円が動くことになりますが、レバレッジ20倍のFXにおいてその取引をするための必要証拠金は、以下の通りの計算となります。
- 57,500 =(115 × 1万)÷ 20
同じレートのときに同じ量のドルを外貨建て預金で買うと、115万円が必要になるところを、20倍のレバレッジを使うことで、6万円足らずの資金で取引することが可能になります。
実際の為替レートは小数点以下まであることが多いので、レバレッジや証拠金の計算には、計算機を利用すると間違いが起きにくいです。
計算するといいことあるの?
レバレッジを把握し計算しておくことには、どのようなメリットがあるでしょうか。
許容できる損失範囲で取引できようになる
レバレッジを把握しておくと、損失が出た場合の金額をある程度把握できます。これによって、許容できる損失範囲での取引ができるようになり、想定外の損失を避けやすくなります。
例として、1ドル100円で証拠金が50万円、許容できる損失範囲が1万円まで、ドルが0.5円下がったら損切り(損失を抑えるために損失額を確定すること)を行うものとします。
- 10,000÷0.5=20,000
ドルが0.5円下がって1万円の損失があるのは、ドルを2万通貨所持していた場合となります。1ドル100円でドルを2万通貨購入するには200万円必要なので、この場合のレバレッジは、以下の計算により4倍となります。
- 200万÷50万=4
よって、レバレッジが4倍以下なら損失を1万円以下に抑えられることになります。
ロスカットを避けられる
レバレッジと証拠金、ポジション(保有しているが通貨の残高)の時価総額などを常に把握することで、ロスカットをする以前の段階で、何らかの手立てを打てるようになります。
ロスカットとは?
FX取引においては、トレーダーが見込んだ方向と逆に為替レートが動いた場合は含み損となります。この含み損が大きくなって、その時点で決済すると預けてある証拠金よりも損失額が大きくなってしまう事態が起こりえます。
そのような事態を防ぐために、強制的に決済売買を行って損失を確定するFXの仕組みが『ロスカット』です。ロスカットには、『有効証拠金』『証拠金維持率』といった数字が関係してきます。
なお、ロスカットがあっても為替レートの変動が急激に進むと、証拠金よりも損失額が大きくなり、証拠金以上の損失が出てしまうことはあるので注意が必要です。
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ロスカットの計算方法
ロスカットは、証拠金維持率が一定の割合を下回ったときに発動します。証拠金維持率の計算に必要なのが、有効証拠金の金額です。
まず、有効証拠金はその時点での含み損益を用いて、以下のように計算されます。
- 含み損益 =(現在の為替 - 建玉時の為替)× 通貨数
- 有効証拠金 = 証拠金額 +含み損益
証拠金維持率は有効証拠金と、その時々のポジションの時価総額により変化する必要証拠金の額を用いて、以下のように計算されます。
- ポジション時価総額 = 現在の為替 × 通貨数
- 必要証拠金 = ポジション時価総額 ÷ レバレッジ比率
- 証拠金維持率(%) =(有効証拠金 ÷必要証拠金)× 100
たとえば、証拠金維持率が100%であるということは、トレーダーが持っている現金とポジション維持のための資金が同額であることを意味し、それ以上の売買取引を開始できない状態を示しています。
ロスカット発動の基準となる証拠金維持率は業者によって異なり、100%を下回った時点で発動する業者もあれば、50%以下になったときに発動するところもあります。
ロスカットのルール(個人のお客様用)
SBI FXトレードの取引ルール|はじめてのFX|SBI FXトレード
ゼロカットでの取引もおすすめ
証拠金維持率が100%未満になると、そのままではポジションを維持できないので、追加の証拠金(追証)を要求されることもあり得ます。
本来であれば、ロスカットにより追証が回避されるべきですが、為替レートの急変時などには、その処理が追いつかない場合も発生します。
海外のFX業者などが提供する『ゼロカット』は、そのようなときにも証拠金のマイナス分を業者が相殺してくれるという契約です。
ゼロカットが約束されていれば、業者に預けた証拠金額を超える損失は、ほとんど発生しないことになります。
便利なレバレッジ計算方法
上記のとおり、レバレッジが関係する証拠金維持率などの計算には、やや複雑なところがあります。したがって、便利なツールを利用したほうが合理的です。
スマホの計算機アプリ「PanecalST」を使う
スマートフォン用アプリの『PanecalST』は、計算式をメモ帳感覚で編集、再利用できる計算機アプリです。
FXにからむ計算には、括弧でくくったほうが読みやすいものも多いため、括弧を使っての数式記述が可能なこちらのアプリは、その点において便利です。
また、カーソルを移動させながら、ロングタップでのコピー・ペーストもできるので、一度使った式の編集も効率的に行えます。
式と履歴が見れる電卓 PanecalST - Google Play の Android アプリ
エクセルを使う
自分のFX取引内容において、レバレッジをもとにリスクを計算する場合、数式の保存性や編集性のよいエクセルを使い、証拠金維持率を確認するのもよいでしょう。
この場合は、証拠金額、レバレッジ比率、建玉時の為替レート、現在の為替レート、取引している通貨数を入力するセルをまず決定し入力します。なお、取引開始前の計算であれば、為替レートはどちらも現在値を使用します。
次に、含み損益、有効証拠金額、現在の必要証拠金額を順番に計算し、セルに表示するように数式を設定します。
最後に、上記の各計算結果を用いて、上項で解説した証拠金維持率を計算・表示させます。
まとめ
FXのレバレッジは、手持ちの証拠金から数倍以上の額の通貨が取引できるだけでなく、為替レートともに変動するリスクにも関係する重要な数値です。
自分の行っているレバレッジ設定や他の関連数値を用いて、含み損益や証拠金維持率を日常的に算出しておき、ロスカットのリスクがどの程度あるかを把握しましょう。
計算には、アプリやエクセルなどを用いることで、日常の作業を合理化できます。