FXの自動売買とはどんなもの?
FXの自動売買はシステムトレードとも呼ばれ、取引チャートに売買手法をプログラムし、コンピュータに取引を任せるシステムのことです。
そして、そのためのソフトをEA (エキスパートアドバイザーの略)といいます。EAには様々な種類があり、無料で利用できるものがあるほか、高価なソフトも販売されています。
自動売買の種類
EAに組み込まれるのは、FX取引において効果的だとされる売買手法です。多くの手法の中から収益の上がる可能性の高いものを選び、プログラミングされています。
組まれる手法はEAによって様々ですが、共通するのは『相場がこう動いたら、こう取引する』という、ストラテジー(戦略)と呼ばれるプログラムです。
どのEAでも設定された局面に相場が到達したら、このストラテジーが働き、自動で取引が行われます。
EAは利用するチャートやFX会社などによってタイプが分かれています。どのような種類のEAがあるのか確認しておきましょう。
選択系EA
FX会社が自社チャートに搭載している、自動売買サービスのことをいいます。中にはFX会社が独自に開発したシステムもあり、多くの種類の中から選んでシステムを稼働できることから、選択系と呼ばれています。
MT4利用EA
FXチャートにはMT4(メタトレーダー)という汎用チャートがあります。国内外の多くのFX会社がこのチャートを使用しており、利用者が非常に多いことから、MT4向けのEAが数多く開発されています。
プログラム構築系
チャートに自分でプログラムを組み、自動売買システムを構築する方式です。自在にEAを作成できるため、好みの手法を取り入れ自由に取引させることが可能です。
しかし、高度なコンピュータ開発の知識と技術、FXの技量を必要とするため、初心者にはハードルが高いといえるでしょう。
自動発注機能系
注文方式を選択するタイプのシステムです。設定条件で発注と決済が繰り返されるので、一度設定してしまえば非常に楽なのが特徴です。設定はとてもシンプルなので、初心者でも簡単に始められます。
このようにFXの自動売買は4つに分類されます。それぞれの特徴を理解して自分に合ったものを使えば、トレードにおける頼もしい味方となってくれるでしょう。
通常売買との違い
FXではチャートなどで相場分析を行い、世界の経済情勢なども加味して自らのスキルで取引を行います(総量取引)。自動売買が異なるのは、分析と取引がシステムにプログラムされている点です。ただし、予め設定された条件以外の取引はできません。
逆に裁量取引は自分次第でいかようにも取引可能なので、限定された条件下で着実に取引するのが自動売買、自由に相場に向き合えるのが裁量取引であると分類できます。
自動売買のメリット
人の感情は揺れ動くものなので、いつでも同じ目線で相場に対峙することはできません。そして、為替相場は24時間稼働しています。できるだけ多くの時間を取引に割きたいところですが、常に相場に向き合っていられるわけなどありません。
そうした裁量取引の負の部分を、疲れ知らずで無感情なコンピュータが補ってくれます。
また、設定さえ終われば着実に取引を繰り返してくれるので、FX取引や世界経済に長けていなくても、EAの性能通りの収益を得られることもメリットのひとつです。
自動売買のデメリット
自動売買は着実に取引を行ってくれますが、必ず利益が上がるというものではなく、損を出す可能性もあるという点がデメリットです。
事件や突発事象などで相場が急変した場合も、100%対応できるとはいえないのも泣き所です。
常時稼働が可能なのである程度は対処できますが、想定を超えた値動きがあった場合は、自動売買でも無力となるケースがあることを理解しておきましょう。
FXの無料自動売買
FX会社が自社のチャートに搭載している自動売買システムは、その会社で取引を行うのであれば、ほぼ無料で利用できます。また、MT4利用のEAにも無料で提供されているものがあり、多くの投資家が利用しています。
無料で売買するメリット
FXは投資なので、投下費用が少ないほど収益性は高くなります。したがって、初期費用不要の無料EAは、費用対効果の面ではメリットです。
また、システムとしてFX会社のチャートに組まれたEAの多くは、最初の設定が容易であるのも利点です。
無料で売買するデメリット
FXの取引は、常に同じ手法が通用するとは限らない投資です。3年前は高収益だったEAが今は見る影もない、ということも珍しくありません。したがって、EAも変化し続ける相場に対応し、直近の市場動向に見合ったものである必要があります。
しかし、無料EAは旧式のものが多く、性能面が現在の市場に対応していないケースが多くあります。開発が続く中で生まれる最新の有料EAに比べると、その実力は明瞭です。
FX会社が提供するシステムも、その実力はサービスの域を出ていないのが現状です。このように無料で利用できる自動売買は、性能面で有料のものに見劣りしてしまうというのがデメリットです。
FXの有料自動売買
有料EAはMT4利用のものがほとんどです。MT4は利用者が多いのでEAの販売市場も大きく、世界的な規模で開発競争が繰り広げられており、製品レベルも日々向上しているのが特徴です。
有料版で売買するメリット
同じ手法が通用し続けるとはいえない市場特性を考えると、直近の値動きに対応すべく開発された有料EAは、市場に対して最も順応力が高いのがメリットです。
有料版で売買するデメリット
購入代金の分、費用対効果の面では劣ります。設定内容がブラックボックス化(見える化されていない)されたEAも多く、詳細を購入前に検討できない、稼働させないと本当の実力がわからないといったデメリットもあります。
さらに、高価であれば高性能であるとも限らないのが、EA選択の難しいところです。
まとめ
FXは確率を求めやすい投資です。そして、勝率に沿った資金投下を行えば、収益は安定したものとなります。
自動売買でも勝率が肝なのは変わりません。バックテストなどで勝率を確認し、慎重に検討してから導入を決めましょう。
必ず勝てるというものではもちろんありませんが、高勝率のEAは堅実な運用さえすれば、心強い取引のパートナーとなってくれるといえるでしょう。