不動産投資信託 REITのリスクとは
『REIT』は、投資信託の種類の一つです。投資信託とは、多くの投資家から資金を集め運用会社が運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。
投資信託では、株や債券などさまざまな資産に投資がされますが、中でも不動産を投資対象とした投資信託を、REITといいます。REITで投資する不動産には、以下のものがあります。
- マンション
- オフィスビル
- 商業施設
- 物流施設
- ホテル
ここではまず、REITのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
株式と同様に金利や価格変動の可能性あり
REITは、値動きがある金融商品です。それぞれのREITには、投資信託の値段である『基準価額』がついています。基準価額は、経済情勢や不動産市場の状況などにより、1日1回算出されます。
購入時よりも基準価額が上がっているときに売却すれば、譲渡益により資産を増やせるでしょう。ただし、購入時よりも基準価額が下がった状態で売却すると、資産が減少する可能性があります。
また、REITは投資家から集めた資金だけでなく、金融機関から借り入れたお金で不動産に投資をします。金利が上昇した場合、利息負担の増加による収益の減少が起る可能性も知っておきましょう。
倒産のリスクも
REITでは、不動産投資法人と呼ばれる株式会社のような形態をとり、運用されています。
収益の悪化などにより、投資法人が倒産してしまった場合、REITの基準価額が下落する可能性があります。
不動産への被害や市場、法律などの影響
不動産に関する法律や税制の変更があった場合、運用会社の思うような運用ができなくなり、収益に影響がでるのも、REITのリスクの一つです。
また、実物資産が投資対象のRIETは、自然災害などによる資産の損失や劣化を受けるといった、特有のリスクもあります。
REITが保有する不動産が、何らかの理由で被害を受けた場合、REITの基準価額が下がる点にも注意が必要です。
リスクを軽減する方法は?
資産運用をするうえで重要なのは、『分散投資』です。分散投資とは、投資先を一つに限定せず、複数の資産にわけて投資することをいいます。これにより、値下がりなどにより資産が減るリスクの分散を目指すのです。
REITでは、どのような方法で分散投資を取り入れればよいのでしょう。
分散投資できるREITファンドに投資
先述のとおり、REITで投資する不動産には、マンションやオフィスビル・商業施設など、さまざまな種類があります。どのような資産に投資しているかによって、REITは下表のように分類されます。
詳細 | |
単一用途特化型 | ・オフィスビル特化型 ・住居特化型 ・商業施設特化型 ・物流施設特化型 ・ホテル特化型 |
複数用途型 | ・複合型REIT(二つの用途の不動産に投資) ・総合型REIT(三つ以上の用途の不動産に投資) |
より分散投資の効果が高い銘柄を希望する人は、複数用途型のREITを選ぶとよいでしょう。
複数のREITファンドに少額投資で分散
一般的なREITに投資するには10万円程度の資金が必要ですが、REITの中には数万円で投資できるファンドもあります。資金に余裕がある人は、複数の銘柄に少しずつ投資しても、分散投資を目指せます。
国内だけでなく、海外の不動産を投資対象とするREITを資産に組み入れるのも、分散投資の一つです。ただし、海外の不動産を投資対象とするREITに投資する場合、為替の影響を受ける点には気を付けなければなりません。
さらにリスクを軽減するREIT ETF
『ETF(イーティーエフ)』は、証券取引所に上場する投資信託で、日経平均などに代表される指標に連動した運用成績を目指します。REIT ETFで指標とされる指数の一例は、以下のとおりです。
- 東証REIT指数:東証へ上場しているすべてのリートの動向を表す指数
- S&P(エスアンドピー)/ASX(エーエスエックス)200 A-REIT(エーリート)指数:オーストラリアの代表的な不動産指数
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S&P先進国REIT指数:アメリカを中心とした、先進国の不動産の動向を表す代表的な指数(日本を除く)
最後に、REIT ETFがREITよりもリスクを抑えた投資ができるといわれる理由を、見ていきましょう。
破綻リスクが抑えられる?
REIT ETFでは、連動を目指す指標が投資するほとんどのREITに、分散投資をします。そのため、投資するREITの一つが破たんしたとしても、REIT ETFが受ける影響は限定的だといえるでしょう。
これが、個別銘柄のREITよりもREIT ETFの破たんリスクが少ないといわれる理由です。
リアルタイムで売買可能
市場に上場されていないREITは、基準価額で取引されます。基準価額は、1日に1回算出されますが、ブラインド方式を採用しているため、実際の取引で使用される基準価額は売買時にわかりません。
一方、市場に上場されているREIT ETFは、株式のように市場価格で売買できます。希望する価格での売買が可能な点も、リスクを抑えられるポイントです。
まとめ
不動産を投資対象とするREITは、価格や金利の変動リスクだけでなく、自然災害によるリスクなどもあります。
リスクを抑えたREITの運用を目指すためには、分散投資をしましょう。さらにリスクを軽減したい人は、REIT ETFも選択肢に加えてはいかがでしょうか。