レバレッジなしは1倍のこと
『レバレッジ』は、FX会社に預けた証拠金の何倍もの資金運用を可能とする、FXにおける特徴的なシステムです。レバレッジの倍率は、国内では法律によって定められており、多くのFX会社が25倍を上限としています。
25倍のレバレッジでは、証拠金を10万円とすると250万円相当の取引ができることになります。逆にレバレッジをなしにすると、10万円の証拠金なら運用も10万円までとなり、倍率でいうとレバレッジ1倍の取引となります。
レバレッジ1倍の取引は可能
レバレッジ25倍の取引では証拠金が10万円だと、250万円分の運用差益が元手の10万円に換算されます。そのため収益が上がれば高いリターン、損失となれば大きな痛手を被ることになります。
まさにハイリスク・ハイリターンな投資ということになります。しかし、だからといってFXを危険な投資だと決めつけるのは早計です。
レバレッジは倍率を変えられます。25倍で意気込むのも、1倍で安定を望むのも自由です。もちろん1倍だとハイリターンの魅力は薄れますが、リスクを大幅に軽減した堅実な投資を行うことが可能となります。
外貨預金と何が違うの?
外貨預金は日本円をドルなどの外貨に換えて行う預金なので、通貨の保有状態はレバレッジ1倍で外貨を買ったFX取引と何も変わりません。
しかし、同じなのは外貨保有という状態だけで、取引をめぐる環境は大きく異なります。基本的に外貨預金は貯蓄、FXは投資なので違っていて当然といえますが、具体的にどう違うのか、例をあげて説明します。
FXには満期がない
日本円での預金に普通預金と定期預金があるように、外貨預金も1カ月や3カ月ものといった定期型の預金があります。
定期型の外貨預金は、期間が満了しないと円には戻せません。また、普通預金に該当する外貨預金でも、換金できるのは基本的に購入の翌日以降となります。
こうした期限の定めは常に変動する為替レートを考えると、リスク面で大きなハンデを背負うことになります。
レートが有利になっても満期前なら換金することができず、満期時に不利なレートとなってしまったら、その不幸を受け入れざるをえないからです。
対してFXは、市場が開いていればいつでも取引ができます。レート状況を見た臨機応変な対応が可能となるので、リスク面では外貨預金より有利であるといえます。
FXは売りからの取引もできる
外貨預金は円で外貨を買って積み立てる預金です。そのため、為替レートが円安に進めばよいのですが、円高に振れると損を抱えることになってしまいます。
これに対してFXは、円でドルを買うのはもちろん、ドルを売って円を買う取引からも投資を開始できます。相場状況を見て高くなりそうな通貨を買い、安くなりそうな通貨を売っておくという取引が可能です。
よって、円安相場でしか元本が保証されない外貨預金に比べると、FXは相場変動に対する柔軟性を持っているといえます。そして、レバレッジ1倍なら売りからの取引ができない外貨預金の不利を補って、外貨預金と同様の預金効果を得ることができます。
レバレッジ1倍のメリット・デメリット
レバレッジ1倍は外貨預金や高レバレッジのFX取引と比較すると、よいことずくめのように思えます。しかし、投資であることに変わりはなく、注意すべき点や不利になる点も存在します。
手数料が安い
FXでは外貨を売る場合と買う場合で異なったレートが提示され、その差額が『スプレッド』と呼ばれるFX会社の手数料となっています。
スプレッドの値幅は常に存在するため、取引のたびに手数料を取られることになります。しかし、その幅は0.5銭から1銭程度のケースがほとんどで、外貨預金のように1円や2.5円という、割高な手数料ではないので大きな負担とはなりません。
リスクが低い
証拠金10万円、レバレッジ25倍の取引では、レートが1ドル100円ならば、1円のレート変動でおおむね2万5,000円程度の証拠金が増減します。それがレバレッジ1倍なら1,000円程度しか動かないので、大幅なリスク軽減となります。
資金効率が悪い
レートが変動に対して証拠金の増減が少ないということは、リスクは抑えられますが、収益の上がる効率も低くなってしまうことを意味しています。
FXの魅力は何といっても、レバレッジを利かせて少額でも効率のよい投資ができる点にあります。その魅力が損なわれてしまうということは、機会損失でもあるといえます。
短期運用には向かない
低レバレッジで高い投資効果を得るには、投資額を大きくするか、長期保有で相場が大きく変動するのを待つ以外に方法はありません。
しかし、投資額を大きくしてしまうと、せっかく抑えたリスクを悪化させることになってしまいます。大きな資金を動かすくらいであれば、むしろ証拠金が少額で済む高レバレッジのほうが、リスクを抑えた取引を可能としてくれます。
したがって、低レバレッジで高い投資効果を得るには、大きな為替変動に期待し、長期保有を方策とするしかありません。以上の理由からレバレッジ1倍は、短期運用では利益を上げにくい投資となってしまうのです。
レバレッジ1倍で取引可能なおすすめ会社
レバレッジ1倍でFX取引を行うには2通りの方法があります。ひとつはFX会社の設定するレバレッジコースで1倍のコースを選択する方法、もうひとつは取引金額と証拠金を同額にする方法です。
レバレッジコースで上限倍率を定めない限り、レバレッジは25倍までの範囲で、証拠金に対しての運用割合で自動的に変動します。したがって、証拠金と同額までの範囲での取引だけを行えば、レバレッジは1倍以内に収まります。
取引金額と証拠金を同額するのは、どのFX会社でも可能です。しかし、最少取引単位が大きな額となる会社だと、レバレッジ1倍に合わせる証拠金も多額になるため、現実的であるとはいえません。
少額でレバレッジ1倍が可能
レバレッジ1倍での取引には、小さな取引単位からのトレードが可能なSBIFXトレードをおすすめします。通常、取引の最小単位は小さくても1,000通貨からですが、SBIFXトレードでは1通貨から取引が可能です。
そのメリットをレバレッジ25倍で説明します。1ドル100円の場合、1,000通貨の取引には約4,000円の証拠金が必要です。それが1通貨から取引可能ならば4円で済むので、証拠金の額を希望する取引額と同額にするのも容易になるというわけです。
レバレッジ1倍でのFX取引は、外貨預金よりも低リスクといえる安全性が最大の魅力です。だからこそそのための舞台は、少額から証拠金を調整できる、小さな取引単位での取引を可能とするFX会社の選択こそがベストです。
まとめ
レバレッジはFX投資を高効率とする魅力的なシステムですが、それだけにレートと投資の方向性が合致しないと、損失も大きくなってしまう側面も持っています。
そうしたマイナス面の打開には、低レバレッジでの取引が有効です。特に、レバレッジ1倍なら外貨預金のような預金効果が期待でき、外貨預金の持つ制度上の不利にも悩まされません。
低リスクで堅実な利益率、それがFXにおけるレバレッジ1倍運用です。高レバレッジのようなハイリターンこそ望めませんが、長期運用を前提にじっくり取り組めば、投資家に手がたい収益をもたらしてくれます。