FX取引にかかる費用
まず、FX取引を行うために必要とされる費用の、基本を押さえておきましょう。
初期費用
FX取引を開始するためにはいくつかの手続きが必要ですが、そのために必要な費用にはどのようなものがあるでしょうか。
口座開設や維持手数料は多くが無料
現状ではほぼ全てのFX業者が、口座開設について特別な費用を要求していません。その意味では、複数の会社を掛け持ちして口座を開くことも容易になっていると言えます。
また、その口座を維持することにも、費用はかからないと考えて問題ありません。
取引手数料は無料の業者が多い
口座開設と同様に、現在では取引手数料が0円というFX業者がほとんどです。
しかし、注文方法やトレードする通貨ペアなどによって、手数料が発生する可能性は若干残っているので、取引開始前にはその点の確認が必要です。
実質的な手数料はスプレッド
通常、FX取引では利用者が通貨を買う値段(Ask)は高く、売る値段(Bid)は安く設定されます。
この価格差が『スプレッド』と呼ばれるもので、FX業者にとっての利益はここから生まれています。
スプレッド幅は、各FX業者が利益体系の中でバランスを取りながら決定しているもののなので、FXを始める際には他のサービス内容なども総合的に判断したうえで、業者決定したほうが良いです。
レバレッジをかけたい場合は証拠金が必要
FX取引の大きな魅力のひとつは、『レバレッジ』をかけた売買が可能だということです。
FX取引は、利用者が業者に一定の証拠金(担保)を預け、それを元にトレードしたい通貨を業者から借りる形で行われます。そのとき、レバレッジをかけることで、預けた証拠金の数倍から25倍(※)の金額での取引が可能になります。
利用者としては、実際に手持ちの金額より大きい金額で売買が可能になり、資金効率の良い投資を行うことができます。
※日本国内においては、FX取引のレバレッジ比率は、最大25倍と法律で決められています
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スプレッドの種類
一般的に、ひとつのFX業者の中でも、トレードを行う通貨ペアごとにスプレッド幅が(たとえば、米ドル/円は0.3銭、ポンド/円は1.0銭、などのように)調整されています。
原則固定
最近では、一組の通貨ペアについては『スプレッドは原則固定』、としているFX業者のほうが多くなっています。
取引数量による変動も
ただし、取引数量によりスプレッドを変化させるコースを設定しているFX業者も存在しているので注意が必要です。
変動
原則としてスプレッドは固定幅となっていますが、マーケットの状況などにより、通貨取引のリスクが高まる場合には、基本設定より拡大する場合もあり得ます。
スプレッド拡大が起きるケースとして、以下のようなものが挙げられます。
- マーケットが経済指標発表を待っていて、流動性が落ちているとき
- マーケットの開始直後や終了間際で参加者が少なく、流動性が落ちているとき
- 自然災害や政治的な事変などで、相場が急激に変化したようなとき
スプレッドと取引スタイル
スプレッドはFX取引を行うために必要なコストとして、避けられない出費ですが、どのようなスタンスでトレードを行うかにより、その影響度合いが変わってきます。
中長期トレード
購入した通貨を、数日から数週間といった比較的長い期間保持し、売買の価格差が大きなところで決済することで、利益をねらうスタンスの投資手法です。
差益を大きく狙えるために、他のコストを相殺できるため、スプレッドの幅はさほど気にしなくとも良い投資手法だと言えます。
短期トレード
短期でFX取引を繰り返す手法としては、『デイトレード』や『スキャルピング』と呼ばれるものがあります。
デイトレードは、1日のうちに損益の確定を行ってしまう投資手法で、数回程度の取引を同じ日のうちにすべて決済し、翌日には持ち越さないという方法です。
スキャルピングは、デイトレードよりさらに細かく、数分や場合によっては数秒での取引を繰り返し、小さな利幅を積み上げてゆく取引手法です。
低スプレッドは必須
デイトレードもスキャルピングも、取引回数を増やし小さな利益を集める投資手法です。そのため、必然的にスプレッドとしてコストを支払う回数も多くなります。
これらのトレード手法により利益を目指す場合は、できる限りスプレッドの小さいFX業者を選ぶ必要があります。
スプレッドのコストを比較検証
取引のコストであるスプレッドですが、取引の内容やFX業者によって、その設定額には違いが出てきます。
ここでは、代表的な2つの要因について、スプレッドへの影響を見ていきます。
通貨ペア
一般に、取引される頻度が低い、つまり『流動性』が低い通貨はリスクが上昇するため、為替市場ではスプレッドの広い(収益性の良い)条件で取引されます。
また、米ドル/円のように、人気のある通貨ペアであっても、世の中の情勢により流動性が低下するときは、スプレッドが拡大する場合もあります。
ともあれ、各FX業者はそういったリスク要因などを踏まえたうえで、通貨ペアごとにスプレッド幅を設定しています。
以下の表は、代表的な外国通貨と円の取引における、スプレッド幅(2018年1月現在)の傾向を示したものです。この表からは、取引コストの面だけを考えれば、米ドルのような人気通貨への投資に、より大きなメリットがあることがわかります。
通貨ペア | スプレッド(おおよその数値) |
米ドル/円 | 0.3銭 |
ユーロ/円 | 0.5銭 |
豪ドル/円 | 0.7銭 |
ポンド/円 | 1.0銭 |
南アフリカランド/円 | 1.3銭 |
FX会社
スプレッドは通貨の特性による影響だけでなく、FX業者のサービス内容などによっても変化します。
以下に、代表的なFX業者における、米ドル/円、および、豪ドル/円のスプレッド(2018年1月現在)の違いを示します。
会社名 | スプレッド | |
米ドル/円 | 豪ドル/円 | |
GMOクリック証券 | 0.3銭 | 0.7銭 |
マネックス証券 | 0.2銭 | 0.5銭 |
SBI FXトレード | 0.27銭 | 0.59銭 |
マネーパートナーズ | 0.3銭 | 0.6銭 |
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約定率がポイント
『約定』とは、実際に売買取引が成立することで、『約定率』とは、売買取引を成立させる割合のことです。
FXなどの取引では、利用者の注文が処理され実際に約定するまでの間に、ある程度の時間を必要とします。そして、そのロス時間の間にも、為替相場は変動し続けているので、結果的に利用者の指定した価格で約定できないことも起こり得ます。
仮に、スプレッドを非常に狭く設定した業者であっても約定率が低ければ、上記のような理由により、発生する損失が売買コストの安さを相殺してしまうケースも考えられます。
FX業者を選択する場合は、スプレッドなどに加えて、約定能力(約定率、約定スピード)とのバランスの見極めも重要になります。
まとめ
FX取引は通常、口座の解説などは無料と考えてよく、比較的気軽に申し込めます。実際の取引には、証拠金という担保を預け入れる必要がありますが、取引そのものの手数料は特別な場合を除き無料です。
また、FX業者の利益は、スプレッドと呼ばれる取引に設定する売買の価格差から生み出されており、各社が独自の設定を行っています。
口座開設の際には各FX業者のサービス内容を比較し、自分の取引スタイルに合った業者を選ぶことが重要です。